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待っている時間って、想う時間。

いつも何かをあちこちに行って探して

いるようなところがあるので、何かを

探しているひとたちの物語はすきだ。

きのう、うれしい贈り物を頂いた。

ヱビスビール「ホップテロワール」と林伸次さんのご著書です。
素敵な贈り物をありがとうございます。

noteで募集していた林 伸次さんの小説の

読書感想文が当選したことへのご褒美だった。

冷たい雨がやがて雪にかわりそうなそんな日の

渋谷のバーが舞台の物語。

長くて古い木のカウンターが一本あって。そこに背もたれのない樫の木の椅子が七席あるだけだ。僕が立つ後ろ側には窓がありお客様は、その窓から月や渋谷の夜を眺められる。

HOP TRAVEL ハラタウ‐100年の土地‐  林伸次著p1~2

店主は20年もそこでバーを経営している。

その日、その店にひとりの女性がやってくる。

恋人が、

「美味しいビールを追いかけて、消えてしまった」

という。

ここから少しずつ時間を重ねながら読者は

彼女が探している恋人とビールを探す

旅にでることになる。

人生のじかんを丁寧に費やしながら

渋谷からドイツまで、旅をした気持ちになる。

そしてわたしも、奇しくも探していた

ビールがあったことを思い出していた。

彼が好きだったと言っていたビール。

名前は「王様のビール」と呼ばれていたらしい。


Gouden Carolus Cuvée van de Keizer Blauw
グーデン・カロルス・キュヴェ・ヴァンド・ケイゼル・ブルー

神聖ローマ帝国皇帝のカール5世が

好きなビールを自分の誕生日の2月24日には

市民にひとり1本ずつふるまったという

言われがあるんだって、そう教えてくれた。

彼の元ネタは、古谷敏光さんのマンガが

ドラマになった『Bar レモンハート』から。

いつもひとつのお酒にまつわるエピソードが

一話完結で語られるもので、そのひとつが

カール5世のビールだったらしい。


カール5世の誕生日である2月24日には

現在でも毎年限定販売されるって聞いた。

その日は、ふたりでお祝いしようって

軽く約束していた。

2月24日、忘れないって言っていたのに

ふたりでうっかり忘れていたら

次の2月24日にはもうすでに彼がうっかり

あっちに行っちゃったのでそのまま

このビールのことは忘れることにしていた。

でも、林さんの小説を読んでいて、

美味しいビールを探すためにはぐれて

しまった恋人をさがしてるっていう

文章に出会って彼の好きなこのビールを

思った。

限定販売とかに凄く弱いわけじゃないので、

今年その日をうっかり忘れてしまったら

なんだか残念なのでさっき予約した。


「Bar レモンハート」でのエピソードでは

ひとりの社長さんが主人公だった。

メールと電話だけじゃ信用できない。

人とひとって会ってわかることが多い。

そういう昔ながらの男の人だった。

この社長さんって彼に似ていたと思う。

あのビールをどうして好きになったのか

呑みたいって思ったのか聞き忘れたけど。

たぶんそこに描かれている社長さんと

じぶんが重なるところがあったのかも

しれない。

もう化石だわ俺ってっていつも言って

いたから。

さっきこのビールのことを調べていたら

エールビールという種類で。

林伸次さんの小説でも一番最初に彼女が

呑むビールがペールエールだった。

寒い外をずっと歩いてきたらしい彼女を

温めてくれるようなぬるくても美味しい逸品。

小説を読みながら、ビールを呑むって

至福の時間だろうなって思いながらも

まだやったことがなかった。

今度この王様のビールが届いた日には

呑みながら読むってことを楽しんでみたい。

あの日の 続き探してる ページに迷う
探してる 探してるものに もう出会っていたり





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