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10/5発売【文春電書】文春文庫10月新刊今月はミステリー作品が目白押し!                  

文藝春秋電子書籍マーケティング部のTでございます。
「読書の秋」には科学的根拠はないようですが、過ごしやすい気温、からっとした気候によって、物事に集中しやすい環境からそのように言われているようです。季節にふさわしい、読書に没入するにはもってこいのラインナップをご紹介いたします。

阿部智里『楽園の烏』

2012年、早稲田大学在学中、史上最年少となる20歳で松本清張賞を受賞。それからはや10年・・・。累計発行部数180万部という読者からのアツい支持と、編集者や営業からの有言、ときに無言のラブコール(圧力??)に応えて、シリーズは10/7発売の『烏の緑羽』で11作目となりました(文庫を除く)。本作は、第2部の第1巻。第1部最終巻の『弥栄の烏』から20年後の世界を描いています。物語のはじまりはなんと現代!読む本を間違えたんじゃないかと、一瞬、思ってしまいました。毎巻毎巻、ミステリー要素も満載で、あっと驚くストーリーテリングには本当に舌を巻くはず!
たとえば「十〇国〇」好き、ファンタジーが好きな方ならば間違いなくハマってしまうでしょう(その逆も真なり~!!)。
一部電子書店にて、既刊の30%値引きフェアも実施いたします
この壮大な世界に耽溺する絶好の機会を、ぜひお見逃しなく。

真山仁『神域』

壮大なファンタジーの次は、現代社会の光と影に切り込む、真山仁さんの新刊。真山さんの取材ノートはまるでノンフィクション作家のような緻密さです。現代の実在の事象をテーマとしているだけに、とにかくリアリティにこだわっています。本作は、アルツハイマー病を治す「奇跡の細胞」をめぐる、バイオ・ビジネスの光と闇を描く迫真の医療サスペンス。単行本版は上下巻ですが、文庫版は1冊に。お得に読めます!

吉永南央『月夜の羊 紅雲町珈琲屋こよみ』

またまた打って変わって、同じサスペンスでも舞台は北関東の珈琲店「小蔵屋」。主人公は店主のお草さん。70代のおばあちゃん。探偵並みの名推理を披露するのですが、たまに”徘徊”と間違われることも(笑)
2011年刊行の『萩を揺らす雨』(単行本は『紅雲町ものがたり』のタイトルで08年刊行)から数えて9作目の人気シリーズ。文庫『萩を揺らす雨』発売当時、郊外の住宅街にある書店さんでなぜか売れておりました。これといった理由は未だに不明ですが、売れる本は不思議な力が宿っているんだなと感心した記憶があります。
〈たすけて〉と書かれた一枚のメモを拾う。 折しもその日の夕方、紅雲町では女子中学生が行方不明に。本作もお草おばあちゃんの名推理が炸裂!

記念すべき第1作はこちら!!

矢月秀作『死してなお』

累計110万部突破『もぐら』シリーズの著者、最新刊です。
あらゆる犯罪の手口や犯罪者の経歴などの情報を整理し管理する部署、大分県警本部刑事部刑事企画課の捜査支援室。半年前に配属された三浦賢太郎は、室長の花岡よりある命を受ける。かつて大分県警を震撼させた巨悪事件の首謀者、萩谷信に関して一から調べ直し、その考察を全国の捜査支援室の会合で発表したいという。萩谷が何故、異常なまでの罪を犯し、最期は自ら命を絶ったのか? 前代未聞の犯罪者はどのようにして生まれたのか? 数少ない手掛りと証言をもとに彼の足跡をたどる三浦。どんな答えを導き出すのか――。

山田詠美『ファーストクラッシュ』

山田詠美ファンなら”どストライク”の極上の恋愛小説。
これは高見澤家の三姉妹が、母を亡くして家に引き取られてきた一人の少年に恋をする物語——なのですが、一筋縄ではいかないのが山田詠美作品。実は彼は父の愛人の子だったために、複雑なドラマが生まれます。「私は山田詠美に文学を恋を同時に教わった」という町屋良平さんから、すばらしい解説をご寄稿いただきました。

山田詠美さんの恋愛小説といえば、こちらも絶品!その名も・・・。

鳴神響一『鎌倉署・小笠原亜澄の事件簿 稲村ヶ崎の落日』

今月2作目の警察小説。主人公は女性!カバーも攻めてます(笑)
発売即重版『偽りの捜査線 警察小説アンソロジー』(文春文庫)に収録された「虚飾の代償」の主人公・小笠原亜澄と吉川元哉の凸凹コンビが難事件を解決! 

榎田ユウリ『猫とメガネ 蔦屋敷の不可解な遺言』

離婚寸前の偏屈会計士が出会ったのは、離島出身の大らかな大学生と何かと口の悪いイケメン准教授。そこに相続を巡る騒動が勃発。
装画は榎田さんの人気シリーズ〈妖琦庵夜話〉や、ドラマが放送されたの共著『先生のおとりよせ』でタッグを組んでいる、人気漫画家の中村明日美子さん。ファンの方は大至急、チェックをお願い致します!

東川篤哉『魔法使いと最後の事件』

こちらは脱力系本格ミステリーの第一人者。多数の人気シリーズを抱え、2011年には『謎解きはディナーのあとで』で本屋大賞を受賞されています。『魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?』から始まった「魔法使いマリィ」シリーズも、四作目の本作で、ついに最終巻を迎えます。この機会に、クセになるユーモアミステリーをまとめて味わってみてはいかがでしょうか?

魔法使いマリィシリーズ、1作目はこちら!

宮本紀子『おんなの花見 煮売屋お雅 味ばなし』

江戸の“デリ”が舞台の美味しい人情連作短編集。
訳あって離縁したお雅が営む「旭屋」。夕餉の献立に困ったおかみさんたちの間で、持ち帰りのお菜をたっぷり揃えた見世は評判を集めている。
気難しい差配や常連客の色恋、そして元亭主や母親との関係に悩まされながらも、お雅は旬なお菜を拵え、「旭屋」を逞しく切り盛りする。江戸をめぐる四季と人間模様を丁寧に描いた、心温まる時代小説です。

角幡唯介『極夜行前』

本作は、2018年の超話題作『極夜行』の“エピソード1”といえる、北極で過ごした350日のすべて。
ノンフィクション界の話題をさらった『極夜行』。 太陽の昇らない冬の北極を一匹の犬とともに旅をし、4か月ぶりに太陽を見るという誰も真似できない大冒険を描き、Yahoo!ニュース|本屋大賞ノンフィクション本大賞、大佛次郎賞受賞のw受賞を成し遂げました。
文庫化にあたり、カヤッカ―の山口将大さんの特別寄稿を収録。
ユーモアたっぷりに角幡さんの変人ぶりを書かれています(笑)。

もちろん、こちらも合わせて読んでいただきたい!!

邱挺峰・作 藤原由希・訳『拡散 大消滅2043』(上・下)

『三体』などで熱い華文SFシーンから、 〝台湾のダン・ブラウン〟登場!ブドウを枯らすウイルスが猛威を奮った近未来を描くSFスリラー大作です。

與那覇潤『帝国の残影 兵士・小津安二郎の昭和史』(文春学藝ライブラリー)

『中国化する日本』で颯爽と論壇デビューを果たした與那覇潤さんは、かつて、日本近現代史を専門とする少壮気鋭の歴史学者でした。大学で学生たちに小津映画を題材に歴史を講じようとして思うようにいかなかったことが、本書執筆の動機でした。映画批評と歴史学の融合を達成した名著がいよいよ文庫で登場です!

與那覇潤さんの、賛否渦巻いた衝撃の作品。今読んでも新しいです。

お読みいただきありがとうございました。
ミステリーが固まるのは毎年10月、文春文庫の恒例です。なぜそうなったのかは不明ですが、12月初旬にミステリーランキングが続々と発表され、それに合わせた新刊が10月に発売される傾向があるからだと思われます。
今月は特に長く愛されているシリーズが発売されます。これを機会に、1巻目から読み始めてみてはいかがでしょうか?
来月もよろしくお願い申し上げます。


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