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「ライトな妄想」と「未来の私への一言」

「街とその不確かな壁」

村上春樹さんの新作長編のタイトルが発表されました。

多くのファンが「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を思い浮かべたはず。しかし↑によると、春樹さんには1980年に発表し、まだ書籍化していない「街と、その不確かな壁」という中編があるとのこと。どうやら「世界の終りと~」はこれを元にして書かれたようです。

実に興味深い。大きな図書館に通って読みたい気持ちが沸き上がってきました。でも春樹さんが書籍化しなかったことには何らかの理由があるはず。だったらわざわざ掘り返すことをせず、まっさらな気持ちで新作を待ちます。

それでも気になるので「幻の作品」に関するライトな妄想を少し。

書かれた時期は「1973年のピンボール」と「羊をめぐる冒険」の間。ならば一人称で主人公は「僕」の可能性が高く、たぶんキャラクターに名前らしい名前が付いていない。そしてタイトルに「壁」が入っている以上、おそらくは「世界の終り」パートのプロトタイプ。ということは、ブローティガン「愛のゆくえ」に近いテイストかもしれない。

「羊をめぐる冒険」「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」「海辺のカフカ」が春樹さんの長編マイベストです。1位から3位は目まぐるしく入れ替わっていて、少し前から考えるのをやめました。「3つがベスト。もうそれでいい」と。「スプートニクの恋人」も好きですけどね。

新作がついに牙城を崩すかもしれない。少なくとも「世界の終りと~」とのマッチアップは不可避です。「街とその不確かな壁」の読了後に何を思うかは想像もつきません。でも内容がどうであれ、未来の私へいまから言っておきたい。「読み比べをしようね」と。

楽しみがひとつ増えました。春樹さんの新作長編は4月13日発売です。お求めはぜひお近くの書店にて。

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