ねむいこだれだ

写真や軽い雑感をあげていく

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最近の記事

「スクールバック」小野寺こころ「ねがぽじトルネ~ド♡」家田キリゼン「白山と三田さん」くさかべゆうへい などサンデーうぇぶりの推せる漫画をのべるまよなか

    • 世間に怒り続けるのを止める

      『世の中ずいぶん舐めて生きてるよな』『つまらない。描くの辞めたら』『本当に人のことを思えばこんなことはできないと思います。彼は同じ人間なのでしょうか』 今日も私は匿名で世の中の怒るべき情報に強い言葉を書きつける。ネットの中にはたくさんの憤ることのできる情報があふれている。私はその情報に率直な気持ちをぶつけている。 いくつかコメント欄に書き終えたとき、外でカラスの鳴き声が聞こえてきた。朝がやってきたのだ。声のするほうをみるとカーテンのかかっていない窓ガラスがあり、外は真っ暗だ。

      • あの子の誘う海まで

        「こっちにおいでよ、きっと向こうにはキレイな海が見えるよ」  あの子が俺に向かって呼びかける。ポニーテールとオレンジのパーカー、デニムのワイドパンツに赤いスニーカー、深緑のポシェットそして目尻の下がった笑顔。あの子は俺に向かってずっと呼びかけている。俺は会社からの帰宅途中、最終電車に乗るために駅のベンチに座って待っている。 あの子は自分がいるホームの線路の真ん中に立っている。 「ね、こっちだよ。こっちにいけば海がある」 汽笛がして、快速列車が視界を覆う。枕木と風を切る音が響い

        • 滅びの向こうで輝くまで

           妹が透明で硬くなっていこうとしていたとき、姉である私は水を求めて山の麓を掘っていた。  五日、山間の石だらけの干上がった川を掘っていると、湿り気のある土をみつけて、そこからさらに半日下に掘り進めてようやく地下水を見つけることができた。泥へと顔をつっこみ水をすすり、しばらくその冷たさを感じていた。  私は背負いかばんのなかにしまっていた瓶に水を詰めて、他の彫っていた穴をすべて埋め直し、肝心の水がでた井戸は上から板で覆い、土をかぶせて、さらに枯れ草の覆いをした。そしてさらに半日

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          パンダのおじさん

          おじさんが仕事を無くしてから、おかしくなったことは一ヶ月前に母親から聞いていた。しかし家にやってくる日ぐらいは教えておいてほしかった。家のドアを開けたとき、目の前に全身白塗りで頭を剃り、全裸で目の周りや尻のあたりを真っ黒にした中肉中背の男が立っていれば、男子高校生といえどホラー映画みたいな悲鳴をあげる。つまり怖かった。 「パンダになろうと思ったんだよ」 どうしたんですか。という質問に対して、おじさんはそう答えた。それも知りたかったが、どうして家にやってきたのかを知りたかった

          パンダのおじさん

          今、近くの海まで

          海が見える場所に行きたかった。 朝、遊びにきた友だちにいうと、よっしゃとナビも使わずに、海のある方角へと車を走らせた。ここらへんの海はほとんどが護岸工事をされているから海までの道路はアスファルトで整備されている。 一時間かけてたどり着いた先は見知らぬヨットハーバーだった。強めの海風が吹いてきて、少し肌寒い。たった数日で夏のことが懐かしく思えてくるのが自分でもわがままだと思う。 「本当に海を見たかったの?」 車を運転してくれた友だちが話しかける。寒がりな彼はすでに薄手のジャケッ

          今、近くの海まで

          今年一年どうだった?

          時間は過ぎている。気がついたら暑くなって、寒くなり、また一年が経過している。久しぶりに二人揃っての休みの日に近くの山道を散歩していると、それまでに何も言わずに歩いていた君が聞いてきた。 「今年はいい一年だった?」 君が無邪気な顔で訪ねてくる。まだ一年は三ヶ月も残っているのに気が早いな、と思ったがもう三ヶ月しか残っていないのだ。今年は社会情勢的に色々大変たったが、それでも時間の流れ自体は変わらないはずだ。 「なにも変わっていないから、わからないな」 なにか成長しただろうか。子供

          今年一年どうだった?

          本を読む、本が呼ぶ、本当に?

           青空の下で誰もいませんようにと呟いた。そんなに小さな声でなかったとしても、周りには誰もいなかったからその願いは聞き届けられたことだろう。  彼女は右手に本を持っていた。偉大な嘘つきが自分のことを書いた本だった。書いた人は生まれた時から嘘つきで両親が嘘つきだったからそしてその地域に住むもの全てが嘘をついていたから必然的に自分も嘘つきになったと言う事だけだ。嘘について罪悪感を感じている事はなかった。だからこそ嘘が自然と口から出てきてまるで音楽のように響いていた。そんな本だ。  

          本を読む、本が呼ぶ、本当に?

          君は世界の貯金箱だ

           君はみんなからとても大切にされている。君が壊れるとみんなが悲しむ。大切な人だから。貯金箱として。  君の体はとても丈夫だ。嵐や地震などに見舞われても、すぐに立ち直ることができる。そして元通りの姿になることができる。  そしてケンカをすることが少ないので温厚であると思われている。理由は他の人たちと比べてケンカ相手が少ないからだ。それは君の家の立地条件にも関係している。君の家の後ろは大きな壁になっていて他の人が入ってくるのが難しい。そして空いている入口も大きな扉で守られている。

          君は世界の貯金箱だ

          夜の隙間

          夜道を歩いていると本当に暗いところがわかるという。その暗いところを眺めていると、セロファンのように剥がれてくるのだと彼が言っていた。 例えば近くの商店街の裏通りにある壁と壁の間とか。闇が剥がれかけてペラぺラと揺れているのを眺めていると薄い闇に吸い込まれてしまいそうな気になるという。 吸い込まれる、ううん、落ちそうなんだ。壁の隙間に、落ちそうになる。 実際落ちたらどうなるのかと聞いてみたすると落ちたことがないからわからないと言う。 でもあれは本当に良くない。まるでタンスの

          終わる町の終わることがない店

          とある海沿いの地方都市に出張でやってきた。車で半日、だいぶ遠くまで来てしまった。自分ひとりで旅をしたいと思ってもくることはないだろうと思う場所だ。 他の出張仲間たちと一緒に飲みにいく約束をしたため、その時間までふらふらと町歩きをすることにした。 海沿いの地方都市は店が閉まるのが早い。休日ならば尚更だ。雑草が茂る空き地をみてはここにかつてはビルが建っていたのだろうと想像する。そして残った隣のビルのショーウィンドウの中にはなにも入っておらず、玄関のガラス窓の内側にダンボールが無

          終わる町の終わることがない店

          変化に傷ついてから変質するまで

          なにかになろうとしてなににもなれなかった。 と、ひらがなで書くと気持ちがいい。発音しても「な行」と繰り返しがあって、いい感じになる。変化への失望を表している言葉は今の常日頃からチェンジ!を求めるご時世には嫌な言葉かもしれない。 ま、今はとてもカレーを食べたい気分だけど自宅に昨日買っていたサバの切り身を食べなきゃいけないとか、そんな大したことないときでも使うことができる。 でも大したことあるとき、志望校に落ちたとか会社を辞めてしまった、愛されたかったとかそういう時にも使う

          変化に傷ついてから変質するまで

          秋空のまま

          ほとんどやってこない電車を待っているのは退屈だから周辺をうろついていた。かつて栄えた町は黒ずんだ建物と破れた窓や障子、ヒビの入った壁と閉じたシャッターが並んでいる。人の気配はする。おそらく誰か住んでいるのだろう、商売をやらないだけで。 暮らしていくってなんだろうと思う。仕事の忙しさから逃れるために旅に出たのにたどり着いた先で仕事の終わりをみてしまう。晩夏を過ぎたばかりの秋空が気持ちを切なくさせている。 早く街に帰りたいなあと思って駅に戻る。でもまだ電車はやってこない。駅員

          真夜中、なんか食べたいときに働く教養

          真夜中に目が覚めて眠れなくなるとなんだかお腹が空いてくる。布団の中で寂しくなるときだ。体の向きを変えたりして、心臓の位置を楽なようにしてごまかす。でも心ではラーメンやお茶漬けなどの炭水化物が食べたい、血糖値がきゅーんと上がって眠くなってくるからだろう。 でも食べる必要のないご飯だとわかっている。今食べなくても生きていくために必要なものではない。だから食べなくてもいい。だけど食べたい。でも…を繰り返している。 前に読んだフランクル「夜と霧」のとあるエピソードを思い出す。強制

          真夜中、なんか食べたいときに働く教養

          長い人の隣に普通の人、その後ろに無関係な人

          真夜中の十二時過ぎ、家への道を歩いていると前方に2人組の男が見えた。片方は普通の男性にみえた。もう片方はずいぶんと体が長い。頭がどこにあるかみるために、天を見上げなければならなかった。普通の男性4人分くらいの長さがあるだろう。首が長ければろくろ首、胴だけ平べったければぬり壁だが、その長い男は足も胴も首もちょうどいい。普通の人間のバランスで、異様な身体のありかたをしている。 隣の男は長い男を気にすることなく、おそらく長い男のほうが歩幅を調整して、2人は同じ速度で歩いている。その

          長い人の隣に普通の人、その後ろに無関係な人

          眠れない夜が永遠に続きますように

          体が疲れてもうまく眠れないときがある。むしろ目が冴えてしまうことが多い。余計なことを考えるからだろうか、まだイケるとむりに頑張ろうとしているのか、わからない。でも急になにかを取り戻しに行かなきゃという気持ちに襲われることがある。遅れている電車をホームで立ったまま待ってソワソワしているような気分に似ている。これから向かう先とは反対側を覗き込みながら、まだかな、まだかなと遠くを眺めている。本当にくるのだろうか、まだなにもみえていないけど、実は自分が時間や場所を間違っているのかもし

          眠れない夜が永遠に続きますように