見出し画像

DXとマーケティングその16:「われわれの事業は何になるか、何であるべきか」とDX

分析屋の下滝です。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とマーケティングの関係を考えてくシリーズの第16回目です。

前回前々回とで、DXと経営とのがどのように関係するのかを見ました。DXを企業全体としての取り組みと捉えるならば、経営との関係性があると考えられるためです。

DXに関してはこれまで通り『DX実行戦略』をもとにしています。

経営の枠組みとしてはドラッカーの考えを参考にし、以下のことに着目しました。
・企業の目的は何かということ
・事業は何か、何になるか、何であるべきかを定義すること
・事業の定義から8つの目標を定義すること
そして、これら「経営での考え」と「DXでの考え」とを関係付ける候補となる要素を特定しました。

画像5

今回は前回からの続きとなります。ドラッカーによれば企業の目的は「顧客の創造」です。そして、企業は顧客の創造のために、マーケティングとイノベーションの2つの機能を果たすとされます。では、DXの取り組みは、これらの2つの機能とどのように関係するのでしょうか。今回は、この疑問に答えていく続きとなります。具体的には、「われわれの事業は何になるか」と「われわれの事業は何であるべきか」という問いと「DXの定義」との関係を見ていきます。

これまでの記事

第1回はこちら。経産省のDXの定義とマーケティングとの関係について考察しました。
第2回はこちら。『DX実行戦略』におけるDXの定義とマーケティングとの関係について考察しました。
第3回はこちら。「無料/超低価格」のビジネスモデルを分析しました。
第4回はこちら。「購入者集約」のビジネスモデルを分析しました。
第5回はこちら。「価格透明性」のビジネスモデルを分析しました。
第6回はこちら。「リバースオークション」のビジネスモデルを分析しました。
第7回はこちら。ここまでの記事をまとめました。
第8回はこちら。「従量課金制」のビジネスモデルを分析しました。
第9回はこちら。『マーケティング大原則』という書籍におけるマーケティング定義を確認しました。
第10回はこちら。『マーケティング大原則』という書籍で紹介させている「戦略的コンセプト」をDXの視点から関係性を見ました。
第11回はこちら。DXの実行プロセスとマーケティングのマネジメントプロセスの関係性を見ました。
第12回はこちら。DXの実行プロセスとマーケティングのプランニングプロセスの関係性を見ました。
第13回はこちら。『デザインドフォー・デジタル』というDXの書籍をもとにDXとマーケティングの関係をみました。
第14回はこちら。DXと経営との関係付けの準備を行いました。
第15回はこちら。DXと事業の定義がどのように関係するのかをみました。

これまでのおさらい

先程の図をつかって、これまでのおさらいをします。

画像6

まずは、経営の領域からです。

ドラッカーによれば、企業の目的は顧客の創造であり、そのための機能としてマーケティングとイノベーションの機能を果たします。企業は、事業の定義を持つ必要があり、三つの視点から事業の定義する必要があります。それらは「われわれの事業は何か」「われわれの事業は何になるか」「われわれの事業は何であるべきか」という視点での定義です。そして、これら定義は、具体的な目標として定義する必要があります。目標の領域は8つあります。マーケティングでの目標、イノベーションでの目標、生産性の目標といったものです。

具体的な説明は前回の記事を参照してください。

今回の記事の対象は、「われわれの事業は何になるか」「われわれの事業は何であるべきか」の定義となります。

次にDXでの要素を見ていきます。『DX実行戦略』での要素をまとめたものが以下の図となります。

画像8

企業は、複数の事業からなるとしています。各事業は、変革目標を持ちます。変革目標は、3つの要素で構成されます。「対応戦略」、「カスタマーバリュー」、「ビジネスモデル」の3つです。

変革目標の1つ目のカスタマーバリューは、顧客にどのような価値を提供するのかというものであり、3種類があります。「コストバリュー」、「エクスペリエンスバリュー」、「プラットフォームバリュー」です。これらの種類は『DX実行戦略』の著者らが、大きな成功を収めているディスラプター100社以上を研究して、特定したものです。

変革目標の2つ目のビジネスモデルはこれらカスタマーバリューを実現するための方法です。たとえば「無料/超低価格」といったビジネスモデルによりコスト的な価値を顧客に提供します。『DX実行戦略』では、ディスラプターが使うビジネスモデルを15種類特定しています。各バリューに対し、5つのビジネスモデルが特定されています。

変革目標の3つ目の対応戦略は、ディスラプターと戦うために、どのような戦略をとるのかを定めるものであり、4つの対応戦略があります。対応戦略は、「収穫戦略」、「撤退戦略」、「拠点戦略」、「破壊戦略」の4つです。どの戦略をとるのかにより、どのカスタマーバリューを作るのかが決まります。

企業は、各事業の変革目標をまとめたものを、変革理念として持ちます。たとえば「2025年までに、4つの事業分野のすべてで、デジタルチャネルから収益の50%を得る」といったものです。変革理念を定義したならば、この理念を実現するための実行のフェーズとなります。

まとめると、企業全体としては変革理念を実現することを目標とします。各事業は、設定した対応戦略に従って、ビジネスモデルを構築し、カスタマーバリューの創出を目指します。

次に、DXの定義を確認しておきます。『DX実行戦略』でのDXの定義は以下となります。

私たちは、デジタルビジネス・トランスフォーメーションを「デジタル技術とデジタル・ビジネスモデルを用いて組織を変化させ、業績を改善すること」と定義する。第1に、企業業績を改善することがその目的であり、第2にデジタルを土台にした変革であること。組織は絶えず変化しているが、ひとつ以上のデジタル技術が大きな影響をおよぼしているものでなければ、デジタルビジネス・トランスフォーメーションには分類されない。そして第3に、プロセスや人、戦略など、組織の変化を伴うものであること。デジタルビジネス・トランスフォーメーションには、テクノロジーよりもはるかに多くのものが関与している。
──『DX実行戦略』, マイケル・ウェイド, p.27

この定義を整理したものを以下に示します。具体的な説明は過去の記事を参考にしてください。

画像7

「われわれの事業は何になるか」とDXの定義

ここからは、事業の定義とDXの定義の関係を見ていきます。

この節では、以下の関係に関して考察します。
・「われわれの事業は何になるか」と「DXの定義」がどのように関係するか

参照しやすいようにDXの定義を再掲します。

私たちは、デジタルビジネス・トランスフォーメーションを「デジタル技術とデジタル・ビジネスモデルを用いて組織を変化させ、業績を改善すること」と定義する。第1に、企業業績を改善することがその目的であり、第2にデジタルを土台にした変革であること。組織は絶えず変化しているが、ひとつ以上のデジタル技術が大きな影響をおよぼしているものでなければ、デジタルビジネス・トランスフォーメーションには分類されない。そして第3に、プロセスや人、戦略など、組織の変化を伴うものであること。デジタルビジネス・トランスフォーメーションには、テクノロジーよりもはるかに多くのものが関与している。
──『DX実行戦略』, マイケル・ウェイド, p.27

続いて「われわれの事業は何になるか」です。

しかし、「われわれの事業が何か」との問いに対する答えのうち、大きな成功をもたらしたものさえ、やがては陳腐化する。
したがってマネジメントたる者は、「われわれの事業は何か」と問うとき、「われわれの事業は何になるか。事業の性格、使命、目的に影響を与える可能性のある経営環境の変化は認められるか」「事業の目的、戦略、仕事のなかに、それら経営環境の変化を現時点でいかに組み込むか」についても考えらなければならない。
─『経営の真髄 上』, ドラッカー, p.179

続き。

ここでも出発点は市場とその可能性である。すなわち、「顧客、市場、技術に基本的な変化が起こらないものとして、5年後あるいは10年後に、どれほどの大きさの市場を予測することができるか」「どのような要因がその予測を正当化し、あるいは無効とするか」を問わなければならない。
市場動向のうち、最も重要なものが人口構造の変化である。しかし、人口に注意をはらっている企業はほとんどいない。経済学に従って、人口を不変のものとしている。かつてはその前提も正しかった。戦争や飢餓など壊滅的な出来事がないかぎり、人口の変化はゆっくりしていた。
だが、もはやそのようなことは言えない。人口は、途上国でも先進国でも急激に変化しうる。事実、変化している。
人口構造が重要なのは、購買力、購買特性、労働力に影響を与えるという理由だけではない。人口構造だけが、未来に関して唯一の予測可能な事象だからである。
マネジメントたる者は、経済構造、流行と認識、競争相手の動きによってもたらされる市場構造の変化に備える必要がある。競争は、顧客が何を買うかによって規定される。したがって競争は、直接のものだけでなく、間接のものも含めて検討しなければならない。
最後に、顧客の欲求のうち、「今日の財やサービスで満たされていないものは何か」を問う必要がある。この問いを発し、かつ正しく答える能力を持つことが、波に乗るだけの企業と成長する企業との差になる。波に乗るだけの企業は、波とともに衰退する。
─『経営の真髄 上』, ドラッカー, pp.179-180

最後に。

「われわれの事業は何になるか」との問いは、予測される変化に適応するための問いである。そのねらいは、現在の事業を修正し、延長し、発展させることである。
─『経営の真髄 上』, ドラッカー, p.180

「われわれの事業は何になるか」との問いは、ドラッカーは明示していませんが、マーケティングに関わる問いに思えます。現時点での事業をもとにしているためです。そのため、もし「われわれの事業は何になるか」との問いとDXが関係するのであれば、DXはマーケティングに関わる取り組みであると言えそうです。

それでは、以下の関係を具体的に考えていきたいと思います。

・「われわれの事業は何になるか」と「DXの定義」がどのように関係するか

どのように考えるか難しいと思いました。ドラッカーの書いていることを理解しきれていないからかもしれません。しかし、次のような視点はどうでしょうか。前回の「われわれの事業は何か」と同じく、特定の問いかけをするプロセスがDXのプロセスに存在するかどうかです。
・DXは、「予測される変化に適応するために、われわれの事業は何になるか」を問うことをプロセスに組み入れているか? また、この問いかけのねらいである「現在の事業を修正し、延長し、発展させる」ということをDXの取り組みの背景としているか?
・DXは、「経営環境の変化は認められるか」「経営環境の変化を現時点でいかに組み込むか」との問いかけをプロセスに組み入れているか? 
・DXは、「市場を大きさを予測し、その予測を正当化・無効化する要因を特定する」プロセスを組み入れているか?
・DXは、「市場構造の変化を検討する」プロセスを組み入れているか?
・DXは、「今日の財やサービスで満たされていないものは何か」との問いをプロセスに組み入れているか?

これらの問いを以下の図にまとめました。前回記事で扱った「われわれの事業は何か」も含めています。

画像1

『DX実行戦略』でのDXの定義は「デジタル技術とデジタル・ビジネスモデルを用いて組織を変化させ、業績を改善すること」ということでした。

結論としては、この定義だけからは、「業績を改善する」ために、上記のような問いを行う活動が含まれているかどうかは分からないように思えます。これらの問いへは、『DX実行戦略』のより具体的なコンセプトである「対応戦略」「カスタマーバリュー」「ビジネスモデル」を考えるときに回答していきたいと思います。

「われわれの事業は何であるべきか」とDXの定義

続いて、以下の関係に関して考察します。
・「われわれの事業は何であるべきか」と「DXの定義」がどのように関係するか

ドラッカーの解説を引用します。

「われわれの事業は何になるか」との問いは、予測される変化に適応するための問いである。そのねらいは、現在の事業を修正し、延長し、発展させることである。
しかし、「われわれの事業は何であるべきか」との問いも必要である。現在の事業をまったく別の事業に変えることによって、新しい機会を開拓し、新しい事業を創造することができるかもしれない。
いかなる企業、産業といえども、この問いを発しなければ重大な機会を失うことになる。「われわれの事業は何であるべきか」の問いに答えるうえで考慮すべき要因は、社会、経済、市場の変化である。そして、もちろん、イノベーションである。自らによるイノベーションと、他者によるイノベーションである。
─『経営の真髄 上』, ドラッカー, pp.180-181

「われわれの事業は何であるべきか」との問いは、イノベーションに関わる問いだと思われます。ドラッカーによれば事業の定義は具体的な8つの目標にしなければなりません。加えて、それら目標の中でのイノベーションに関わる目標は、「われわれの事業は何であるべきか」との問いに対する答えを具体的な行動に移すためのものであると言っています。

そのため、もし「われわれの事業は何であるべきか」との問いとDXが関係するのであれば、DXはイノベーションに関わる取り組みであると言えそうです。DXとイノベーションの関係は、本連載の対象外とはなりますが、考えてみようと思います。

それでは、以下の関係を具体的に考えていきたいと思います。

・「われわれの事業は何であるべきか」と「DXの定義」がどのように関係するか

どのように考えるか難しいと思いました。ドラッカーの書いていることを理解しきれていないからかもしれません。前節の「われわれの事業は何になるか」のようにより具体的な問いかけを行うようには書いてくれていませんが、次のような視点はどうでしょうか。このようなプロセスがDXのプロセスに存在するかどうかです。
・DXは、「現在の事業をまったく別の事業に変えることによって、新しい機会を開拓し、新しい事業を創造する」ための問いをプロセスに組み入れているか? 
・DXは、「社会、経済、市場の変化、イノベーション(自らによるイノベーションと、他者によるイノベーション)を考慮することで、新しい機会を探す」ことをプロセスに組み入れているか?

これらを以下の図にまとめました。

画像3

『DX実行戦略』でのDXの定義は「デジタル技術とデジタル・ビジネスモデルを用いて組織を変化させ、業績を改善すること」ということでした。

結論としては、この定義だけからは、「業績を改善する」ために、上記のような問いを行う活動が含まれているかどうかは分からないように思えます。これらの問いへは、『DX実行戦略』のより具体的なコンセプトである「対応戦略」「カスタマーバリュー」「ビジネスモデル」を考えるときに回答していきたいと思います。

事業の定義とDXの文脈

前節では、事業の定義とDXの定義との関係を見ました。この節では、事業の定義と、DXが取り組みとして必要とされる背景・文脈との関係に関する問いを見てみます。

『DX実行戦略』でのDXの文脈は、彼らの言うデジタル・ボルテックスがもとになっていると思われます。

竜巻と同じく渦巻きは、回転によって周囲の物体に力をおよぼし、渦の中心に引き寄せる。「デジタル・ボルテックス」は市場に起きる破壊現象であり、「デジタル化できるものはすべてデジタル化される」という1点に向かって、企業を否応なしに引き寄せる性質を持っている。製品やサービス、ビジネスモデル、バリューチェーンはデジタル化され、競争を阻害している物理的な構成要素(従来の投下資本や物理的なインフラ、人力によるプロセス)は取り除かれる。渦巻きのなかでは、物体はしばしば回転の力によって分解する。これが、まさに既存企業のバリューチェーン内で起きていることだ。破壊的な企業(ディスラプター)はデジタル技術とデジタル・ビジネスモデルによって、バリューチェーンのつながりを破壊(アンバンドル化)し、その過程で新しいカスタマーバリュー(顧客価値)と市場の変化を生み出す。
──『DX実行戦略』,マイケル・ウェイド, pp.15-16

ウェイドらの前著にはこうあります。

いまや破壊的イノベーターは、ほぼすべての業界のバリューチェーンの一片一片にいたるまでをもデジタル化しつつある。その結果、バリューは細分化され、既存企業が依存している従来的な「プロフィットプール(訳注、バリューチェーン上で利益が大きい部分)」から水が漏れ出している。私たちの調査に参加したエグゼクティブたちは、今後5年のうちに非常に多くの(実に40%の)既存企業がデジタル・ディスラプションによってダメージを、それもおそらくは致命的なダメージを受けると考えていた。しかし、既存企業に打つ手がまったくないわけではない。次章以降で記すとおり、デジタル技術とデジタル・ビジネスモデルを活用すれば勝てる見込みはある。
──『対デジタル・ディスラプター戦略』,マイケル・ウェイド, p.47

このような「デジタル・ボルテックス」や「デジタル・ディスラプター」とった概念や現実のもとで、既存企業は組織変革が要求されている、という文脈です。

では、このような文脈のもとで、「われわれの事業は何になるか」と「われわれの事業は何であるべきか」という問いはどのように位置づけられ、扱われるのでしょうか。

問いとしての形にするのであれば、以下のようになるのかもしれません。
われわれの事業は何になるか:「デジタル・ボルテックス」や「デジタル・ディスラプター」によって、「経営環境」に影響が出ているのか。
われわれの事業は何であるべきか:「デジタル・ボルテックス」や「デジタル・ディスラプター」によって、「社会、経済、市場の変化、イノベーション(自らによるイノベーションと、他社によるイノベーション)」に影響が出ているのか。

先程の図にこの問いを追加しました。

画像3

ごちゃごちゃしていて分かりにくいので少し視点を変えて整理しました。解釈の誤りがあるかもしれません(「社会の変化」でいいのか「社会」なのかなど)。また、抽象度がごちゃごちゃな気もします(「経営環境の変化」との種類として「市場構造の変化」があるなど)。

画像4

これら問いは「われわれの事業は何になるか」「われわれの事業は何であるべきか」への定義を行う際、あるいは、すでに定義を持っていたとしても、「デジタル・ボルテックス」や「デジタル・ディスラプター」の存在がその定義を考える上で影響を与えるのか、という問いです。

もし影響を与えているのであれば、DXが必要とされる文脈と関係があるかもしれないということなります。

前回の「われわれの事業は何か」と今回の「われわれの事業は何になるか」「われわれの事業は何であるべきか」に影響を与えているかもしれないのが「デジタル・ボルテックス」や「デジタル・ディスラプター」という現象と言えるのかもしれません。

また、これら3つの事業の定義に関して、どれにどれだけの影響があるのかが、DXという取り組みの範囲の広さ、そして結果として難しさを表しているのかもしれません。

影響範囲の組み合わせとしては以下となります。
・「われわれの事業は何か」に影響している
・「われわれの事業は何になるか」に影響している
・「われわれの事業は何であるべきか」に影響している
・「われわれの事業は何か」「われわれの事業は何になるか」に影響している
・「われわれの事業は何か」「われわれの事業は何であるべきか」に影響している
・「われわれの事業は何になるか」「われわれの事業は何であるべきか」に影響している
・「われわれの事業は何か」「われわれの事業は何になるか」「われわれの事業は何であるべきか」に影響している
・いずれにも影響しない

たとえば、もし「われわれの事業は何か」だけに影響しているのであれば次のように言えるのかもしれません。
「DXは、経営の観点から言えば、「われわれの事業は何か」との定義に関わる取り組みである。DXの必要性の背景としてのデジタルボルテックスやデジタルディスラプターの存在は、顧客は誰か、顧客はどこにいるか、顧客は何を買うかに影響を与えている。DXの取り組みは、マーケティングに関わる目標を達成には関係するが、イノベーションに関わる目標達成とは関係がない。」

まとめ

今回は、DXと経営の関係に関して、以下の問いに回答しました。
・「われわれの事業は何になるか」と「DXの定義」がどのように関係するか
・「われわれの事業は何であるべきか」と「DXの定義」がどのように関係するか

結果として「DXの定義」だけでは、具体的な示唆を得るのは難しいことが分かりました。

また、DXの取り組みが必要とされる背景として何があり、それらが事業の定義を行う際に考慮しなければならない要素と関係があるかもしれないことを見ました。次回は、この関係をもう少し詳しく見てみます。

これまでの記事

第1回はこちら。経産省のDXの定義とマーケティングとの関係について考察しました。
第2回はこちら。『DX実行戦略』におけるDXの定義とマーケティングとの関係について考察しました。
第3回はこちら。「無料/超低価格」のビジネスモデルを分析しました。
第4回はこちら。「購入者集約」のビジネスモデルを分析しました。
第5回はこちら。「価格透明性」のビジネスモデルを分析しました。
第6回はこちら。「リバースオークション」のビジネスモデルを分析しました。
第7回はこちら。ここまでの記事をまとめました。
第8回はこちら。「従量課金制」のビジネスモデルを分析しました。
第9回はこちら。『マーケティング大原則』という書籍におけるマーケティング定義を確認しました。
第10回はこちら。『マーケティング大原則』という書籍で紹介させている「戦略的コンセプト」をDXの視点から関係性を見ました。
第11回はこちら。DXの実行プロセスとマーケティングのマネジメントプロセスの関係性を見ました。
第12回はこちら。DXの実行プロセスとマーケティングのプランニングプロセスの関係性を見ました。
第13回はこちら。『デザインドフォー・デジタル』というDXの書籍をもとにDXとマーケティングの関係をみました。
第14回はこちら。DXと経営との関係付けの準備を行いました。
第15回はこちら。DXと事業の定義がどのように関係するのかをみました。

株式会社分析屋について

https://analytics-jp.com/

【データ分析で日本を豊かに】
分析屋はシステム分野・ライフサイエンス分野・マーケティング分野の知見を生かし、多種多様な分野の企業様のデータ分析のご支援をさせていただいております。 「あなたの問題解決をする」をモットーに、お客様の抱える課題にあわせた解析・分析手法を用いて、問題解決へのお手伝いをいたします!
【マーケティング】
マーケティング戦略上の目的に向けて、各種のデータ統合及び加工ならびにPDCAサイクル運用全般を支援や高度なデータ分析技術により複雑な課題解決に向けての分析サービスを提供いたします。
【システム】
アプリケーション開発やデータベース構築、WEBサイト構築、運用保守業務などお客様の問題やご要望に沿ってご支援いたします。
【ライフサイエンス】
機械学習や各種アルゴリズムなどの解析アルゴリズム開発サービスを提供いたします。過去には医療系のバイタルデータを扱った解析が主でしたが、今後はそれらで培った経験・技術を工業など他の分野の企業様の問題解決にも役立てていく方針です。
【SES】
SESサービスも行っております。