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思い出を語り合った卒業式後のパンケーキ

ーこの時間さえもいつの日かの思い出になっていくんだねー


卒業式の日。

早朝から袴の着付けがあったからごはんは朝5時に食べたっきり。

そこから何も食べていない私と友だちはお腹を空かせ、午後2時くらいに丸の内にくり出した。

今日は最後の晩餐だ。


袴を着ていると肺が押し潰されて呼吸が浅くなる。

ただ歩いただけなのに息を切らして、憧れのお店「6th by ORIENTAL HOTEL」に入店。


非日常なテラス席に座り、パンケーキとフライドポテトとホットティーを頼んだ。


そして自然と、今までに私たちが2人で食べたものをふり返る会が始まった。

スマホの写真を見返しながら、「ここのお店のこれ、よかったよね〜〜」

「あーここのお店もやばかった!」

「あーそれが1番かも〜〜!」

思い出を語り合っているこの時間やこのお店で食べたものも、またいつの日かの思い出になっていくんだろう。

こうやって思い出が雪だるま式に増えていく。

こんなありふれた毎日が、かけがえのない瞬間だった。


・・・


トリュフとチーズのフライドポテト

あふれんばかりの、なんていう定型詩を超えて、とっくのとうにあふれかえっているフライドポテト。

来た瞬間トリュフが香った。

さっくさく。


パンケーキ

バターが少しずつ溶けて、パンケーキマウンテンをしたたっている。

ナイフで切ったらやわふわ。

このパンケーキをクッションがわりに高いところから飛び降りろって言われたら怖くて飛び降りられないくらいやわらかかった。

低反発。

バターがしみこんで甘じょっぱくなったパンケーキとしょっぱめのフライドポテトを交互に食べる。

ああ、この時間が永遠に続けばいいのになあ。


メープルシロップもついてたからかけてみた。

花の味かな?だとしたら何の花の味なんだろう?

よくわからないけど大人の味がした。


バターが完全に溶けきったあと、バターがのっかっていた場所が重みでまんまるく窪んでいた。

バターにすら耐えられない軟弱パンケーキめ。

一口で食べると他の部分よりもしゅわっとたっぷりバターが出てきて、それはそれは宇宙一おいしかった。



・・・

パンケーキを食べ終えて、最後は冷めてもずっとさくさくなフライドポテトを。

これを食べ終わったら今日が終わっちゃうと思うと、名残惜しさに食べる手が進まなかった。


・・・

帰り道、

「東京駅来るたびにこの日のことを思い出すね。」

とか、

「これからパンケーキ食べるたびにこの日のことを思い出すね。」

とか言いながら、駅へ向かった。


そうでありたいな。

いつまでもこの日のこと、このパンケーキのことを思い出していたいな。


・・・

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