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足・足関節痛への対応(JAMA reviewより)
以前膝関節痛への対応のReviewがJAMAに載った. 参考(https://note.com/calm_hornet327/n/ne957045d89fb) 今回は足・足関節痛への対応のReview. (JAMA. 2023;330(23):2285-…
M蛋白血症とループスアンチコアグラント
症例: 高齢女性, APTTのみの単独上昇での相談.
別疾患で入院中の検査にてAPTTは70-100秒と延長が認められた. 特に出血症状や出血の病歴はなし. PT, D-dimerなど他の検査は正常であった.
・クロスミキシング試験ではインヒビターパターンではなく, LA(ループスアンチコアグラント)を示唆する結果であった.
・他検査の結果, LA 3単位と陽性. しかしながら他の抗リン脂質抗
後天性血友病Aのリスクとなる薬剤
後天性血友病A(Acquired hemophilia A: AHA)は第VIII因子に対するインヒビターにより凝固が阻害され, 出血経口となる病態である. 主に100万人に1人程度とかなり稀な疾患である.
AHAは50%が特発性. つまり背景疾患は認められない.
残りの半数は妊娠関連, 自己免疫性疾患, 血液腫瘍などを背景とするが, この中に薬剤性がある.
どのような薬剤がAHAの原因となり
レクチャー: 不明熱・モノモノしい症例 その2
症例: 70台男性の発熱.・18日前に発熱と下部尿路症状にて受診し,
膿尿, 前立腺の圧痛, PSA 21と上昇を認めたため, 前立腺炎と診断された.
・LVFXにて治療し, 速やかに解熱. Labも改善したために2週間で治療は終了した.
・治療終了4日後に発熱, 炎症反応上昇, 膝周囲/下肢の網様皮斑, 間欠跛行
を認めた.
膿尿は認めない. PSAも低下傾向であった.
血液検査,
・初
Acute Lupus Hemophagocytic Syndrome
症例: 中年の女性. 汎血球減少.
半年前〜日光過敏, 数ヶ月前より手指, 肘などの多関節炎を認めていた.
近医での血液検査では正球性貧血, LDHの300程度の上昇も認められていた.
数日前より39度台の発熱, 強い倦怠感があり, 血液検査にて汎血球減少, LDH 2000台, フェリチン 9000台, TG 390と高度上昇を認め紹介.
検査の結果, 骨髄より血球貪食所見が認められ
手関節の米粒腱鞘滑膜炎
数カ月〜1年の経過で片側手関節の腫脹を認めた高齢男性の症例.
MRI, エコーにて腱鞘に沿った高度な炎症が認められた.
外科手術にて米粒状の組織が検出された.
組織病理・培養からは結核やNTMなどの抗酸菌は検出せず.
関節リウマチやSLEの特異抗体も陰性であった.
術後, 関節症状は部分的に軽快したものの, 炎症は残存.
どのような病態を考える必要があるのだろうか?
Rice bodyを伴
雑文: 内科診療フローチャート 序文 裏
ホスピタリストのための内科診療フローチャート
おかげさまで第3版出版となりました.
2016年に初版が, 2019年に第2版, そして2024年に第3版と
初版からおよそ8年が経過しました.
2016年というと, 私が2007年卒ですので, 卒後9年目で出版したことになります.
私は初期研修を洛和会音羽病院で行い, その後 飯塚病院, 洛和会丸太町病院 総合診療科で当時臨床バリバリ(今もで
Spontaneous Hypothermia(広義のShapiro症候群)
最近, X経由で症例報告レポートを呼んだ.
繰り返す発汗+悪寒戦慄であるが, 血液検査も問題なく, 敗血症でも無い症例で, てんかん波を認め, 最終的にてんかん発作であった, という報告である.
この症例では最初に発汗を生じ, その後悪寒戦慄が生じるエピソードを繰り返していたそうだ.
これをザッとであるが目を通し, ある病態を想起した.
悪寒戦慄は「悪寒」を感じ, さらに「震える」症状である.
体重減少と悪性腫瘍のリスク
体重減少は内科外来でそれなりによく診る主訴の1つであるが, その重要な鑑別に悪性腫瘍がある.
実際, どの程度リスクがあるのか, を前向きコホートで調査した報告がJAMAより発表されたのでまとめてみたい.
(JAMA. 2024;331(4):318-328. doi:10.1001/jama.2023.25869)
40歳以上の男女を対象とした前向きCohortを解析し
過去2年以内の体重減
IgG4関連疾患におけるステロイドの減量
IgG4関連疾患は診療頻度が高い疾患で, 耳下腺など唾液腺炎や涙腺炎, 自己免疫性膵炎, 胆管炎, 後腹膜線維症, 大動脈周囲炎・大動脈炎, 前立腺炎, リンパ節炎, 肺病変とさまざまな病態を呈する.
治療はステロイドが基本となり, 免疫抑制療法を併用することがあるが, どのSteroid sparing agentが最も適切か, というのは不明確である.
また安定後, ステロイドを減量すると再
レクチャー: 不明熱・モノモノしい症例 その1
症例提示: 50歳台の男性. 1年前から繰り返す発熱を主訴に紹介となった
1年前(初診時)のエピソード:
・受診の2ヶ月前に一過性の咽頭痛と1週間程度の発熱を認めたが, 自然に改善した.
・2週間前より持続する発熱を認めたため来院した.
発熱以外の自覚症状は認めなかった.
・総合診療科を受診し, 精査にてCRP 9.73mg/dL, LDH 600台, フェリチン 337ng/mLと上昇あ
高リスクTIA, 軽症脳梗塞に対するDAPT
TIAや軽症脳梗塞では早期の抗血小板療法の開始が再発予防に重要である.
ここ数年, 早期のDAPTがより効果的であるという報告が相次いででている.
基本的に高リスクTIAはABCD2スコア≥4点で定義され,
軽症脳梗塞はNIHSS ≤3点で定義されるが, 近年の報告ではNIHSS ≤5点としているものも多い. ちょっと改めてまとめてみようと思う.
アスピリン + クロピドグレルの報告CHANC
足・足関節痛への対応(JAMA reviewより)
以前膝関節痛への対応のReviewがJAMAに載った.
参考(https://note.com/calm_hornet327/n/ne957045d89fb)
今回は足・足関節痛への対応のReview. (JAMA. 2023;330(23):2285-2294.)
足や足首の疼痛で最も多い原因である,
Morton neuroma(モートン神経鞘腫), 足底筋膜炎, アキレス腱症について説明さ
レクチャー: 一般内科・リウマチ膠原病医が知るべき大型顆粒リンパ球性白血病
症例①: 数年前に抗SS-A抗体陽性, 唾液量減少(+)にてpSSを診断され,
20xx年より当院に紹介, 以後対症療法をしている70台歳女性.・血液検査では, IgGの高値(polyclonal)と血小板減少を認めていた.
紹介当初は特に増悪なく安定していたが, 徐々にPLTは減少傾向, IgGは上昇傾向を認めた.
・肝障害, 腎障害, 電解質異常, LDH上昇などは認めなかった.
こういう
発熱/炎症反応増悪時の検索・対応
以前書いたものです.
発熱や炎症反応の増悪は日常の外来でも入院症例でも多く診療するでしょう.
その際の対応をまとめました.
発熱/炎症反応増悪時の検索・対応の流れ① 全身評価. 循環不全の評価
② 病歴, 所見からの原因検索
③ 抗菌薬必要性の検討, 他の治療の検討
① 発熱, 炎症反応増悪している患者では, まず敗血症, 循環不全の評価・対応, 菌血症リスクの評価を行う.■ 敗血症, 循環
自分が毒キノコを食した経過をお伝えするよ
医療者として貴重な体験をしたので, ここで皆に共有しようと思う.
(ちょっとだけぼかしています)
患者: 40歳台の元来健康な男性. 突如発症の繰り返す嘔吐症.初日の経過: 18時〜26時
特に既往なし. 趣味で狩猟をしており, ジビエ系はよく食べる方. 最近は生食はしていない.
11月某日, 狩猟が解禁となり, 仲間と共に山に入った. その時に見つけた "ヒラタケ"を採取し, 自宅にてバター