猫猫庵

猫猫庵(びょうびょうあん)と申します。 このページでは主に、怪談収集家・語り手の星野し…

猫猫庵

猫猫庵(びょうびょうあん)と申します。 このページでは主に、怪談収集家・語り手の星野しづくさんのYou Tubeチャンネル『不思議の館』に投稿したものを、文章として順次再掲。また、youtubeのAI生成の音楽チャンネル「Music猫根庵ByouByouAn」もやっております。

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    AIを使って描いた美人画です

  • ホラ短・つぶ怖

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記事一覧

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華傘雨

猫猫庵
5日前
2

これはYさんという50代の男性から聞いたお話です。 Yさんが40代だったある年の6月のことです。 その日、朝のうちはよく晴れていて、天気予報でも雨の確率が低かったので…

猫猫庵
6日前
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紫陽花之館

猫猫庵
2週間前
1

今回は昔、大阪のとあるバーで働いているK子さんという女性から聞いたお話です。 K子さんは高校卒業後、地元の会社に就職しましたが、肌に合わず、2年ほどで退職して大阪…

猫猫庵
2週間前
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水無月雨情

猫猫庵
3週間前
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二階の窓

今回は数年前に、とある蕎麦屋でノゾミさんという40代の女性から聞いたお話です。 ノゾミさんが大学時代のことです。 彼女は、住宅街の一角にある学生マンションに住んで…

猫猫庵
3週間前
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遊蝶図譜

猫猫庵
4週間前
2

スナックよみぢ

10年ほど前、とあるバーのカウンター席で、隣で飲んでいた中年の男性がこんな話をしていました。 その男性(仮にYさんとしておきます)は機械修理の仕事をしているらしい…

猫猫庵
1か月前
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艶姿館女神(あですがたやかたのめがみ)

猫猫庵
1か月前
1

肩の両手

今回は昔よく通っていた喫茶店の常連客の男性から聞いたお話です。 その男性(仮にAさんとしておきます)が30代だった1978年(昭和53年)6月のことです。 その日Aさんは…

猫猫庵
1か月前
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お守り

これは私が小学校1年生の時のごく短い些細なエピソードです。 その日私は、同級生のMくんといっしょに自転車遊びをしていました。 ふたりとも自転車に乗れるようになって…

猫猫庵
1か月前
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深夜の交通誘導

この話は数年前、我が家の前の道路工事現場で交通誘導をしていた警備員のおじさんから聞いた彼の体験談です。 そのおじさん(仮にAさんとしておきます)が30代だった、あ…

猫猫庵
1か月前
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奏楽茶会

猫猫庵
1か月前
2

角を曲がる女

今回は先日、病院の待合で偶然会った知人から聞いた話です。 事の起こりは、彼(仮に田中さんとしておきます)が20代のはじめ頃、今から40年ほど前のことです。 その日田…

猫猫庵
1か月前
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翳りゆく部屋

これは荒井さん(以下すべて仮名)という50代の男性から聞いた、彼の若い頃の体験談です。 今から30年ほど前の春に、荒井さんはそれまで住んでいた1Kのマンションから、2D…

猫猫庵
2か月前
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白星(シラボシ)

これはAさんという30代の看護師の女性から聞いたお話です。 5年ほど前の4月のある日のことでした。 その日は春らしい暖かな陽気で、仕事が休みだったAさんは近所の散歩…

猫猫庵
2か月前
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傘

これはYさんという50代の男性から聞いたお話です。

Yさんが40代だったある年の6月のことです。
その日、朝のうちはよく晴れていて、天気予報でも雨の確率が低かったので、Yさんは傘を持たずに出勤しました。

しかし、午後から雲行きが怪しくなりはじめ、彼が仕事を終えて自宅の最寄り駅に着いた午後9時頃には、雨は本降りになっていました。

駅から自宅までは歩いて15分ほど。
タクシーのりばを見ると、数人

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声

今回は昔、大阪のとあるバーで働いているK子さんという女性から聞いたお話です。

K子さんは高校卒業後、地元の会社に就職しましたが、肌に合わず、2年ほどで退職して大阪に出てきたのだそうです。
たいしてお金もなく、かといって別に新しい就職先の宛もなかったK子さんは、とりあえずの働き口として水商売を選んだのでした。

彼女は店にほど近い安アパートの一室を借りて、そこで暮らし始めました。
各階3部屋ずつの

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二階の窓

二階の窓

今回は数年前に、とある蕎麦屋でノゾミさんという40代の女性から聞いたお話です。

ノゾミさんが大学時代のことです。
彼女は、住宅街の一角にある学生マンションに住んでいました。
周辺は古い一戸建ての住宅が多く、狭い道路と用水路が縦横に交差する、昭和の面影が残る街並みでした。

マンションを出て、いくつか角を曲がると、歩いて10分とかからずにコンビニやスーパーのある大通りに出られます。
そんな大通りへ

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スナックよみぢ

スナックよみぢ

10年ほど前、とあるバーのカウンター席で、隣で飲んでいた中年の男性がこんな話をしていました。

その男性(仮にYさんとしておきます)は機械修理の仕事をしているらしいのですが、ある日、県北の町に出張にいったときのことだそうです。

当初は日帰りの予定でしたが、近くの事業所からも修理以来があったので、ついでにそちら寄ってほしいという連絡が会社からあり、その日は急遽一泊することになりました。

途中で軽

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肩の両手

肩の両手

今回は昔よく通っていた喫茶店の常連客の男性から聞いたお話です。

その男性(仮にAさんとしておきます)が30代だった1978年(昭和53年)6月のことです。
その日Aさんは出張のため東京に来ていました。

午後9時頃に仕事を終えたあとは、同僚たちと2軒ほど居酒屋を回り、気づけば時刻は午前零時近くになっていました。
ホテルへと戻ろうと、同僚たちと別れて、西日暮里の駅に向かっていたAさんでしたが、ふと

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お守り

お守り

これは私が小学校1年生の時のごく短い些細なエピソードです。

その日私は、同級生のMくんといっしょに自転車遊びをしていました。
ふたりとも自転車に乗れるようになって、まだまもない頃のことでしたが、この時期は乗れば乗るほど運転技術が上達していく頃でもありました。

遊んでいるうちに自然と二人乗りができるようになり、ふたりとも嬉しさで夢中になって、ひとつの自転車をとりあうようにして漕ぎ回っていました。

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深夜の交通誘導

深夜の交通誘導

この話は数年前、我が家の前の道路工事現場で交通誘導をしていた警備員のおじさんから聞いた彼の体験談です。

そのおじさん(仮にAさんとしておきます)が30代だった、ある年の夏のことです。
彼は、とある道路工事現場の交通誘導にあたることになりました。

指示された現場は片側が崖、片側が山の二車線の道路でした。
片側交互通行の誘導ですが、道が崖側に大きくカーブしている箇所で、見通しが悪いために、Aさんの

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角を曲がる女

角を曲がる女

今回は先日、病院の待合で偶然会った知人から聞いた話です。

事の起こりは、彼(仮に田中さんとしておきます)が20代のはじめ頃、今から40年ほど前のことです。
その日田中さんは、隣の市にある喫茶店で友人と会う約束があり出かけたのですが、途中で道に迷ってしまいました。

携帯電話がまだない頃のことです。
田中さんは友人から聞いた大まかな住所と、喫茶店の名前だけを頼りに、見知らぬ街を歩きまわっていました

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翳りゆく部屋

翳りゆく部屋

これは荒井さん(以下すべて仮名)という50代の男性から聞いた、彼の若い頃の体験談です。

今から30年ほど前の春に、荒井さんはそれまで住んでいた1Kのマンションから、2DKの部屋へと引っ越したのだそうです。
引越し先は通称寺町と呼ばれている、閑静な町の一角にある新築のマンションでした。

荒井さんの部屋は四階でしたが、寺町という呼び名のとおり、窓からの景色は、高いビルが少なく、寺院の黒い屋根瓦があ

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白星(シラボシ)

白星(シラボシ)

これはAさんという30代の看護師の女性から聞いたお話です。

5年ほど前の4月のある日のことでした。
その日は春らしい暖かな陽気で、仕事が休みだったAさんは近所の散歩に出かけたのだそうです。

近くの土手の道や公園などをのんびりと散策して、自宅のマンション近くに戻ってきたときのことでした。
とある一軒の家の前でなにやら人だかりができています。

なんだろうと思って覗いてみると、近所の主婦や老人たち

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