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掌編小説、随筆

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2023年8月の記事一覧

死の啓蒙と星月夜

死の啓蒙と星月夜

 僕の思想は薄っぺらい感情論でしかない。
 ただ死にたいと言い、それ以上でもそれ以下でもないのだ。ただ一つ言い分があるとすれば、社会的な損得勘定によって自分は生きる価値の無い存在になっているということだ。それ故の希死念慮。ペシミズム、ニヒリズムに関する本を読み漁り、そうだこれだと感動し、時間のある限りそれらに意識を集中させ、そうして死にたいという思いは日に日に成長していった。しかし、ここで問題が発

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破壊の先に

破壊の先に

 病院に入院してからというもの、僕の心の内にはある文字たちが付き纏っていた。それらは僕の心を変えてしまった。「壊、亡、虚、滅、消」の五文字。

 その他にも「破壊」「崩壊」「滅亡」が僕へのキーワードとして取り巻いている。何かを壊したいという気持ち、何かしらの固定概念を壊したいという気持ちが大きくなっている。

 たぶん入院前に読んだ漫画からの影響がある。その漫画は、伊藤計劃のハーモニーをコミカライ

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雁愁先生

雁愁先生

 世間が曰う所の、暗い死に方でもした霊に憑依されたかのように、日頃より死にたい死にたいと仰っていた先生は、今日も昼に眠り夜に動いておられた。ごく稀に、昼間に動かれることもあるが、その時もやはり死にたい死にたいと仰って、布団の上で天井をじっと見つめておられた。

 その先生は、名を雁愁と言った。
 物書きの人であったのだが、最近は書く回数がめっきり少なくなっていた。先生曰く「書きたいものが無くなった

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