K. Takagishi

Hospitalist ~なんでも無い科医の勉強ノート~の中の人. ホスピタリストのための内科診療フローチャート 他 著者 ブログのNOTEへの移行, データベース構築を画策中です.

K. Takagishi

Hospitalist ~なんでも無い科医の勉強ノート~の中の人. ホスピタリストのための内科診療フローチャート 他 著者 ブログのNOTEへの移行, データベース構築を画策中です.

マガジン

  • 疾患Review

    疾患のReview的ななにか。適時更新

  • アセスメントシリーズ

    主訴や病態のアセスメントに関連したもの

  • 日常診療のクリニカルクエスチョン・パール

    日常診療で生じたCQ, またはパール

  • 眼についた論文達

    日々の最新文献チェックで眼についたもの達

  • レクチャーシリーズ

    有料コンテンツです. いままで行った/これから行うレクチャーを載せます. 月1回程度更新予定ですが, ある程度貯まれば/定期的にアップ可能と判断すればマガジン単位での購読に移行するつもりです

最近の記事

脳炎と低Na血症(Cerebral Salt Wasting)

症例: 高齢男性, 高度の低Na血症.  特に既往がない男性. 3週間前より言動がおかしく, 興奮症状や異常行動, 認知機能の低下が認められた.   日中に痙攣を認め救急搬送となった. 来院時の血液検査にて, 低Na血症(Na 110mEq/L)を認め, 入院となった. 低Na血症以外には尿酸値の低下(1.2mg/dL)が認められた. 炎症反応や肝障害など他の異常は明らかではなかった. 頭部CTでは明らかな異常所見は認められず, CSFも細胞数増多やタンパクの上昇は認められ

    • 血管浮腫の鑑別と対応

      高齢男性, 数年前に喉頭浮腫を契機に, 度々腸管浮腫や下肢浮腫などを繰り返していた.  1年前より頻度が増悪したため, 精査目的に紹介となったのだが・・・ あらゆる可能な検査は行ったものの, 全く原因が掴めない.  C1-INHやM蛋白, 自己抗体, 好酸球関連… など全て正常 今も下肢の浮腫や腸管浮腫などを繰り返しており, その度に入退院. ステロイドや他の薬剤への効きも不十分.  そもそも血管浮腫ってどう考えたらいいの!?  血管浮腫・血管浮腫は血管透過性の亢進によ

      ¥200
      • アミオダロン甲状腺中毒症

        抗不整脈薬であるアミオダロンは長期使用において複数の臓器障害が出現するリスクがある薬剤. この中で有名なものの一つに甲状腺中毒症がある. AIT: Amiodarone-Induced Thyrotoxicosisと呼ばれ, これにはType 1とType 2がある.■ Type 1 AITはヨード過剰摂取による生じるAIT.  ・アミオダロン100mg錠にはヨウ素37.2mgが含まれている. ・乾燥昆布 5g(5cm角)あたり, 8-9mg を考慮するとかなり多い. ・1

        • 自己免疫性筋炎とMRI所見の特徴

          先日行われた2024年の日本リウマチ学会総会で個人的に一番勉強になったものです. Rheumatology, 2024, doi: 10.1093/rheumatology/keae125 MRIによる筋炎の所見と病理所見, 臨床所見との関連を評価した報告. MRIの所見は以下のように分類した; ・Fascial(筋膜) ・Honeycomb(蜂窩状) ・Peripheral(辺縁型) ・Foggy(霧状) ・Dense dot(密集した点状) ・Coarse dot(荒

        マガジン

        • アセスメントシリーズ
          11本
        • 疾患Review
          15本
        • 眼についた論文達
          13本
        • 日常診療のクリニカルクエスチョン・パール
          8本
        • レクチャーシリーズ
          5本

        記事

          ANCA関連血管炎による側頭動脈炎

          ANCA関連血管炎(AAV)は小型血管炎を呈する病態として有名であるが, 稀に大型血管である側頭動脈や大動脈の血管炎を合併することがある. こういった症例報告や人伝の話はよく聞くものの, 実際どの程度の頻度なのか, またどのような特徴があるのか, ここでまとめておく. 側頭動脈炎を合併したAAVの頻度は?スイスの施設において, 10年間に診断されたAAV症例101例をレビュー
(GPA 58例, EGPA 28例, MPA 15例)した報告 (Rheumatology

          ANCA関連血管炎による側頭動脈炎

          症例: 慢性経過の皮疹と下肢の痺れ

          症例: 50歳台の中年男性. 主訴は下肢の痺れ紹介までの経過  2ヶ月ほど前より右足裏の痺れを自覚した. 足裏全体にジンジンとする持続的な痺れであった. その後左足指先にも同様の痺れが出現し始めた.  近隣病院での精査にて糖尿病やビタミン欠乏は認められず. 腰椎にも異常は認められなかった. 筋力低下は認められない.  体幹の赤褐色の皮疹が認められたが, これは少なくとも4年前には認められていた. 範囲や数は増えていたとのこと.  また, 同時期(4年前)よりじん麻疹も頻繁に生

          ¥200

          症例: 慢性経過の皮疹と下肢の痺れ

          ¥200

          M蛋白血症とループスアンチコアグラント

          症例: 高齢女性, APTTのみの単独上昇での相談.  別疾患で入院中の検査にてAPTTは70-100秒と延長が認められた. 特に出血症状や出血の病歴はなし. PT, D-dimerなど他の検査は正常であった. ・クロスミキシング試験ではインヒビターパターンではなく, LA(ループスアンチコアグラント)を示唆する結果であった. ・他検査の結果, LA 3単位と陽性. しかしながら他の抗リン脂質抗体症候群(APS)に関連する検査は陰性であった. ・ANA陰性, 直接クームス試

          M蛋白血症とループスアンチコアグラント

          後天性血友病Aのリスクとなる薬剤

          後天性血友病A(Acquired hemophilia A: AHA)は第VIII因子に対するインヒビターにより凝固が阻害され, 出血経口となる病態である. 主に100万人に1人程度とかなり稀な疾患である. AHAは50%が特発性. つまり背景疾患は認められない. 残りの半数は妊娠関連, 自己免疫性疾患, 血液腫瘍などを背景とするが, この中に薬剤性がある. どのような薬剤がAHAの原因となりえるのだろうか? 薬剤性のAHAWHO global databaseを用いて

          後天性血友病Aのリスクとなる薬剤

          レクチャー: 不明熱・モノモノしい症例 その2

          症例: 70台男性の発熱.・18日前に発熱と下部尿路症状にて受診し,
膿尿, 前立腺の圧痛, PSA 21と上昇を認めたため, 前立腺炎と診断された. ・LVFXにて治療し, 速やかに解熱. Labも改善したために2週間で治療は終了した. ・治療終了4日後に発熱, 炎症反応上昇, 膝周囲/下肢の網様皮斑, 間欠跛行
を認めた.  膿尿は認めない. PSAも低下傾向であった. 血液検査, ・初期に前立腺炎と診断され, LVFXが開始されたのが[-18D] ・LVFX開始後

          ¥500

          レクチャー: 不明熱・モノモノしい症例 その2

          ¥500

          Acute Lupus Hemophagocytic Syndrome

          症例: 中年の女性. 汎血球減少.  半年前〜日光過敏, 数ヶ月前より手指, 肘などの多関節炎を認めていた.  近医での血液検査では正球性貧血, LDHの300程度の上昇も認められていた.  数日前より39度台の発熱, 強い倦怠感があり, 血液検査にて汎血球減少, LDH 2000台, フェリチン 9000台, TG 390と高度上昇を認め紹介.    検査の結果, 骨髄より血球貪食所見が認められた. 補体は低値, ANAは強陽性, 直接クームス陽性などのAIHA所見もあり,

          Acute Lupus Hemophagocytic Syndrome

          手関節の米粒腱鞘滑膜炎

          数カ月〜1年の経過で片側手関節の腫脹を認めた高齢男性の症例. MRI, エコーにて腱鞘に沿った高度な炎症が認められた. 外科手術にて米粒状の組織が検出された. 組織病理・培養からは結核やNTMなどの抗酸菌は検出せず. 関節リウマチやSLEの特異抗体も陰性であった. 術後, 関節症状は部分的に軽快したものの, 炎症は残存. どのような病態を考える必要があるのだろうか? Rice bodyを伴う腱鞘滑膜炎(World J Clin Cases 2022 November

          手関節の米粒腱鞘滑膜炎

          雑文: 内科診療フローチャート 序文 裏

          ホスピタリストのための内科診療フローチャート  おかげさまで第3版出版となりました. 2016年に初版が, 2019年に第2版, そして2024年に第3版と 初版からおよそ8年が経過しました. 2016年というと, 私が2007年卒ですので, 卒後9年目で出版したことになります. 私は初期研修を洛和会音羽病院で行い, その後 飯塚病院, 洛和会丸太町病院 総合診療科で当時臨床バリバリ(今もですけど)の清田雅智先生, 植西憲達先生(現 藤田医科大学), 上田剛士先生という

          雑文: 内科診療フローチャート 序文 裏

          Spontaneous Hypothermia(広義のShapiro症候群)

          最近, X経由で症例報告レポートを呼んだ. 繰り返す発汗+悪寒戦慄であるが, 血液検査も問題なく, 敗血症でも無い症例で, てんかん波を認め, 最終的にてんかん発作であった, という報告である. この症例では最初に発汗を生じ, その後悪寒戦慄が生じるエピソードを繰り返していたそうだ. これをザッとであるが目を通し, ある病態を想起した. 悪寒戦慄は「悪寒」を感じ, さらに「震える」症状である. 実際の深部温と、中枢における体温セットポイントが大きく開く場合に生じる症状であ

          Spontaneous Hypothermia(広義のShapiro症候群)

          体重減少と悪性腫瘍のリスク

          体重減少は内科外来でそれなりによく診る主訴の1つであるが, その重要な鑑別に悪性腫瘍がある. 実際, どの程度リスクがあるのか, を前向きコホートで調査した報告がJAMAより発表されたのでまとめてみたい. (JAMA. 2024;331(4):318-328. doi:10.1001/jama.2023.25869) 40歳以上の男女を対象とした前向きCohortを解析し
過去2年以内の体重減少とその後12ヶ月以内の悪性腫瘍診断リスクを評価した・体重減少は, 意図したもの

          体重減少と悪性腫瘍のリスク

          IgG4関連疾患におけるステロイドの減量

          IgG4関連疾患は診療頻度が高い疾患で, 耳下腺など唾液腺炎や涙腺炎, 自己免疫性膵炎, 胆管炎, 後腹膜線維症, 大動脈周囲炎・大動脈炎, 前立腺炎, リンパ節炎, 肺病変とさまざまな病態を呈する. 治療はステロイドが基本となり, 免疫抑制療法を併用することがあるが, どのSteroid sparing agentが最も適切か, というのは不明確である. また安定後, ステロイドを減量すると再燃も多いため, 切り時が難しい疾患の一つ. そのような中, ステロイドや免疫抑

          IgG4関連疾患におけるステロイドの減量

          レクチャー: 不明熱・モノモノしい症例 その1

          症例提示: 50歳台の男性. 1年前から繰り返す発熱を主訴に紹介となった 1年前(初診時)のエピソード: 
・受診の2ヶ月前に一過性の咽頭痛と1週間程度の発熱を認めたが, 自然に改善した.
・2週間前より持続する発熱を認めたため来院した.  発熱以外の自覚症状は認めなかった. ・総合診療科を受診し, 精査にてCRP 9.73mg/dL, LDH 600台, フェリチン 337ng/mLと上昇あり. 血小板 14万と軽度低下を認めた. ・不明熱として精査され, ウイルス抗体

          ¥500

          レクチャー: 不明熱・モノモノしい症例 その1

          ¥500