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読書のススメ

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読書感想と創作小説&エッセイ集 読書感想記事はネタバレはしないように、あくまでも自分自身が感じたことを中心にしたもの。 創作ものは私の好みで独断と偏見で選びました。
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#思考の整理

秋のデートと紅葉鳥

秋のデートと紅葉鳥

「紅葉鳥?紅葉狩り?」
覚えたての言葉を使ってみたい
意地悪な発想をすれば、これだ

小牧さんからのお題を拝見し
懐かしいエピソードを思い出した

レオ氏が「紅葉狩り」を間違えた
ボケをかましたと思い
「今の時期はどこも観光客が多いじゃん」

前職はあまり休みがなく
カフェでのんびりした後、古着屋に行きたかった

「もしかしてだけど、モミジ肉とか知らん?
ボタン鍋とか…」
「知ってるよ。知ってるけ

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相手の世界を読む時間

相手の世界を読む時間

読む時間とは、読書だけではなく
相手の世界を想像する期間かもしれない

花粉症の季節
くしゃみをしたわたしへ、ポケットティッシュを
束にし、手渡してくれた幼なじみ

「わたしも持ってるよ」
「でも帰りしな、足りてないやん」
慮るとは、相手の世界を読む時間の積み重ね

他人を慮る人、優しい人を分析したことがある

優しい人は、物事の原因や理論を瞬時に把握し
考察していて
今、出来ることへの対応と

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笑っている裏側を読んでくれ

笑っている裏側を読んでくれ

読む時間、人の動きを見てないようで
視界に入れて、どんな心理状況か
想像する時間

電車は定刻に来るが、バスはなかなか来ない
今、コンビニに駆け込んでも間に合うか
時を読む時間

秋に買う服だから、春まで着たい 
流行を読む時間、店から店を出入りする

会社員時代は、上期・下期
レジュメを渡され、業績を読む時間
好んでコロナ禍にいるんじゃないのにと
これから法要なさるお客様の手の内を読む時間

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ショート: 夏祭り

ショート: 夏祭り

ヒマワリへ水やりをして、
「今年も花火を見なかった」
ヒマワリや花火は、夏の風物詩。
僕の中にある夏が欠けて、秋の訪れを風で知る。

悠馬へLINEを送った際、『夏祭り』に画面が反応し
メッセージやスタンプが霞むような花火の壁紙が
晩夏を楽しめとばかりに広がった。
『夏祭り』と打ち込めば、花火が見られる。

「おめーは
夏祭りの伝達事項を確認したいのか
派手な壁紙が見たくてLINEしてきたのか」

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あの夏休みを覚えているかな

あの夏休みを覚えているかな

ヒマワリへあれだけ憎憎しくモノを言う
同級生の真希を
ヒマワリの画像を見る度に思い出す

「ヒマワリは太陽の方にしか向かない
強い者へ媚びる人は大嫌い」

高校の頃は、陽キャでウェイウェイしていた真希は、家業を継ぐのに大阪へ進学した
その間に何があったのかは、誰も知らない

夏休み。同級生が集まり飲んでいた

どっかにヒマワリ畑があり
今度、何台かの車へ便乗して見に行こう
盛り上がる矢先、真希が目

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ショート: 未来の日本を守ったのよ

ショート: 未来の日本を守ったのよ

「この話は実話に違いない」
未来の作家が投稿する“letter”で読んだ小説。
肉体を断捨離する発想は、常軌を逸脱し、
とても素人が書いた作品には思えなかった。

左手に握るスマホで、110番する。
私に躊躇はなく、ただ正義のため、
あんな殺人鬼を見過ごすなど、できっこない。

「110番、緊急電話です。
事件ですか? 事故ですか?」

「殺人事件です」

「今、貴女が電話をかけられている場所です

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ショート:愛してるのタイミング

ショート:愛してるのタイミング

文芸部出身だからか、妙なタイミングで
「愛してる?」
結衣は僕に問いかける。

付き合い始めは
「信じてないわけ?」
僕が突っかかったばかりに痴話喧嘩へなり
結衣がやたらと不機嫌で困った。

映画館でチケットを買う前、カフェの行列
「愛してる?」
結衣からの投げかけには、真剣な眼差しを作り
「愛してる」

結衣の表情は柔和に変化し、言動が寛容になるのを、結衣の不安から脱却させるための魔法の言葉とし

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人類の恒久平和はファンタジー

人類の恒久平和はファンタジー

『平和とは』
広島生まれのわたしが平和を語るとすれば
まずは、身近な話からしてみたい


友達が多くて、人見知り?なにそれ?
コミュニケーション能力は抜群に高い
…と、自称する人が居たら、警戒している

わたしはネット配信など、話ができる
しかし実社会では、猫を100匹被って
心に住んでいるハムスターは
巣穴にお尻を向けて、壁際で丸くなっている

仕事だから、賃金を戴いているので
人見知りと言っ

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ショート: モテない思考パターン

ショート: モテない思考パターン

食べる夜の癖が付いて、半月。
体重は加速をつけて増加し、ますます自分に自信がなくなってきた。

やっと彼氏ができても、愛を確かめずにはいられず
「そういう人の心を覗こうとする
依存型の子とは付き合えない」
あっさり振られてしまう。

どうして上手く行かないのかな。
そもそも
恋人は作るものじゃなく、できるんじゃないの?
だから、恋人に駆け引きしてもよくね?

努力し、意図して関係を積み重ねる…占い

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ショート: 惹かれていく自分が悔しい

ショート: 惹かれていく自分が悔しい

白いフレアスカートの真ん中はプリーツで、
ほんの一部スイカ柄が覗いている。
黒のタイトなTシャツとよく似合い、夏らしい。

「本当にお願いを叶えてくれたのね」

成美は、上目遣いのまま僕を鼻で笑った。
成美が僕に、女装してデートをすれば
付き合うと約束した割には塩対応で、
自分が試されたのが腹立だしい反面、
嫌いになれない。

むしろ惹かれていく自分が悔しい。

「私は相手が女の身なりでも
好きに

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ショート: メールを読みますね

ショート: メールを読みますね

「街クジラ、聴いた?」
「昨日の? うん」
「私、メール読まれたんだよ」
「うそぉ、マジで⁈ 凄いじゃん」

『街クジラ』とは、東都FMが平日の9時から放送するラジオ番組のこと。
中高生の中では、爆発的な人気を維持し、
聴視者は“マチラー”と呼ばれていた。

「沙希子、マジでおめでとう」
メールを読まれることは、マチラーエリートになったような、人とは違うと自尊心がくすぐられた。

『街クジラ』は、

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ショート: 大海を胸に秘めて

ショート: 大海を胸に秘めて

「海砂糖 綾を織りなし 光の紋」
海岸線に差し掛かり、助手席の母が句を詠んだ。 

「海水ってしょっぱいのに、そこは砂糖?」
なにげなく母へ問うと、
「海と塩じゃ色気がない」
消えそうで、アンニュイな声が返ってきた。

母は娘の私にも、何を考えているのか不明な、
父や祖母へは甘えるが、人見知り。

「よく人の親になれたな」と思うような
母の様子から、誰でも親になれると感じ、
私は母のような人になら

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ショート: しゃべらなくていいよ

ショート: しゃべらなくていいよ

「銀河売りに出されるってさ」
「月面の次は、銀河なんだ」
大雨の日曜日。瑛二はパソコンを、私はスマホを
目的がなく見続ける。
イチャイチャする時期は、もう過ぎた。

「優花、銀河を買おうよ」
「買って、どうすんの?」
地学に興味のない瑛二が何を言い出すのやら。
「ずっとさ、俺らが夜空を眺めるとか良くね?」

「ずっと?」「ずっと」
瑛二のセリフに私はガッカリした。

「『ずっと』は、もしかしてプロ

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ショート: 被害者の終末章

ショート: 被害者の終末章

「ガラスの手?」
会社の先輩が私の左手に触れ、引っ込めた。
「いえ、シリコンと金属です」
何万回目の説明か。

子どもの頃、塾の帰りに攫われた私は、
深夜の踏切で突き飛ばされて、解放されるが、
その代わり、左手は貨物列車に轢かれて失った。

私以外は、皆、無惨な形で発見され、
犯人はまだ女子高生ということもあり、
医療刑務所へ三年ばかり入院していた。

やがて彼女の手記はベストセラーになり、
現在

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