見出し画像

コントローラーを見つけた【東京染井温泉 SAKURA@巣鴨駅】(2/2)

 7月17日(日)、この日、僕は以前から気になっていたスーパー銭湯に行くべく、巣鴨駅へと向かったのだった。

 天気はあいにくの空模様だが、巣鴨で昼食を済ませた僕の気分は晴れていた。なぜなら、数年前から狙っていたファイト餃子をようやく食べることができたためだ。

 揚げ焼きされて表面はカリカリ、中はふわふわの大ぶりな餃子は、僕の胃袋を一瞬で掴んだのだけれど、セットで注文した炒飯も、餃子に引けを取らない美味しさだった。

 そして僕は、その足で目的地へと向かったのだった。

「おお、想像以上に雰囲気が良いな」

 そう、今回訪れたのは「東京染井温泉 SAKURA」である。こちらは温浴施設に通う習慣がある人の間ではそれなりに知られているスーパー銭湯で、もちろん僕も以前からチェックはしていたものの、ついつい生活圏内の温浴施設に通ってしまうため、なかなか訪れる機会が無かったのだ。
 SAKURAは住宅街の中にあり、敷地内に一歩足を踏み入れただけでも、都会のオアシスと呼ぶに相応しい落ち着いた空気を感じ取ることができた。それは館内も同様で、中に入ると和モダンな内装デザインが施された大人向けの空間が広がっていた。

(公式サイト: https://www.sakura-2005.com/facilities#course_category-2 )

 下駄箱に靴を預けて受付を済ませると、ロッカーキーを渡された。料金は後払い制のようで、館内の商品購入やサービス利用は、このキーバンドで精算が可能となっている。
 さっそく僕は脱衣所へと向かい、準備を済ませて浴場へと進んだ。

「期待通り、高級感があるなぁ」

(公式サイト: https://www.sakura-2005.com/facilities#course_category-4 )

 黒を基調としたデザインの浴場は手入れが行き届いており、スタッフが頻繁に巡回をしているため、常にきれいな状態が保たれていた。まず身を清めた僕は、内湯の檜風呂に浸かって体を温めることにしたのだけれど、この琥珀色に輝くお湯は地下1800mから汲み上げられた天然温泉で、豊富に溶け込んだミネラルを肌で感じることができた。

(公式サイト: https://www.sakura-2005.com/hotspring )

 さらに嬉しいことに、その温度は37℃程度とややぬるく、刺激をほとんど感じることが無いため、自制しなければ永遠に浸かっていられるほど心地が良かった。そして僕は、いよいよサウナ室へと向かい、サウナマット用のビート板を1枚手に取って、そっと扉を開けたのだった。

「おお! これは迫力あるな!」

(公式サイト: https://www.sakura-2005.com/facilities#course_category-4 )

 この「スタジアムサウナ」と名付けられた広い空間には、なんと7段ものベンチが積み上がっていて、その高低差は圧巻だった。おそらく物理的には30人以上が座れるほどの広さがありそうだ。しかも、まさかの「イズネス」である。これは満天の湯おふろの国などに導入されている、オートロウリュが可能な大型のサウナストーブだ。僕の期待はいっきに高まった。時刻は昼の12時半になろうとしていたところだ。
 僕は空いている最上段に腰をかけ、静かに蒸され始めた。最下段の温度計は70℃を指しているが、最上段では85℃と、やはり温度差があるようだ。湿度は維持されていて、体感温度はそこそこ高い。そして5分ほど経過すると、その時がやってきた。

「ジャー……」

 いよいよイズネスの本領発揮である。大量の水が熱せられたストーブに何度も流れ落ち、大量の熱蒸気が僕に襲いかかってきた。すでにサウナ室内にある程度の時間滞在していた僕にとって、それは ”トドメの一撃” にほかならなかった。慌ててサウナ室を飛び出した僕は、シャワーを頭からかぶり、本能のままに水風呂に肩まで浸かった。

ーーこれは、やばい。

 水深は100cmと深く、そして10人以上がゆったりと入ることができるほど広い水風呂は18℃弱とちょうどいい冷たさ。バイブラはなく、火照った身体をじんわりと時間をかけて鎮めた僕は、そこから立ち上がって露天スペースへと移動し、特殊な装置によって大量の空気が溶け込まされたシルキーバスで、足湯状態で休憩を取ることにした。

ーー最高なんですけど……。

(公式サイト: https://www.sakura-2005.com/facilities#course_category-5 )

 それから15分ほど経過しただろうか。あまりの気持ちよさに、僕は初めて外気浴をしながら睡魔に襲われてしまい、目が覚めた頃には周囲にグループ客が散見され、至る所から世間話が聞こえるようになっていた。
 だが、いつもの僕であればこの状況に「騒がしいな」とネガティブな感情ばかりが高まってしまうのだけれど、なぜか今回はほとんど気にならないだけでなく、むしろ近くにいた二人組の会話に熱心に耳を傾けていた自分に気がついた。聞こうと思って聞いていたわけではなく、休憩をしながら全身を脱力させていたところ、無意識に彼らの会話に興味を持ち、その内容を聞こうとしていたのだ。いわゆる ”盗み聞き” である。
 おそらく、彼らは自分たちの会話が僕に聞かれているとは思っていないため、本来であれば他人に聞かせられないようなプライベートなことまで話していたのだけれど、そう思うと妙な背徳感を覚えてしまい、そしてその時間が僕にとって娯楽のひとつになっていた。温浴施設での周囲の雑談は、今まで僕が避けていただけで、実はとてもおもしろいコンテンツだったのだ。

ーーなるほど。賑やかな温浴施設というのも、必ずしも悪いわけではなさそうだ。

 僕は温浴施設の新たな楽しみ方を見つけて、2セット目に向かった。

(written by ナオト:@bocci_naoto)

YouTube「ボッチトーキョー」
https://www.youtube.com/c/boccitokyo

Twitterコミュニティ『ボッチトーキョー

①僕たちは自費でサウナに伺います ②それでお店の売上が増えます ③noteを通して心を込めてお店を紹介します ④noteを読んだ方がお店に足を運ぶようになります ⑤お店はもっと経済的に潤うようになります ⑥お店のサービスが充実します ⑦お客さんがもっと快適にサウナに通えます