マガジンのカバー画像

ニューヨーク金融市場

148
ニューヨークで話題になった経済情報を日本の皆様にお届けしています。
運営しているクリエイター

2020年1月の記事一覧

年約2回の利下げ織り込みはやり過ぎ。金先ショートへ。BOEとWHOの見方。

年約2回の利下げ織り込みはやり過ぎ。金先ショートへ。BOEとWHOの見方。

英中銀は政策金利を7対2で据え置き。マーケットは利下げの可能性を直前まで5分5分で見ていたが、個人的には利下げを行うと思っていたため、今回のBOE の結果には失望。また、政策決定会合はいくつかの点でタカな内容だったと感じている。

一つは、年初からハトなコメントが Carney やVileghe などから出ていたにも関わらず、利下げを支持したのは前回と同じ HaskelとSandersのみだった

もっとみる
FOMCで金利が下がった理由。米決算など

FOMCで金利が下がった理由。米決算など

FOMC
FOMC は政策金利を据え置き。声明文の文言は、①家計に対する評価が Strong からmoderate へと変更された他、②インフレ目標について“近づける”が “戻す”に変更された。特にインフレ目標に関する文言変更は、2%が上限と市場に捉えられないようにする為と説明しており、ハトな声明文となった。これを受けて米金利は低下している。IOER(超過準備預金金利)が 5bp 引き上げられたが

もっとみる
米株の調整は本当にコロナウィルスが理由だったのか?

米株の調整は本当にコロナウィルスが理由だったのか?

新華社通信が専門家の意見として、新型コロナウイルスの拡大は1週間から10日以内にピークをつけるだろうとの見方を示したことで、米国時間はリスク資産がショートカバーされる展開。

特にアップル、マイクロソフト、アマゾンなど、決算を控えた銘柄のウエイトが大きいナスダックが強い。

米国時間に発表された耐久財受注は前月比+2.4%と予想+0.3%を大きく上回ったものの、その前の月が大幅に下方修正されて

もっとみる
中国エクスポージャーの大きい米株は?

中国エクスポージャーの大きい米株は?

先週まではコロナウイルスについて対岸の火事として捉えていた米国であったが、週末に急増した患者数を受けて、さすがに本日はコロナウイルスの話題で一色。

とはいえ、マーケットはパニック売りという程の雰囲気ではなく、どちらかというと明日から始まる大手企業の決算待ちという雰囲気のほうが強い印象を受ける。

元々、今週発表されるアップルなど主要銘柄への決算期待は高めであったが、S&P500などのインデッ

もっとみる
注目のドル円チャート。コロナマーケットは様子見がベスト。

注目のドル円チャート。コロナマーケットは様子見がベスト。

今週はコロナウイルスの感染が広まったことで、アジア株を中心にリスクオフとなったが、本日から中国が旧正月に入る為、ここから先はアジア発のリスクオフは継続しないとの見方がコンセンサス。
一方、リスクオフの根源が本当にコロナウィルスの話なのかということには疑問で、今週のリスクオフはコロナウイルスの話だけではなく、旧正月前の人民元売りフローも相まってマーケット全体の雰囲気を悪くさせ、値幅が増長したと見てい

もっとみる
旧正月前にアンワインドのフロー?人民元を中心に

旧正月前にアンワインドのフロー?人民元を中心に

旅行中の為、できるだけマーケットを見ないようにしようと思っていましたが、ついつい見てしまうのは職業病ですね。

足元、リアルタイムで人民元が売られており、アジアのマーケットも全体的にリスクオフ気味な印象。

個人的には先週落としたリスク資産のロングポジションを再構築したいので、もう少しこの動きが続いて欲しいですが、今日の人民元の動きには以下のような背景があるのかなと思っています。

・年明けから旧

もっとみる
人民元ロング、金利ショートのクローズに加え、米株ロングも大幅に削減。来週は調整を待つ週に

人民元ロング、金利ショートのクローズに加え、米株ロングも大幅に削減。来週は調整を待つ週に

金曜日は静かなリスクオンが継続。
話題になったのは住宅着工件数が大きく市場予想を上回ったことくらいだが、マクロの見通しに大きな変更は無い。
以前の記事でも紹介したが、ニューヨークやカリフォルニアといった、高級物件が多い地域の不動産市場は、トランプ税制の影響で冷え切っている。

一方で、子供が成人となりこれから定年を迎える55歳くらいのアメリカ人は、実家を売って手頃な広さの新居へ移る動きがあるようだ

もっとみる
止まらない株価、指標は◎。ポジションは徐々に圧縮へ

止まらない株価、指標は◎。ポジションは徐々に圧縮へ

自動車やガソリンといった変動の大きい項目を除いた12月の米小売は前月比+0.5%と予想(+0.4%)を上回る伸び。但し、 11月分は速報の0.0%から▲0.2%に下方修正されている為、全体としては予想を若干上回ったという評価が正しい。一方、年末商戦に関連する項目は、衣服・アクセサリーや家電などが力強く伸びていることから、業界団体が指摘していたようには良好だったといえよう。

同時に発表されたフィ

もっとみる
中国にとって屈辱的なセレモニーとなったフェーズ1合意

中国にとって屈辱的なセレモニーとなったフェーズ1合意

米中フェーズ1合意
少し遅れて始まったフェーズ1合意の署名式典は、最初の1時間ほどを使って延々とトランプ大統領による自身の功績の自慢や、通商協議に関わった人への謝辞が続いた。
この間、中国の代表団(劉鶴副首相を含む)はトランプ大統領の後ろに立ちっぱなしの状態。目の前でトランプ大統領からこれまでの中国を、この合意で変えたと自慢し、それを聞かされる中国の代表団にとっては屈辱的であったのではとさえ感じる

もっとみる
米銀決算は概ね良好。今晩の米中署名はSell the factとなるか

米銀決算は概ね良好。今晩の米中署名はSell the factとなるか

食品とエネルギーを除くコアCPIは前年比+2.3%と予想+2.4%を若干下回る内容。居住費や娯楽費などの伸びが鈍化していることが主な背景。
CPIを受けて米金利は低下したがその他プロダクトは小動き。

米株は決算シーズンに入っており、まずは発表の早い米銀の決算がに注目が集まっている。

本日発表された大手行の決算は以下の通り。

JPモルガン(EPS2.57 ドル、予想2.36 ドル)
債券

もっとみる
中国ネタでリスクオン。今週はフェーズ1合意に注目

中国ネタでリスクオン。今週はフェーズ1合意に注目

マーケットは全般的なリスクオンセンチメントが継続しており株高・金利上昇が続いている。特に為替市場で目立つのはクロス円の上昇とポンド安で、クロス円については人民元円がアウトパフォーム。

人民元はアジア時間から買われていたが、下記のような材料が話題に。

a) 中国の年金基金が株のウェイトを増やせるように政府が働きかけていること
b)為替報告書の通貨操作国認定を外す予定とのこと(関係者)→その後

もっとみる
ファーストフード店で年収1000万越えの米労働市場。日本がヤバイ。

ファーストフード店で年収1000万越えの米労働市場。日本がヤバイ。

雇用統計は145k の増加と予想 160kを若干下回ったが、マーケットではあまり材料にされず、小動きとなった一日。総じて追加の材料も無く、強いて言えば来週の米中フェーズ1合意の署名と、上院にトランプ弾劾条項が送付されるか否かといった点が次の材料か。

雇用といえばタコベル(ファーストフードチェーン)が店長の募集に年収10万ドル(約 1090万円)を提示しているという記事が話題に。
日本では年収

もっとみる
カーニー発言でポンドは下落。米百貨店売上は悪いが心配する必要は無い。

カーニー発言でポンドは下落。米百貨店売上は悪いが心配する必要は無い。

マーケットは急速にテーマを失いつつあるが、来週には中国代表団の訪米が控えていることを踏まえると、再び米中通商協議が市場のテーマになりそう。トランプ大統領から訪中のアナウンスがあれば市場はフェーズ2に向けた期待でリスクオン地合いは継続できると考えている。

本日はクラリダFRB副議長、エバンス、ブラード、カシュカリなどFED関係者からのコメントが相次いだが真新しいものは無く、現状の経済/市場環境で

もっとみる
イラン情勢は一気に緩和か。株はジェットコースター相場で高値へ。

イラン情勢は一気に緩和か。株はジェットコースター相場で高値へ。

イランの米軍基地攻撃でアジア時間はリスクオフで始まったが、トランプ大統領は“So far, so good!"とツイート。この時点で米軍に死者が出たか否かは明らかではなかったが、トランプの楽観的なツイートから被害は無いと判断し、米国ではリスクアセットを拾う同僚も多かった。

マーケットはその後、イランがこれ以上激化する意向が無いことを確認し、リスク資産は全戻しの展開。また、トランプ大統領の会見

もっとみる