ファミレスのサイドメニューという可能性

ー マリリンモンローも食べたロイヤルホストのオニオングラタンスープ ー

この日は雨が降っていて体の芯まで冷え切っていた。

私は前から行きたいと思っていたロイヤルホストに向かって一直線に歩き続けた。

「え、前から行きたいと思ってたロイホ？」

「どこにでもあるじゃん」

って思いましたか？

いや、そうなんですよ〜

でも私は物心ついてからロイヤルホストに行ったことがないので、念願！とか言っててもどうか許してください。

しかもそこに畳み掛けるようにして、最近「ロイヤルホストがファミレスの中で一番好き！」という方の言葉を何度か耳にする機会があって、、

ロイホ行かなきゃ！と思っていた所存でございます。

でも地図で検索しても意外と店舗数が少なくて、、。

おまけに友達に「一緒にロイホ行かない？」とも言いづらい。

（「ファミレスならもっと安いところでいいじゃん？」って感じだし、「おいしいもの食べるならせっかくだしチェーンじゃないとこにしない？」って感じで。）

ロイホってむずくないか？？

最初に行きたいと思ってから実際にこの日が来るまでに約半年かかりました。

（感涙）

そんなこんなでわくわくを胸に秘めて私はドアを開けた。

平日夜７時の店内はガラーンとしていた。

というか、人はそこそこいるんだけど、それを感じさせない静けさって感じ。

店内がめっちゃ広かったってことかな？

一人で黙々と仕事してる人がわりといたのもあるかな？

多分どっちも正解。

ファミレスあるあるの「カオス感」が皆無だった。

がやがやしてないし、テーブルとテーブルの距離が近くない。

窓際のソファー席に案内される。

そのテーブルがまたなんとも広々しすぎている。

今すぐこのテーブルの上で腕を伸ばしたまま突っ伏して寝たいって気分。

テーブル上にはメニューもなければペーパーナプキンもツマヨウジも卓上調味料もない。

（コロナだからかな？）

そんな感じだからもちろんテーブルにはキャンペーンメニューの巨大シールなんて貼られてない。

だだっ広いテーブルには呼び鈴だけが置いてある。

広すぎる、、、。

（まあ四人がけの席に一人で座っているからっていうのもあるんだけど。てかそれがほぼ全てなんだろうけど。）

これだけ広いと食べるだけじゃもったいないなと思っちゃう。

消しピンとかやったら楽しそう。あれ流行ったよね。

ここ小学生の机６個分くらいあるんじゃないか？

ゆっくり上着を脱いだりしていたらお姉さんがメニューを持ってきてくれた。

うーん、何を食べようかな。

・・・

本当は、ロイホに来たら名物の「コスモドリア」を食べてみようと決めていたのだ。

しかしこの私、なんとこの日からダイエットを始めていたのだ！

コスモドリアのカロリーをチラ見する、、「796キロカロリー」

（そっとページをめくる）

ならばこっちはどうだ！と思って、２つ目に目星をつけていた「クラブハウスサンド」のページを探す。

（コスモドリアとクラブハウスサンドって、店頭のポスターにいつも描かれているからＷエースなんですよ。たぶん。）

カロリーをチラ見する、、「833キロカロリー」

（えっ、、）

一旦途方に暮れてみた。

まあなんでダイエット中にファミレス来てるんだよって話なんですけど。

私、「〇〇キロ痩せられたらあるおいしいお店に連れて行ってもらう」というウキウキの約束をしたのです。

（「痩せたら食べる」っていうダイエットの初歩的なタブーを犯している。）

というわけで早くそのお店に行きたい私は、短期集中のダイエットを始めることを決意。

もう一度メニューを最初から見始める。

１ページ目。

目が止まった。

マリリンモンローも食べたオニオングラタンスープとやらが載っていた。

（なんでも、おいしかったから三日連続で食べたらしい。いやいやいや、、。）

コンソメスープの上にぐつぐつのチーズが乗っている。

今日みたいな雨の降る寒い夜にぴったりだ。

よし、これにしよう。

（154キロカロリー、合格！）

でも限界ダイエッターでもない私は、さすがに一食を154キロカロリーで済ませられる域にはまだ達していない。

「ガーリックトースト〜バジルの香り〜」というメニューに目が釘付けになった。

もう１つはこれにしよう！！

（272キロカロリー、まあよしとしよう。）

（というのも私、無類のガーリックトースト好き。）

呼び鈴を鳴らして注文した。

・・・

なかなか来ない。

（というのも、私の以前のバイト先にもオニオングラタンスープとガーリックフランスがあったのだが、どちらも作業工程は１分くらいしかないはずだった。）

ということは、ここのはもっと凝った作り方なのだろうか。

はたまた滅多に入らないサイドメニューに厨房中が慌てふためいていたのだろうか。

（キッチンバイト経験者目線）

・・・

しばらくして２つ同時に到着した。

オニオングラタンスープは小さい鍋みたいな器に入っていて、ご丁寧にかわいいフタまでしてあった。

（そしてご丁寧に、その場でフタを外すパフォーマンスまでしてくれる。）

じゃん

わあ〜

（ついでにテーブルの広さも伝わっておくれ。）

てかスープにもパンがのっかってて笑った。

（またパンかよ感。）

でもオニオングラタンスープってもともとそういうものだよね。

猫舌だから慎重に一口すする。

とろっとろの玉ねぎと、味がギュって感じのコンソメスープと、ぶよぶよのパン。

（総じて熱々）

地味にもきゅもきゅするチーズがかかっている。

ガーリックトーストは、「ガーリックトースト〜バジルの香り〜」って書いてあったけど、どちらかというと「バジルトースト〜ガーリックの香り〜」って感じ。

私の好きなパン屋さんのガーリックフランスはみじん切りのにんにくがたっぷり乗ったガツンと系のやつなんだけど、ここのはそれよりもずっとおしゃれ。

自分から探しに行かなきゃ見つけられないくらいかすかなガーリック味。

カリカリのトーストにじゅわじゅわのガーリックがいいバランスで乗っかっている。

（乗っかっているのだ。決して染み込んではいなかった。それがまたパンのカリカリを残してくれていて良い。）

オニオングラタンスープとガーリックトーストを交互にちょっとずつ食べていった。

・・・

「ファミレスのサイドメニューって可能性に溢れているな」と思った夜だった。

意識高いダイエット中の私じゃなかったら気づけなかったサイドメニューという選択肢。

マリリンモンローと同じ土俵に立てた瞬間だった。（錯覚）

コスモドリアとかクラブハウスサンドイッチとかはまた今度にしよう。

今まで目もくれてこなかったメニューの１ページ目に目を凝らすんだ。

きっとそこにはそのチェーンのこだわりやオリジナリティが詰まっている。

・・・・・

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