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(Y15) 東芝的な企業分割は案外はやりそうだが、社員には「残酷な未来」が待つ理由。個々の社員としては、自分が「コスト」として、目を付けられないように頑張るしかない-1 (2020.11.17)by 山崎元 より抜粋加筆しました。

⑴ コングロマリットディスカウント解消へ


①東芝が、以下の会社に3分割する案を発表。
・インフラ事業
・デバイス関連事業
・キオクシアホールディングス(HD)の株式などを管理する会社


②米国でもゼネラルエ・レクトリック(GE)が、以下の3事業に
会社を分割すると発表。
・エネルギー
・医療
・航空


③ジョンソン・エンド・ジョンソンが、以下の2分割すると発表。
・日用品や市販薬などの「消費者向け部門」
・処方薬や医療機器などの「医療向け部門」


④いずれもお題目は「コングロマリットディスカウント」の解消。

コングロマリットディスカウントとは、
複数の事業を持つ会社の時価総額が、個々の事業を上場した場合の時価総額の合計を下回ることを指す。


⑵ 株主が「会社分割」を歓迎し、経営者や銀行が避けてきた理由

【例】異なる分野の事業A、B、Cを持つ会社があるとして、この3部門を分割して上場すると考える。

①一方、A社、B社、C社に分割して別々に経営すると、
大成功する会社もあるかもしれないし、失敗して倒産に至る会社もあるかもしれない。


②事業A、B、Cの将来のキャッシュフローに対する期待値を一定とした場合、以下。

・大成功する会社によってメリットを得ることが期待できる、
「株主には好都合」

・倒産するリスクを負わねばならなくなる、
「債権者には不都合」


③大まかには、債権者が保有する企業価値が低下して、
その分、株主が保有する「企業価値が増加」する。

株主は「事業分割を歓迎する傾向」がある。


④一方、従来の経営者にとっては、以下。
・倒産リスクが小さい複合的な会社の方が自分の保身には好都合
・会社が大きいことのステータス感もある


⑶ 東芝のコングロマリットディスカウント解消が、単なる「お題目」に思える理由


①ただし今回の東芝の場合、同社の戦略委員会は、
以下の7点を主なコミットメントだとしている。

・移行チームの立ち上げ
・キオクシアHD株式の現金化と株主還元
・借入金比率の引き上げと自社株買いの実施
・分割会社での海外人材の登用
・事業売却を含む事業構成見直しとコスト削減
・外部企業との提携模索
・ガバナンス強化

いずれも物言う株主や、ファンド株主の好みそうな内容。


②率直に言って、コングロマリットディスカウントの解消よりも、以下の効果が大きそうに見える。

❶自社株買いに、借入金比率の向上によるレバレッジの引き上げ
❷コスト削減
❸株主寄りの経営の強化


③以下が株主の望みであり、それに東芝の経営陣が呼応せざるを得ない状況なのではないか。
「事業分割を通じた株主利益追求のための、財務政策の実施」

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