IgG4関連疾患におけるステロイドの減量

IgG4関連疾患は診療頻度が高い疾患で, 耳下腺など唾液腺炎や涙腺炎, 自己免疫性膵炎, 胆管炎, 後腹膜線維症, 大動脈周囲炎・大動脈炎, 前立腺炎, リンパ節炎, 肺病変とさまざまな病態を呈する.

治療はステロイドが基本となり, 免疫抑制療法を併用することがあるが, どのSteroid sparing agentが最も適切か, というのは不明確である.
また安定後, ステロイドを減量すると再燃も多いため, 切り時が難しい疾患の一つ.

そのような中, ステロイドや免疫抑制療法の減量/中止を評価した論文がでた.

(Ann Rheum Dis 2024;0:1–10. doi:10.1136/ard-2023-224487)

WInS IgG4-RD trial: IgG4-RDでGC+IMで維持療法を行われ, 12ヶ月以上安定している患者群146例を対象とし,
・GC, IM減量群
・GCのみ減量群
・GC, IM維持群に割り付け比較したOpen-label RCT.

・アウトカムは18ヶ月以内の疾患再燃リスクを比較した
・割り付け前のGC使用量はPSL≤7.5mg/dで安定している群で定義.

 IMの維持量はMMF≤1g/d, LEF ≤20mg/d, MTX≤12.5mg/wk, AZA ≤100mg/d, IGU ≤50mg/d, HCQ≤400mg/d, Tripterygium ≤60mg/d, CYC ≤50mg/dとした.
・2年以内にB細胞抑制療法(RTXなど)を受けている患者は除外
され, また他に, GCを中止し1年以内に再燃を認めた患者, 2種類以上のIMを使用中の患者, 不可逆的な重度の臓器障害を認める患者(心血管, 呼吸, 腎臓など, 中止による増悪が許容できないと判断された群), 悪性腫瘍や活動性感染症(TB, 慢性肝炎), 妊娠を計画している患者は除外.

患者群: 
・臓器障害は膵臓が3-4割, 耳下腺/唾液腺が6割, 涙腺が4-5割と多い

・IMはMMF, MTXの使用頻度が高い.

アウトカム

・GC, IM双方を減量/中止する場合, 半数で再燃を認めるが,

 GCのみ減量/中止群ではGC, IM維持群と差は認めない.


・IgG4-RDでGC+IM治療で長期間安定している場合, GCは減量, 中止を狙うのはアリと言える.
・IMも中止すると半数以上で再燃するリスクがあり, IMは残す方が良い.
・どのIMを用いるかはまだ明確ではないものの, StudyではMTXやMMFの使用が多い. 他の選択肢はAZA, LEF, IGUだが
(正直IgG4-RDでLEFとIGUは使ったことないです)

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