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それぞれの願いが、いつかどこかで叶いますように。

駅の近くのモールの入り口には笹の葉が
飾られていてそこに、つたない文字で何か
が書かれた短冊がつるされていた。

人の望みはあまり覗いちゃいけないかなって
思ってさらさらっと通り過ぎた。

みんななにかを、祈ったり願ったりしたい
ことがある。

去年も思ったけど。

今年もまた想う。

小さな子の大きさがまちまちの文字の後ろっ
側には、どこか家族がみえる。

それぞれに願いってきっとあるよなぁって、
想っていたら、ふたたび歩く速度も幾分ゆる
やかになってゆく。

大阪にある星が丘という町には、<天の川>
という名前の川があるらしい。


ここは世界に近いなと思う。ふっと手を伸ばせば
世界のみずみずしい芯に簡単に触れられるような、
そんな気がする瞬間がある。


大好きな雑誌クウネルで、文筆家で翻訳家の
鈴木るみ子さんが取材されていた文章で知った。


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空の上にではなく、ちゃんと地上に天の川が
あるのがいいなと思う。

むかし<教養としての裁縫>を身に着けるため
の洋裁学校があって、

そこの裏庭の納屋が、<ソーイングテーブル>
いうカフェに生まれ変わったのだとか。

その場所と人の物語がとても好きで、時折、
ページを開いてしまう。

<空いていた教室がギャラリー>になって。

色々なアーティストたちの個展が開かれている
らしい。

お店のネーミングの如く、人と人の時間がやさ
しく縫い合わされているようなそんな印象なのだ。



カフェの机の真ん中には<便箋とペンの箱>
用意されていて、

それは<恋文展>のためのもので、ポストでは
なくて<投函しない>恋文を書けるようになって
いる。

そして集ったみんなのその恋文の数々を
<1冊の本に綴じて>そのお店の
<本棚に並べた>と、書いてあった。

こういうお店ってすきだな。

こういう店主の方っていいなって思う。
 
みえないこころのりんかくをちゃんと、うけ
とめる場所がそこにあるって、温かい。

七夕のことも忘れかけていたけれど、久しぶりに
そこのページをめくりながら、そこに集う人々が
健やかでありますように。

そんな想いに駆られた。

「この店で見つけた何かが、別の場所で誰かを
励ましていれば、それで成功」

店主の玉井さんの言葉でそのページは結ばれて
いた。

こんなふうにやさしい言葉を引き出すことの
できる鈴木るみ子さんの文章が好きだった。

今はもう鈴木さんが、いらっしゃらないことを
去年の今頃知った。

去年の七夕にあわせて鈴木さんのことをnoteで
書こうと想っていたけれど。

ちょっとうまく書けなくて、ぜんぶ消して
しまった。

今年は、書いてみたかった。

ちょっと自分とだけ約束してみた。

あしたの七夕に、なんとか間に合いそうだ。

やさしい文章に出会うと、こころもすこし
やさしくなれる気がする。

星が丘の<天の川>に託された願いが、いつか
ちゃんと、まっすぐ届きたい誰かのもとに届く
といいなと、思いながらページを閉じた。

そうだ、天の川といえばわたしは宮沢賢治
『銀河鉄道の夜』をどうしても思い出してしまう。

鈴木るみ子さんが書いた、『銀河鉄道の夜』の
まぼろしの解説をぜひ読んでみたかった。


笹の葉が もえつきるまで 星にふれてる
天の川 たゆたう流れ みちてゆく秒

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