崩れた自信、重ねた不安~高校野球ハイライト延長戦4日目・瀬田工業
「プレッシャー」「不安が大きい」「まだまだ弱い」…古賀陽大主将の取材メモからは、甲子園を狙うチームと思えない言葉ばかり出てくる。小辻鷹仁投手を擁した去年の瀬田工業は、小椋和也監督が「大会が本当に楽しみだった」と振り返る充実布陣。だが独自大会の変則日程が影響し、近江に敗れた時には8月の中旬を迎えていた。
ベンチ入り2年生は1人だけの状況で、チーム作りも出遅れる。秋の県大会は初戦敗退。積み上げた自信は崩れ落ち、春先の取材に至る。古豪復活へ期待だけが高まる一方、選手は不安の日々を過ごしていた。
しかし小椋監督は焦らなかった。「甲子園に出ると、このスケジュールになる」。古賀主将には「お前のチームだ」と何度も話し、新しい瀬田工業を作るよう求めた。主将の結論は「全力疾走に声掛け。当たり前のことを当たり前にやる」。進む先が見えたチームは、少しずつ上昇気流に乗る。
夏の初戦は安曇川相手に6点差を大逆転。苦しみ抜いた初勝利への軌跡は、チームの成長と同じに見えた。「大きな勝利」と安堵の表情を浮かべた主将の横で監督も強調する。「古賀が苦労しながら作ってきたチーム。ようやく歯車がかみ合ってきた」。夏の瀬田工業は侮れない。
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