(V81) お客様のニーズを大事にする。お客様の声を元にちゃんと商品まで作る。それも高く売れる要因――未来工業株式会社-3 by 菅野陽平 より抜粋加筆しました。

⑹ 高く売るために必要なのは、アイデアとシリーズ化


【例①】オフィスなどによく半月型の配線カバーがある。

あれは未来工業が20〜30年くらい前に世に出した商品。
当時は「こんな高いもの誰が買うんだ」と言われていた。
20〜30年かけて、この商品を育ててきた。


配線カバーには種類がとてもたくさんある。
サイズもそうですし、色も付属品も同様。

そういったかたちで商品を育てていく。
もちろん簡単に真似ができてしまう製品ですし、
類似品もたくさんある。


でも、種類を増やすことで、何とか相応の値段で売れるように、
他の追随を許さない立ち位置に持っていこうとした。


【例②】コンセントの裏側で壁に埋まっているスイッチボックス。

これは100種類以上もラインナップしている。
他の企業さんの場合、10種類以上持っているところはまずない。


本当の売れ筋だけで勝負するから価格競争になる。
未来工業は価格は安くないが、たくさんの種類を用意している。

以下を言われることがある。
「工事現場で問題が起こった時に、
未来さんのカタログを見ると欲しい商品が載ってる」

これは、さまざまなお客様や、
ユーザーさんの声を聞いて作っているから。


未来工業はお客様のニーズを大事にする。
お客様の声を聞くだけでなく、それを元にちゃんと商品まで作る。
それも高く売れる要因のひとつ。


⑺ 他の会社が未来工業のようになりたいと思った時に、ハードルになる所


①残業でいえば、基本的に多くの企業にとって、
残業する社員はいい社員。

それに対し、未来工業にとっては金を使うよくない社員。
どこかでその頭を切り換えなければいけないと思う。


②給料が安くてどうしようもないから遅くまで残業すると、
残業代は出るかも知れないが、毎年の昇給が厳しくなってくる。

残業をせず、成果を上げることを評価し、
給与も上げる必要がある。


③人間は睡眠等々で8時間、会社で拘束されるのが8時間、
残り8時間は自分の時間。

その8時間を会社が取ってどうするんだという話。


自分の時間は自分のために使って、次の朝元気に出社し、
昨日以上に高いクオリティで仕事をして欲しいから。


【例】開発部に最も多くの図面を書く社員がいる。
いつも7時ぐらいに出社してきて16時ぐらいに帰っていく。

17時からは、テコンドーの先生をしている。

彼自身、世界大会にも出場する選手だが、
後進の育成もしている。

そういう自分の趣味があるから、
早い時間から出社して仕事をしている。


会社は会社、プライベートはプライベートと切り分けている。
それでも彼は開発部で一番図面を書く男。

以下というのは、間違いなくあると思います。
「プライベートが充実しているからこそ仕事ができる」