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手軽にできるメンタルヘルス!?「エクスプレッシブライティング」とは

こんにちは!心身のヘルスに一家言あるN.Mです!Boundless社では3〜4年間に渡り、衛生委員を務めています

<筆者プロフィール>
新卒で入った会社がブラック企業で心身を壊しかけたため3ヶ月で退職し、アルバイトで入社(入社当時は「AOLプラットフォームズ・ジャパン」)。堅実な勤務を続け正社員に至る。
いわゆる「デジタルネイティブ」世代。
会社勤めの傍ら、約10年間同人漫画活動ののち、2022年某社にてデビューし漫画家としても活動。たまに色んなネットラジオ番組のゲストパーソナリティも務める。

言葉に出すこと ー筆でー

今回取り上げたいのは「手軽にできるメンタルヘルス」です。
早速ですが、「エクスプレッシブライティング」という言葉をご存知でしょうか?1980年代にアメリカの社会心理学者ジェームス・ペネベーカー博士によって生み出された方法です。
方法の基本は「自分の気持ちをただただ素直に書き殴る」こと!
社会人になると家族や友人と時間を合わせにくいと思いますが、これは紙とペンさえあればできるので、非常に手軽なのも魅力です。

私はこの手法をここ1年間ほど続けています。
実例を見る方が概論より参考になるかと思いますので、私が実際に続けた中で見つけたコツをお伝えします。もちろん人それぞれちょうどいいやり方がありますが、一例として参考にしてみてください。

第一に、「素直に書く」ことです。
ネガティブなことが浮かんでも「こんなこと思ってていいのかな」など自分の気持ちをジャッジせずにそのまま書いちゃうのがポイントです。ノートの世界では自分しかいません自分の心を捻じ曲げずに、そのまま、ありのままに見つめるのが何よりも大切です。汚い言葉でも構いません。
正直にぐわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜と思いっきり書いてしまいましょう!

第二に、傷が軽いうちにこまめにやることです。
心の傷も体の傷と同じく、適切に対処しましょう。無視して無理を続けると、日常生活に目に見える形で支障が出たり、重症化し治りが遅くなってしまうことがあります。体の傷と同じです。軽いうちに処置するのと重くなってから処置するのと、どちらが治りが早いかというと、軽いうちですよね。

傷を重症化させてしまうと、いつか抱えきれなくなり、周りにも見える形でイライラが伝わってしまったり、他者に八つ当たりしてしまうことになります。仕事や活動のパフォーマンスも落ちてしまうし、酷い時には本当に倒れてしまうことも有り得ます。倒れてしまうと立ち直るのに時間がかかってしまいます。
しかし、人間の心は複雑なので、「軽いうちにっていつ?」という見極めも難しいと思います。なので、私はエクスプレッシブライティングを日課にすることをオススメします。毎日は無理でも、週末だけとか、月一でもいいので、ご自身の心をゆっくり見つめる時間を取ってみてください。

思ったことを書き出すだけ

頭の中では感情は得体が知れず、必要以上に大きく膨らんでいます。それを言葉に起こして具体化することで、整理ができます。これがエクスプレッシブライティングのメリットです。
整理ができると「案外こんなことだったんだ」と事態の大きさを客観視できたり、「この件とこの件が●●という主題として関連づけられる」や「この二つは●●として、●●が得意なあの人に頼ると良さそう」など具体的な解決策への一歩も見えてきます。

更に、ムカつきレベル別でも少しずつ方法を変えてしまうのも面白いです。とはいえ、心の赴くままに、書く動作の激しさを変えているというだけなのですが。

LEVEL1 オーソドックス
先述の通り、思いつくままに気持ちを書き連ねます。
<記述例>

筆者注:ここから出てくる<記述例>は形式こそいつも私が実践している形式で書きましたが、内容は架空のものです。字の汚さはいつも通りです。


LEVEL2 汚い言葉も遠慮せず書いちゃう!

先述の通りです。大人になるとなかなか言えない汚い言葉だからこそ、出してしまうとスッキリします。ノートの中でまで他人に気を使う必要はないのです。
<記述例>

筆者注:塗り潰した部分は実際には塗りつぶしてませんが、マジの罵倒語が書いてあるので公開すべきでは無いと思い塗り潰しました。

LEVEL3 赤いボールペンで書く
色の持つ効果のせいか、鉛筆より怒りの念が発散できる気がします。さらにうわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ってぐしゃぐしゃに赤線を書き殴ることもします。
<記述例>

筆者注:2をレベルアップさせたもの。本来なら赤ペンでマジの罵倒語も書き殴るのですが、それだとnoteに公開できないので、ぐしゃぐしゃ線を入れまくる部分のみ再現。ちなみに黒字の上に書いてるのは、ムカつく奴の出来事を上書きして滅する気分になりたいからですが、その時の気分に応じて自由に書けばいいと思います。赤じゃなくてもいいし。

LEVEL4 書いた紙をメチャクチャに破ってくしゃくしゃにしてゴミ箱にShooooot!!!
ゴミをダンクシュートすることになるので、「嫌な気持ちが捨てられた!」という状態が物質として目に見えますし、体を大きく使うことで運動した爽快感も得られます。
<記述例>
記述自体はLEVEL3で書いたものと同じです。3に破って捨てるという動作が加わります。

これらはあくまで私の例です。ぜひご自分なりのベストなやり方を見つけてみてください。

言葉に出すこと ー口でー

あとは「人に話す」のも有用です。「他愛ないおしゃべり」にはストレス発散効果が認められています。
https://diamond.jp/articles/-/305020?page=2
また、自分にないアイデアを持っている人なら解決策を示してくれるかもしれません。

でも、家族や友人、同僚などは、顔見知りだからこそ言いにくいこともあるでしょう。その場合は制度を使うのも有効です。
弊社では、EAPプログラムという制度が2019年より開始されています。
専用のWebページからメールでもしくは電話でカウンセラーさんに無料(料金は会社負担)で直接連絡できる制度です。健康相談、ちょっと話を聞いてほしい、育児について、近隣とのトラブルで弁護士の意見を聞きたい、確定申告のやり方を教えてほしいなど、幅広いトピックを、24時間365日いつでも相談できます。相談内容は上司や人事部にも一切開示されることはありません。
私も誰にも相談できないトラブルの時に利用したことがありますが、お陰で無事解決できました。
折角制度が用意されているのに、知らないのは勿体無い!し、存在を知ってても利用を躊躇するのも勿体無いです!

しかし、知人に話すにしろカウンセラーさんに話すにしろ、他者に気を遣って「こんなことで愚痴っていいの?」と遠慮してしまう人も多い現状。そこで、皆さんに「こんなことで人を頼って話してもいいんだよ」ということが実感できる私の実体験をお伝えします。

軽いうちに対処が大切 ー青鬼ー

それは私が大学4年生の時でした。授業単位はほぼ取り終わり、卒論がちゃんと書き上がるか、将来どうなるのかといった不安に頭を支配される日々を送っていました。私はちょっとした不眠になってしまい、大学に設置されているメンタルヘルス相談室に赴きました。弊社で言うところのEAPプログラムにあたるようなもので、カウンセラーの先生が話を聞いてくれます。必要であれば然るべき機関も紹介してくれます。

ヒーリングミュージックが穏やかに流れる中、先生が現れました。「食欲は?お通じは?」など様々な健康状態を聞かれます。ヒヤリングの結果、不眠以外は身体に影響が表れていないことがわかりました。
「やっぱり卒論のストレスかな?ひどいようなら精神科でお薬をもらったほうがいいかもね。」
「はい…」
「最近変わったことは?」
「あ、青鬼を最近見てます…怖くて毛布かぶって寝てるんですけど…」
その瞬間、先生がドッと笑いました。
「うん、君は精神科行く必要ないね!」
「えっ!?」
先生は笑いながら告げました。
「青鬼を見るのを今すぐやめましょう!」
なんと、私の不眠症は精神不安からではないと言うのです。

皆さんは「青鬼」をご存じでしょうか?noprops氏によるRPGツクールXP製のフリーホラーゲームです。2009年頃からニコニコ動画YouTubeを中心に人気が出始め、書籍、漫画、映画、舞台など、多方面においてメディアミックスがなされています。
https://mygames888.info/aooni.html

タイトルにもなっている「青鬼」とは、人を喰うブルーベリー色の巨人。左右の目のバランスが絶妙で、一度見たら忘れられない恐怖の造形。シンプルながらインパクトと不気味さの表現がすごい。Copyright © noprops
色んな青鬼。Copyright © noprops

私は、卒論の気晴らしにニコニ●動画で青鬼のゲーム実況を毎日見ていました。しかし私はホラーが苦手。でも面白いから止められない…。結果、夜中に青鬼が来るのではないかという恐れから、真夏でも布団と毛布を頭までかぶって就寝する日々を送っていました。眠れないのは、真夏に毛布を被っている息苦しさと暑さという物理的要因だったのです。

バカみたいな話ですが、部屋を後にする際、先生はしんみりと言いました。

「でも心の負担が軽いうちに相談に来てくれるのは良いよ。気づいたらひどくなってるっていう人が多いからね…。」
上記のエピソードも、後から振り返ると簡単なことでしたが、私一人だと客観的に状況が見れず原因がわからなかったと思います。第三者の目線が入ることで解決できたのです。「エクスプレッシブライティングは自分一人で行えますが、文字に起こすことで擬似的に第三者目線で自分を客観的に見つめる手法です。

私の遠い知人の話ですが、「これくらいでカウンセリングや病院に行ってはいけない。職場を休むと迷惑だし」と思い込み、気づいた時には重い症状になってしまっていた、という人がいました。「これぐらいで人を頼っていいのかな?」と躊躇せず、心身ともに早めにケアすることが重要だと思います。そして、精神的な不調も身体的な不調と同じく、パフォーマンスに影響を及ぼします精神的な不調について「やる気が足りないからだ」などと責めるのではなく、寛容でいられる職場環境が広がっていくといいな、と願います。

今、青鬼を調べ直して数年ぶりに背筋が凍る思いに慄いてるので、エクスプレッシングライティングで恐怖を発散しよ〜〜〜っと!

まとめ

心の傷も体の傷と同じく、こまめにケアしましょう。この記事ではその方法として、文字に書き出す方法人に話す方法をオススメしました。是非自分の心を見つめることを習慣化してください。毎日は無理でも、週末だけとか、月一でもいいので、ご自身の心に正直に向き合い、現実的な対処方が浮かべば対処することを躊躇わないことをオススメします!
「こんなことで話していいのかな?皆に迷惑がかかるかも」と躊躇してしまう方は、私の青鬼のエピソードを思い出してください。

おまけ

塞ぎ込んだ時は外へ出るのも有効。特に、日常のルーチンに組み込まれていない場所が気分を変えてくれます。(コロナウイルスに注意する必要はありますが)
前回の記事の通り、弊社は現在原則完全テレワークで、ワーケーションも業務に支障がなければ自由です。
https://note.com/boundless/n/n617b35389027
8月のある日、江ノ島のカフェでお仕事してきました。落ち着いた雰囲気で、周りもワーケーションの人が多かったため静かで集中でした。また、海が見えるテラスもあり、非日常の光景が心を落ち着けてくれました。

曇りだったけど、どこまでも広がる海!

*Boundless株式会社(バウンドレス)は、米国に本社を置くYahoo Inc.の日本法人です。

メンタルヘルスは自分には関係ないと思っていらっしゃいますか?自分で十分対応できていると思っていらっしゃる方もいるかもしれません。
SDGsの目標3にも、「すべての人に健康と福祉を(Good health and well-being)」が記されており、体の健康はもちろん、心の健康とウェルビーイングがサステナブルな社会づくりのカギとなっています。
Boundlessではグローバルでメンタルヘルスの重要性を取り上げています。不確定要素が常に存在する今だからこそ、自分自身がどういった状態にあるのか、セルフケアはできているのか、その上でチームメンバーや家族を含む他者が問題を抱えている場合どう接したらいいのか、さまざまなケースを考えることはとても重要です。メンタルヘルスに関する情報やトレーニングを提供することで、より自分らしくいられる、働きやすい環境を作る努力をしています。まずは自身の状態を判断する方法を知ることが大切。社員が今回の記事のようにオープンに自分の体験を共有してくれることは大変嬉しいことですし、そこから多様な会話が生まれていきます。メンタルヘルスに関する情報やその他トレーニングに関しては、また引き続き共有していきます。お楽しみに!


サステナビリティへの取り組み
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