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2021年7月の記事一覧
忘れること、思い出すこと。
ふっと、ものをわすれてしまう。真っ白な記憶を持て余す。
ほら、歌舞伎座で、二人椀久、前に見たじゃない。頭巾のようなの被ってたじゃない。それは覚えている。しかし、踊っていたのが誰だか思い出せない。仁左衛門と玉三郎?
さあ、どうだったかしら……。顔のない役者が桜の木のそばで踊っている。
神田山陽の講談、ええ、聞きましたとも。演目は……なんだったかしら。あんなに笑ったのにね。
それはずいぶん前か
うかれたっていいじゃないか!
あたしは他人志向の小心者の自意識過剰モンだから、どうにも褒め言葉に弱い。
またたびに酔う猫のように、うかれおばさんになる。単純にうれしいのだ。生きてる甲斐は褒め言葉なのかもしれんな、と思ったりする。
しかし、やっぱり、他人志向の小心者の自意識過剰モンだから、そんな自分が恥ずかしくもあって
、いやいやそんなによろこんではいかん!と自分をいさめたりする。
逆に言えば、けなし文句がいつまでも気にな
パジャマパーティー 3
軽井沢の夜は冷えてくる。カーディガンをはおり、ソックスをはく。昔の乙女は冷え性だ。それでもハートは熱い。ふっと恋の話の封印を解いてしまったりもする。聴き手は眠たい目をこすりながらちょっとどきどきする。
親しいおんなが集まってふわりとした気分になったなら、ふっともらしてしまう言葉もあるらしい。もらした言葉がたがいの距離を縮めることもあるらしい。
魅力的な女性ならば、申し出があったりする。思慮深い
パジャマパーティー 2
夕刻、その家に現れたのは友人が中学時代から付き合っているさちこさんだった。友人が入院している病院で一度ばったり会ったことがある。大きな声で笑う明るいひとだ。
さちこさんて誰に似てる?と聞かれたらジェシカ・ダンディーと答えるだろう。ドライビング・ミス・デイジーで好演したあのおばあさんだ。そう、なんだか威厳があって、賢そうなのだ。
似てると思うがさちこさんには告げない。きっと、やだー、わたし、もっ