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あの夏休みを覚えているかな

ヒマワリへあれだけ憎憎しくモノを言う
同級生の真希を
ヒマワリの画像を見る度に思い出す

「ヒマワリは太陽の方にしか向かない
強い者へ媚びる人は大嫌い」

高校の頃は、陽キャでウェイウェイしていた真希は、家業を継ぐのに大阪へ進学した
その間に何があったのかは、誰も知らない

夏休み。同級生が集まり飲んでいた

どっかにヒマワリ畑があり
今度、何台かの車へ便乗して見に行こう
盛り上がる矢先、真希が目を尖らせて発狂した
(何事?) 水を打ったように場が静かになった

真希の矛先は、わたしへも飛んできた

「アンタにウチの気持ちは分からん」
何のことだか、分からないわたしは
自分の顔に指を差し「ん?」首を傾げる

「そうよ!アンタはね、まゆ先輩がいたから
みんながアンタに媚びたのよ」

まゆ先輩とは、わたしの幼なじみで
わたしのnoteに登場する「まあちゃん」
実家は斜め後ろ、1学年上の女子
そして、ケンカはまあちゃんに勝てる人がいない

音楽準備室や階段の踊り場で
舐めたマネをする人をボコボコにしていた

まあちゃんの妹的存在だったわたしは
中学・高校と入学式から上級生が、わたしへ
気を遣っているのが手に取るように分かった

真希とわたしは、選択教科が若干違うだけで
休憩時間を一緒に過ごし、修学旅行も同じ班
女子特有の『お手紙』を毎日交換していた

その場に集まった子も、真希とケンカした事がなく
真希に言い返そうとした子も
別の子に静止されて、口をつぐんだ

真希の激情を静かに聞いて、嵐が過ぎるのを待った
こんなところで口論すれば、皆が面白くない
真希から何も聞かない、言いたいことは言わせる
手立てはこれしかないように思えた

真希の気持ちも分かる

自分の弱さを隠すため
力のある人にすり寄って、自分より弱い相手に
攻撃的に出て、支配しようとする

自分より弱い相手に、怒りをぶつけて
ストレスを発散しているような
強さに怯えている自分の姿を
弱い相手に投影しているのか
当たりの強さは、恐怖でしかない

自分に自信がない、自分で自分の身を守る力がない
それで強い人が持つ『権威』の盾を利用し
弱い自分を守って生き延びている

生き残るための戦術かもしれないが
真希のように不愉快になる人がいてもおかしくない

相手によってコロコロ態度を変える人

媚びを、意図的な人と無意識にそうなっている人が
2通り存在しているように思える

強い者に媚びようと、わたしは実際挑戦してみて
忍耐力の問題があり、脱落してしまった

媚び上手ならコミュケーションの武器とするのは
当たり前かもしれない

そんな真希も家業の大黒柱だ
あの夏休みを覚えているかな
ヒマワリへどう思っているのかな

ヒマワリを見ると、わたしの胸は痛くなる

#シロクマ文芸部
#小牧幸助さん

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