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【創作童話】きつねとCDウォークマン
ぼくがそのきつねと出会ったのは、見なれない黄色い花ばたけを見つけた、あの日のことだ。
小さいときから絵を描くのが楽しくて、中学の部活はまよわず美術部を選んだ。
高校生になってから、真剣に画家の仕事をしたいと思うようになって、母さんに相談したら、最初はすごく応援してくれていた。
けれど専門学校を卒業しても、すぐに画家としてやっていけるほど甘くはなかった。
ぼくが、いつまでたっても仕事も決まら
【創作童話】かぜの子びゅうん
あるところに、びゅうんというかぜの子どもがいました。
びゅうんは、そうじが大キライ!
いつもビューンとかぜをおこして、へやをちらかしてしまうので、このなまえがつきました。
びゃうんのかぜがふいたあとは、もうみんなめちゃくちゃです。
ジュースの入ったコップはわれて、花びんもひっくりかえって、せっかくほしたせんたくものも、またどろだらけです。
おかげで、びゅうんがいるところは、いつもごちゃごちゃして
【創作童話】フェルトねこのひなまつり
みいちゃんのおへやには、おひなさまがありました。
おだいりさま、おひなさまと3人かんじょの3段かざりでした。
みいちゃんが生まれたときに、おばあちゃんが買ってくれたものです。
みいちゃんは3歳になったとき、デパートでひな人形の8段かざりを見ました。
何回もお店を通るたびに、みいちゃんは大きな8段かざりをすっかり気に入って、
「いいな、いいな!」
と言うようになりました。
そこでお母さんは、フェル
【創作童話】 お菓子屋のポポロ
「いいにおいがするなぁ‥‥‥」
犬のポポロは、おなかがすいてたまりませんでした。
1ヶ月前まではご主人にかわいがられていたのに、とつぜん、団地にひっこしがきまったといって、ポポロをおいて、出ていってしまったのです。
ご主人の家にいたころは、奥さんが毎日のように、ふわふわの白いからだにブラシをかけてくれました。
でも、今ではすっかりよごれています。
食べものだって、自分でさがさなくてはいけません