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「月の実態」と「太陽の内面」に触れる一冊
売れています。
発売は1月下旬。あっという間になくなりました。ようやく入った重版分(を満載したダンボール箱)が数日間仕入れ室へ放置されていたので、勝手にタレント本の棚へ積んだ記憶があります。担当が気づいていなかったみたいです。もちろん事後承諾は取りました。
他の社員に「出さなくていいんですか?」と訊ね、返ってきた答えは「もう出してあるらしい」でした。本当かよと自分の目で店内を隈なく探したけど見当たらない。書店員として普通にできること、当たり前のことをキッチリこなすだけでも売り上げは変わってくるのですが。。。
話を戻しましょう。
私の世代だと、やはり初期の「おかげです」における「仮面ノリダー」の印象が強いです。変身する際の「かーいわれ、まきまき~」をクラスの男子が真似していました。
一時期「湖池屋スコーン」のCMソングをもじったものに変わったのを覚えています。スポンサー関連の事情でしょうか? 宣伝効果は絶大だったはず。
あとは学園コントで活躍した「ノリ男」です。チェッカーズの名曲"ONE NIGHT GIGORO"の最初のフレーズ”Kill you”を歌った瞬間に、スリッパで頭を叩かれる。何度見ても大笑いしました。
ずっと曲名がわからず、やっと特定できたときの喜びたるや。藤井尚之さんの悩ましげなサックスが耳に残って離れません。
ASKAさん以上にChageさんが気になる。「クラッシュギャルズ」なら長与千種さんではなくライオネス飛鳥さん。太陽<月。ゆえに明るくて豪快な石橋さんよりも、静かで職人肌の木梨さんに親近感を覚えます。総じて前者の方がカリスマ性に富んで魅力的。でも私が惹かれるのは決まって後者でした。
一方で本書を読み、少し考えが変わったのも事実。木梨さんは高校生の頃からの付き合いである相方についてこんな風に述べています。
俺は貴明こそ繊細だと思っている。テレビの視聴率やCDの売り上げ枚数、オリコンの順位なんかも細かくチェックしていた。
タレントとスタッフの弁当を一緒にしたのはとんねるずが最初らしいのですが(従来はタレントの方が少し高級だった)、そういった点に気づくのも石橋さんだったとか。彼は緻密に段取りを考え、木梨さんは現場のアドリブを重んじるというのも意外でした。
人は見かけによらない、とよくいいます。わかっていても、つい易きへ流れてしまう。「もしかしたらASKAや長与、いや太陽的な輝きを放つ人全般に俺は必要以上に厳しい目を向けていたのでは?」と反省しました。
月の実態を知りたいと手に取ったはずが、結果的に太陽の内面へ興味を抱く。有意義な読書でした。お求めはぜひお近くの書店にて。
作家として面白い本や文章を書くことでお返し致します。大切に使わせていただきます。感謝!!!