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序章 モニュメント・バレーのパネルの彼方/第1章 歯磨きと水浴──川本徹『フロンティアをこえて──ニュー・ウェスタン映画論』を読む①
川本徹の新著『フロンティアをこえて──ニュー・ウェスタン映画論』は、ドナルド・J・トランプ前大統領が大統領選挙で当選をはたす約10ヶ月前、二〇一六年一月のあるエピソードを紹介するところからはじまる。舞台はアイオワ州インターセット、ジョン・ウェイン生誕博物館、ウェインの娘アイラに歓迎されたトランプは上機嫌で会見に臨む。しかし、川本が注意を払うのはトランプの会見それ自体ではない。その視線は元大統領(この時点では未大統領と言うべきか)の背景に向けられている。そこには『エルダー兄弟