自己免疫性筋炎とMRI所見の特徴

先日行われた2024年の日本リウマチ学会総会で個人的に一番勉強になったものです.
Rheumatology, 2024,
doi: 10.1093/rheumatology/keae125

MRIによる筋炎の所見と病理所見, 臨床所見との関連を評価した報告.

MRIの所見は以下のように分類した;

・Fascial(筋膜)
・Honeycomb(蜂窩状)
・Peripheral(辺縁型)
・Foggy(霧状)
・Dense dot(密集した点状)
・Coarse dot(荒い点状)

・Honeycombパターンは不均一な網状の高信号所見
・Foggyパターンは筋の均一な高信号所見 (辺縁部優位などの不均一性がある場合はPeripheralパターンとした)
・Dense, Coarse dotは2-3mmの点状高信号が1スライスあたり
≥10箇が密に存在する場合をDense, <10個でまばらに認めるものをCoarseと定義
・筋膜に高信号を認める例をFascialパターンとした.

画像の例:

自己免疫性筋症で筋生検を行った85例の病理所見と
MRI所見を比較

・Foggy patternは筋内膜への炎症細胞浸潤と相関性を認めた
 
(Foggyでは94.4%, 非Foggyでは69.9%, OR 11.9)
・Honeycomb patternは筋鞘への炎症細胞浸潤と相関性を認めた
 
(Honeycombでは80%, 非Honeycombでは39.0%, OR 6.0)
・Fascial patternは筋膜への炎症細胞浸潤と相関性を認めた
 
(Fascialでは79.5% vs 非Fascialでは17.6%, OR 16.9)

・Dotは筋繊維内の血管炎を反映していると考えられる.

臨床病型とMRI所見の関連

・Honeycombは抗TIF1γ抗体, 抗Mi2抗体, 抗NXP2抗体陽性のDM, 抗体陰性DM
・Foggyは抗SRP抗体や抗HMGCR抗体陽性の壊死性筋症, 抗体陰性PMで多い
・
Dense dotは特に抗TIF1γ, Coarse dotは抗MDA5抗体との関連が認められた.
 血管炎を反映している可能性. 

MRI所見と臨床症状/所見

・HoneycombやFascialパターンはGottron徴候や悪性腫瘍との関連がある → DM-like
・Foggyは逆に皮膚病変(-), ILD(-)と関連し, 筋症状が強い → PM-like
・Dense dotは嚥下障害や悪性腫瘍との関連 → 抗TIF1γ抗体との関連
・Coarse dotは有意差はないがILDと関連が疑われる → 抗MDA5抗体との関連


こういった日常診療に直結する臨床研究は大好きです.

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