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ホラ短・つぶ怖

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怪談風味の短歌です
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千日手

今日もまたともに魔界に囚われの二人向き合う呪いの盤に 怪物はこころ寂しき者なるを知るも知らずもみな葬(ほふ)りたり 熟考のきみを待つ間の虚ろなるこころの闇をわれは見ており ひとときの勝負はつけど身はともに怨嗟の房を出るあてもなし 身の異形 心の異形 差し向かい させば恨みのこの千日手

鬼の道行

地獄への門が開くと辻番の低く怪しき声聞こえくる 煌々と灯る明りは煉獄の焔(ほむら)か否や万の鬼火か 煩わしき人みな消した夜の小路(こうじ)いざや参らん鬼神となりて 百鬼夜行消えてゆきたるしんがりを歩むはふたり鬼の道行 人ならぬ手に手をとりて語らわん闇へと続くこの道すがら