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(Y82) 日本「年収30年横ばい」の黒幕は内部留保。労働生産性に見合った賃金を払わぬ大企業の罪-1 (2021.11.28)by 勝又壽良 より抜粋加筆しました。

⑴ 日本人の賃金が上がらないのは、労働分配率が低い「異常現象」


①サプライチェーンの停滞によって世界的な物価上昇が起こっている。
欧米の金融当局は、消費者物価上昇に頭を悩ませている。


②日本経済はまったく別次元をさまよっており、
「低物価・低金利・低成長・低失業」の4点セットになっている。


⑵ 日本経済に活力をもたらすには、労働に見合った賃金を受け取ることで、所得が増えて消費増につながれば、「万年低物価」という沈滞ムードを打破できる


①1980年代まで、高度経済成長時代の家庭は、
すべて「共稼ぎ」でなくても家計を維持できた。
それは、年々の賃上げがそれなりに期待できたから。


②現在は、共稼ぎが普通。
ただ、今の「雀の涙」程度の賃上げでは、日本経済が循環しない。


③生産性上昇率に見合った賃上げをしていない結果、
企業の内部留保(利益剰余金)は増える一方。

財務省の「法人企業統計」によれば、
2020年度は過去最高の484兆円に達している。


⑶ 日本の消費者物価上昇率(前年同月比)は、1993年以来、2008年夏場の2ヶ月を除けば、2%を超えたことがない「超安定状態」


①次に述べるような「メカニズム」が、
消費者の中に出来上がっているのでないかと思わせるほど。

「物価上昇は悪」という認識を刷り込ませてしまっている。


②過去、消費税率引き上げのとたんに景気を冷やしたのは、
この「物価上昇は悪」というイメージに逆らったから。

賃上げ率を上まわる消費税率引き上げは、
消費者にとって容認しがたいこと。


③政府が将来、消費税率引き上げを考えているとしたら、
生産性に見合った賃上げルールを確立し実行することが大前提になる。

望ましい経済運営に当っては、
労働生産性上昇率に見合った賃上げが不可欠である。

税制で、その誘導策をいかに設けるか。


⑷ 「労働分配率」は、自分が働いた成果である労働生産性に対して、
どれだけの賃金を貰ったかという問題


①100%は不可能。

・企業の拡大再生産に、必要な利益を残さなければならない
・一方、分配率が下がれば労働者の所得が減って消費が減る


②適正分配率がどこにあるか

       労働生産性/ 平均年収/ 労働分配率
1991年:61.382ドル/39.939ドル/65.06%
1995年:62.865ドル/40.543ドル/64.49%
2000年:66.639ドル/41.004ドル/61.53%
2005年:71.416ドル/41.553ドル/58.18%
2010年:72.372ドル/40.705ドル/56.24%
2015年:75.035ドル/39.828ドル/53.07%
2019年:75.384ドル/41.726ドル/55.35%

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