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#夏

あの夏

あの夏

年頃のニヒリズムめいたものはなんら特別なものではなくて、もはや共通項に近くあって、人それぞれきっかけこそあれど静まる日は訪れる。
待ち構えていた「無」を冬眠してやり過ごすほかない。均された静寂が救ってくれると信じるしかなかった。

ただ、変わりたくない23時半はズキズキと痛み、眠りが浅くなる。
「守るべきもの」を包み込むように抱いて温めたかった。
両手塞がる私は、瞬間の勢いと邂逅に身を任せて持ち帰

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初夏の陽気の2月でした

初夏の陽気の2月でした

サニーデイ・サービスが耳に流れてくる。メトロノームのように首を揺らして、夏を想起する。

もはや夏のような日だった。
ニュースでは半袖で海岸線を歩く男性がインタビューを受けていた。白いTシャツの明度の高さに目が眩みそうになりながら、夜ご飯を1人で食べ進める。

「繰り返しますが、今は2月です。」
アナウンサーは台本を読まされ、コメディー要素を足そうとして、安上がりなSEとともに夏を演出している。

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風で鐘を鳴らす。

風で鐘を鳴らす。

充電切れで倒れるように床に伏し、AirPodsの充電もしないで片耳だけつけた状態で目を覚ました。もう片方は手の先に転がっていた。寝返りのうちに外れたのだろうか。

寝て起きて寝て起きて、高い位置に上げられた日光が差し込む。ようやく夏であることを思い出した。眠りにつくときのお供、冷え枕は常温でただの枕になる。

欅坂46の「誰がその鐘を鳴らすのか?」をかけて寝ぼけている全てにやる気を起こさせる。

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四季を牽く。

四季を牽く。

涼しいと思える時間帯が深夜の3時〜4時までしかない。
逃げ場がなくなりはじめている。

朝7時にあまりの暑さに目を覚ました。4時に寝た自分に予想外なことが起きている。こんなに理想的ではない早起きは全く嬉しくない。

頭はぐしゃぐしゃで、パッとしない、眠気もまだあるのに、暑すぎてもう眠れない。

朝からシャワーを浴びる、汗まみれの身体を流す。新しい日が始まったことを冷たい水が身体に訴えかけている。

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