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(X71) 賃金の上昇は必ずしも、雇用減少につながらない。どこでも誰でも、「人間らしい生活」を送るための公平な賃金のあり方が問われている-2 (2021.11.6)by 野村昌二 より抜粋加筆しました。
⑷ 中澤教授は「時給1500円以上は必要」と強調
⑤時給1500円未満で働く女性正社員の割合は以下。
49.8%
最低賃金が上がれば、
「最低賃金に近い上の額の賃金」も上昇圧力を受ける。
↓
そのため、最低賃金のアップは『最低賃金+α』で、
働く人たちの賃金も上げる可能性が高い。
⑸ 最低賃金を上げても雇用は減らない
①2021年のノーベル経済学賞は、
「最低賃金と雇用」の因果関係を調べた米カリフォルニア大バークリー校のデビッド・カード教授らが受賞。
「最低賃金の引き上げは雇用減少を招く」とする経済学の通説を、
カード氏は1990年初頭の研究で覆し、賃金の上昇は必ずしも、
雇用減少につながらないことを明らかにした。
②中澤教授は以下に説明。
賃金が上がれば、人はより価格の高いものを買うようになる。
↓
ものが売れれば、経済の好循環を生み出し、雇用につながる。
③ただ日本の場合、最低賃金の引き上げが雇用につながりにくいとされる。
「最低賃金を引き上げる一番の問題は、
ガツンと一気に上げること。
特に体力の弱い中小企業の重荷となり、
逆に雇用を減らすことに結びついてしまう」(森永卓郎氏)
④森永氏はコロナ禍の今、最低賃金が平均28円アップしただけで、
多くの中小企業経営者は悲鳴を上げているという。
米国は非正規雇用でも、最低賃金に近い人ばかりではない。
それが日本と違う点と指摘する。
「日本は最低賃金を緩やかに上げていくしかない。
しかし、それだと格差はいつまでも縮小しない。
そこで、最低賃金は毎年2%程度上げながら、
同時に消費税を下げ、ベーシックインカムを給付する。
こうして、25年近くかけて最低賃金を1500円にするのが、
最も効果的なやり方だと思う」
⑤中澤氏は、1500円への大幅引き上げは、「中小企業への支援策とセット」でないと実現できないと語る。
最低賃金を上げて設備投資をした企業には、
「業務改善助成金」という制度が設けられている。
↓
しかし使い勝手が悪くあまり利用されていない。
これまでは政府主導で最低賃金を引き上げてきたが、
以下が筆者の評価。
「中小企業に対する支援は、ほとんど行ってこなかった」
だから4~5年のスパンで、中小企業への支援策をセットにして、
最低賃金を年12%程度引き上げれば、雇用への影響を抑えることは可能と考える。
⑥都留文科大の後藤道夫教授の試算で以下が分かった。
「最低賃金に近い低賃金で働く人の割合が、最近10年ほどで倍増」
最低賃金の全国平均の1.1倍以下で働く人の割合は、
2009年は、7.5%
2020年は、14.2%
つまり最低賃金1.0~1.1倍の間の人が倍増した。
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