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5大総合商社の第3四半期決算

こんにちは!
総合商社2年目のYasuです。
先週、5大総合商社の決算発表がありましたので、今回も記事にまとめていきます。

各社の決算発表スケジュールは以下の通りでした。

【決算発表 スケジュール】
2/3(水) 11:00 丸紅
2/3(水) 13:30 三井物産
2/3(水) 14:00 三菱商事
2/4(木) 12:30 住友商事
2/4(木) 13:30 伊藤忠商事

伊藤忠商事が5大商社で最後なのは珍しいですね!

10月末~11月初めに発表があった上半期決算では、伊藤忠商事が純利益2,525億円で独走態勢、三菱商事が三菱自動車の減損によって867億円止まりでした。
第3四半期決算ではどのような結果になったのでしょうか。

総合商社を目指す就活生の方や、総合商社業界のニュースに興味がある方々の情報収集に貢献できればと思います。

以前の上半期(第2四半期)決算についておさらいしたい方は、以下の記事をご覧になってください。

筆者ってどんな人?
2019年卒で、総合商社にて勤務しております。
出身大学はMARCHレベル。
就活時は幅広く業界を見ており、40社にエントリー。面接も70回以上受け、結果的に外資金融、外資コンサル、大手食品メーカー、広告代理店を含む6社から内定をいただきました。
noteでは、就活のコツや総合商社業界に関する記事を中心に書いています。
profile:https://note.com/bookbility/n/nfd1539ae83ba

5大総合商社の第3四半期決算

早速5大総合商社の決算分析に入っていこうと思います。
各社の純利益、キャッシュフロー、株価の分析を行います。

純利益(19年度対比)

19年度純利益

まず、前年度(2019年度)同期比で純利益を見てみましょう。

伊藤忠商事が上半期からのリードを守り続け、3,643億円の純利益となりました。

2位も変わらず三井物産ですが、上半期決算時に1,400億円あった伊藤忠との差が1,600億円まで開いてしまいました。


その次に三菱商事、丸紅が3位を巡って競っています。

コロナ禍に関わらず、食料・アグリビジネスの堅調を背景に、
5大商社で唯一丸紅は前年よりも純利益を増やしています。

純利益(20年度見通し対比)

純利益見通し

続いて20年度見通し対比で純利益を分析して見ましょう。
第3四半期の決算になりますので、
見通し対比の進捗度が75%以上あれば順調と言えるでしょう。

★今回、三井物産と丸紅が上半期決算に発表した純利益の見通しを上方修正しました。

三井物産:1,800億円→2,700億円
丸紅:1,500億円→1,900億円
住友商事:-1,500億円→-1,200億円

特に三井物産は900億円の大きな見通しですね。

丸紅は上半期決算に続く今年2回目の上方修正
昨年の大型減損を受けて、今年は慎重に見通しを上げてきている印象があります。

ここで注意して見なければならないのは、伊藤忠商事です。
進捗率は既に91%あるのにも関わらず、見通しの修正を行っていません。
業績が回復してきているのであれば、他3社のように見通し修正を行うはずですので、第4四半期で大型の減損案件があるのでは?と不安材料が残ります。

基礎営業キャッシュフロー

次に基礎営業キャッシュフローを比べてみます。
上半期決算の際にも解説しましたが、定義は以下です。

基礎営業キャッシュ・フローとは?
営業キャッシュ・フローから営業資⾦、運転資本の増減等を控除した数字をいい、5大総合商社ではよく用いられる指標です。
損益計算書での純利益と違い、営業キャッシュ・フローは売り上げや仕入れなど会社の本業で稼いでいる"お金の量"を表します。利益ではなく、企業が実際に保有するお金で測るのがポイントです。
"企業の財布の中身"と言い換えることができます。

損益計算書では、決められた期間での「利益」が測れるのに対して、
キャッシュフローは、「今、企業が持っているお金の量」を表します。

よって潤沢なキャッシュフローは、今後の投資能力に大きく関わるのです。
常に環境の変化を読み取り、投資を行う総合商社には
キャッシュフローが大事であることをご理解ください。

基礎営業キャッシュフロー

★基礎営業キャッシュフローで比べると、一番高いのが三井物産です。
上半期決算から変わらず、キャッシュフローを意識した経営を続けており、素晴らしいです。

★個人的に注目したのは三菱商事の4,469億円。
昨年同期比よりは減っていますが、今年度の上半期決算と比べると、
なんと"2,200億円ほどキャッシュフローを増加"させていることが分かります。
モビリティ関連での減損は続いていますが、着実にお金を稼いでいることが分かります。

★住友商事のキャッシュフローが少ない点も気になりました。
減損を出しているとはいえ、昨年同期比で-43%は大きいですね。
今後、キャッシュを意識した回復策を取れるのでしょうか。

決算発表後の株価増減

株価の増減

3つ目の指標として株価の増減を比べてみます。

各社が発表を行う前の2月2日の終値とその週の終値を比べてみます。

今回上方修正を行った丸紅、キャッシュフローを大きく増やした三菱商事が2%以上株価を上げていますが、全体的に大きな増減はなかったように思えます。

なぜか純利益見通しの上方修正を行った三井物産が、0.1%減少。
決算の結果というよりも、「資源」に偏ったポートフォリオを疑問視した投資家が多かったのかもしれません。
近年では個人の投資家も増えているので、動きが全く読めませんね。

各社の決算分析

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ここからは各社の決算を細かく見ていきます。

伊藤忠商事
・金属(737億円)、情報・金融(514億円)が特に貢献し、純利益3,643億円を達成
・金属、化学品、情報・通信が第3四半期の基礎収益として過去最高を更新
・ファミリーマートでの減損損失▲235億円
→やはりファミマ経営は厳しそうですね。
新社長を据えてどこまで改革できるか見どころです。

三井物産
・新型コロナウイルス感染再拡大が懸念されるものの、10月発表の純利益見通しを超過したため、通期2,700億円に上方修正。
・基礎営業キャッシュフローの見通しも、4,800億円から6,000億円に修正
・3Qの1,989億円のうち、1,036億円が金属・エネルギー等の資源ビジネス
→他商社よりも資源への偏りがあります。
・次世代を担うビジネスの創造や事業領域拡大を狙う次世代・機能推進セグメントで、前年同期比374億円の増加
・モアティーズ炭鉱事業にて▲736億円の減損を計上

三菱商事
・純利益の稼ぎ頭は、金属資源(434億円)、食品(323億円)、天然ガス(266億円)
・第3四半期での累計一過性損益は▲531億円。1Qに計上した三菱自動車の減損145億円が一番大きい。
・現在、自動車・モビリティ分野での減損は▲87億円だが、通期で▲500億円を見込んでいる。
・昨年同期でマイナスだった石油・化学は224億円のプラス

丸紅
・純利益の見通しを1,500億円から1,900億円だけでなく、基礎キャッシュフローを3,100億円から3,500億円に上方修正。
・セグメント別に純利益を見ると、金属(354億円)、アグリ(271億円)食料(267億円)が稼ぎ頭。
・ネットDEレシオは中期経営計画(2021)で目標にした1.0倍程度を前倒しで達成
・年間配当金を前回から6円アップ

住友商事
・第3四半期では、欧⽶州⻘果事業▲380億円、マダガスカルニッケル事業▲300億円の減損を出し、▲1,137億円の純利益を記録
→鉱⼭操業停止や豪州⽯炭事業の減益に苦しんでいるようです。
資源領域が注目されがちですが、輸送機やインフラ、生活不動産領域でもマイナスが出ています。
・通期見通しは▲1,500億円から▲1,200億円に上方修正
・稼ぎ頭は純利益で296億円を出したメディア・デジタル領域。主要事業会社の業績は堅調。

まとめ

今回は5大総合商社の第3四半期決算について、まとめてみました。
5社のうち3社が通期見通しの上方修正を行うなど、全体的にポジティブな決算発表となったのではないでしょうか。

今年度の純利益1位は、伊藤忠商事で間違いなさそうです。
2位三井物産は、順調にキャッシュフローを増やしてきていますね。

伊藤忠、三菱の純利益進捗率が良いものの上方修正を行わなかったことから、4Qでの減損案件の可能性もありそうです。

第4コーナーで、どのような結果になるのか楽しみに見守りたいと思います。

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