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【#06】10代で出会って良かった本と、いまこの国で大人でいるということ。

【#06】10代で出会って良かった本と、いまこの国で大人でいるということ。

大学の図書館はバカでかくて、入学したばかりの私は大学図書館に行くたびに高揚と不安でいつも浮足立った。「世界にはこんなに出会っていないことがある」という好奇心の高揚と、「まだ自分は何も知らない」という未知への不安。この2つはいつも表裏セットで訪れて、それは心地よいものな気がした。

ある日、だいぶ目に痛いショッキングピンクの背表紙に出会った。図書館ではストライプの装丁カバーは外され、むき出しの本体に

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【#05】2020年は「強さ」について考えていた。

【#05】2020年は「強さ」について考えていた。

数年前から、なんとなく自分の中のキーワードは「強い/弱い」なのではないかと思っていて、そのことについて今年はよく考えていました。

ジャンプマンガじゃあるまいし、いい年した社会人の考える「強さ」というと「思考の柔軟さ」や「社会に適応して生きていく能力」や「懐の深さ」みたいな方向の比喩として使われることが多いと思うのですが、私はもうちょっとプリミティブな「強さ」について気になっています。

ボルダリ

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【#04】恐竜博のない夏なんて。ー『リアルサイズ古生物図鑑』他

恐竜に興味のない子どもなんているでしょうか。(いや、いない・断言)

子どもの頃に好きだったものはいつの間に興味がなくなるんでしょう…。
私はいまだに恐竜っていうテーマやモチーフが好きです。ノリは小学生の頃から変わっていません。なんで好きかというと、大きくて強いからです。

で、毎年夏休みシーズンには小学生の列に混ざって恐竜博(恐竜展)に行っています。ちなみにDINO SAFARIも最高に楽しかっ

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【#03】“映画館”の本と、渋谷にいた中学生の頃の私と映画館のこと

【#03】“映画館”の本と、渋谷にいた中学生の頃の私と映画館のこと

みなさんと同じように、私も映画館が好きです。(きっと映画館が好きな人しかこのnoteを読まないと思うので)ミニシアターエイド基金が本日23:59まで。

私も超微力ながら支援しつつ、この支援にまつわる主催の方のメッセージやSNSでの支援の言葉を読んで、私と映画館のことを書きたいなと思ったのでした。

シネマライズに通う中学生だった東京都渋谷区初台出身で、渋谷まで自転車で20分くらい。私立の中学

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【#02】 料亭の料理のような言葉を食む。―三島由紀夫のおすすめ五選

【#02】 料亭の料理のような言葉を食む。―三島由紀夫のおすすめ五選

SNSやWebニュースで目に入る、短く・咀嚼しなくても飲み込みやすく・濃い味付け&刺激の強いテキストはインスタント食品のよう。

毎日めまぐるしく情報がアップデートされまくる。
現状分析、未来予想。景気はどうなる?近未来の事を脳フル回転で感じ考えながら、地に足ついた世の中も見つめなきゃ。という時間に、ちょっと胸焼けしてきてしまいました。

インスタントな文章に疲れちゃった時のおすすめは、三島由紀夫

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【#01】 『日本のヤバい女の子 静かなる抵抗』

【#01】 『日本のヤバい女の子 静かなる抵抗』

SPBS(渋谷)で本を買うときはいつもジャケ買いだ。著者でありイラストレーターでもあるはらだ有彩さんの表紙イラストが可愛かったので、シリーズで2種類面陳になっていた内の左側をフィーリングで購入した。

昔話の女の子を超おもんぱかる新感覚エッセイ昔話と言っても、高校の古文の授業で習うような「日本書紀」「今昔物語」、もしくは地方に伝わる伝説的な物語からの引用が多い。なので引用されている元の物語自体

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【#00】非読書家のためのつんどく案内

【#00】非読書家のためのつんどく案内

初めてのnoteなので、意図と経緯と簡単に自己紹介を。
私は映画と本が好きだ。「趣味」と言うには凡庸過ぎるけど、息を吸うようにずっと摂取してきたから「ふつう」の人よりは生活の中で比重が多いと思う。

“趣味”の自信でも私よりずっと好きな人もいるだろうから、自分から「シネフィルです」とか「読書家です」とか名乗ることはできない。
本業にしているわけでもないし、私よりもっともっと時間をかけて、もっともっ

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