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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】水・みず・ミズ!?

鍼灸治療では、症状の改善に役立てるために、日常的な養生方法のひとつとして、食生活上で気を付けることをお話することがあります。
今回は、その中から『水』をテーマにとりあげ、東洋医学的にみた場合、水はどのような作用をもつのか、についてご紹介をしていきます。

また、文中の最後のほうでは、水の名所として、千葉市内千葉市中央区にある、千葉神社 美寿之宮・延寿の井をご紹介していきます。

では、最後までどうぞお楽しみください。

1.水はたくさん飲むとよい?

鍼灸院『鍼灸 あやかざり』では、患者さんから、時々、こんな質問を受けまることがあります。
『水を多めに飲んだほうがよくなりますか? 身体にいいですか?』
この質問に関する答え、読者の方々はどう考えますか?
実は、その答えは YES でもあり NO でもあるんです。
えっ、どうして??矛盾してるのでは・・・と思われた方、ぜひ最後まで読んでください。
きっと、あーなるほどって納得してもらえるはずです!!

2.水の分類

水には、以下のように様々な種類があります。

①水道水
硬度により、軟水と硬水に大きく分類されます。
硬度とは、水に含まれるミネラル成分、カルシウムとマグネシウムの含有量のことです。
軟水に含まれる、炭酸カルシウムは、沸騰させることで除去させることができる一方、硬水に含まれる、硫酸カルシウムは、加熱しても除去できません。
この、硬度は地質環境により異なり、地域によって差があります。
一般的に石灰岩が多いヨーロッパ地域では、河川水や地下水にミネラル成分が多く溶け出し、硬度が高くなる傾向にあり、河川が短く流れが急な日本では、水が岩や土に触れる時間が短く、溶け出すミネラル成分が少ないために硬度が低くなる傾向にあります。
参考までに、千葉県の公式サイト情報によると、千葉の水道水は中程度の軟水のようです。

②沸騰水
沸騰させた水は水道水特有のくさい臭いがなくなりおいしく感じられます。
これは、水道水に含まれる、残留塩素とトリハロメタンが煮沸で除去されることによるものです。
ただし、沸騰させた水などは、塩素の消毒効果がなくなって、空気中の細菌等が繁殖しやすくなるので、「水道水」はなるべく早く飲み切るよう注意しましょう!

③その他
そのほかには、自然界の水として、河川、湖、川などの地表水、井戸水などの地下水、雪国での雪どけの水=雪湯水、などがあります。

水は、自然界においては、以下のような属性をもちます。
【性質と味】 涼、潤、淡甘
【関連する臓腑経絡】 五臓六腑

3.東洋医学的にみる水

東洋医学的には、『水』は身体を構成する要素の一つとされてます。

身体を構成する要素は、東洋医学においては、
 『気』 身体のエネルギー 体内循環を正常にたもつ
 『血』 現代の血液に似たもの、身体を栄養し潤す
 『津液』 身体の水の総称 身体を潤す
に分類されます。

おもに、津液は、飲食物として口から摂取された後に胃腸で吸収された後、不要な水は老廃物となり、汗、尿、便などとして排出されます。
津液に関連が深い五臓六腑としては、肺・脾・腎・三焦があげられます。

体内で津液の巡りが悪くなったり、体内の水を処理しきれなくなったりすると、体内に水が溜まりやすくなり、過剰な水分は身体から排出きれなくなることから、体内の老廃物(湿・飲・痰)とよばれる病気を引き起こす原因に変化し、身体に様々な不調(ex.浮腫、糖尿病など)を及ぼす原因のひとつとなってしまいます。

また、夏の暑さで汗をかきすぎたり、水分摂取が少なすぎたりすると、乾燥状態となり、体内の津液が不足することから、身体に様々な不調(ex.乾燥肌、咳、ドライアイなど)を及ぼす原因のひとつとなってしまいます。

では次に、津液の過剰・不足するが原因についてみていきましょう。

①食べすぎ、飲みすぎ
暴飲暴食や、日ごろの食べすぎ、飲みすぎにより、胃腸に負担をかけ続けると、胃腸の働きが低下して飲食物、水分の吸収が上手くできなくなります。
それにより、先にご紹介した、津液の巡りが悪くなり、老廃物(湿・飲・痰)が体内に溜まりやすくなります。

②虚弱体質、胃腸の弱り
体質的に身体が弱く、疲れやすい、息が切れやすい、お腹のあたりが張っている感じがする、胃下垂、慢性胃炎、FD(機能性ディスペプシア)などの不調がある。
こういったタイプの人は、摂取した食べ物が胃腸の負担となることが多く、胃腸の弱りにより消化吸収能力が低下しがちなことから、①の場合と同様に、先にご紹介した、老廃物(湿・飲・痰)が体内に溜まりやすくなります。

③冷え性
いつも寒く感じる、冷房・冬が苦手、お腹がいつも冷えているように感じる、下痢をしやすい、浮腫みやすい。
こういったタイプの人は、身体を温める力が不足していることから、水分のとりすぎは身体の冷えをより一層悪化させてしまうことになり、結果的には①の場合と同様、老廃物(湿・飲・痰)が体内に溜まりやすくなります。

④精神的ストレス
東洋医学の理論では、通常は、気=エネルギーが、身体の中を上下左右、縦横無尽にスムーズにめぐっており、この状態が健康な状態である、と考えます。
ところが、精神的なストレスによりイライラしてばかりいると、この気の巡りが停滞してしまうことから体内循環が停滞し、結果的には、津液の巡りも停滞しやすくなります。

では、最後に、『1.水はたくさん飲むとよい?』についての答えです。

水の飲み方のアドバイスは、ズバリ『適量を心がける』です!!
これまでご紹介をしてきたように、①~④のような原因で身体の中で津液の巡りが悪くなり停滞をすると、水分代謝が悪くなってしまい、身体の調子をかえって悪くさせてしまうことが考えられます。
『2リットルは最低でも飲むようにするとよい』という健康法にまどわされることなく、口が渇いた分だけ、もしくは喉が渇いた分だけ、少しずつ摂取するのが良いです。
また、日本は、古くから一汁三菜という食文化があり、お米やおかずにも多くの水分が含まれていることから、2リットルという水分はかえって水分の取りすぎになってしまう、という考え方もあります。
あくまでも、個人の体質・体調に応じて飲むのがよいが、ずばり『1.水はたくさん飲むとよい?』の答えとなります。

4.千葉の水の名所 

ここまで、水について東洋医学的にみてきました。

筆者の鍼灸院『鍼灸 あやかざり』は千葉市内千葉駅、千葉中央駅の近くに位置していますが、今回は、水をテーマにするにあたり、水にゆかりのある周辺の場所を散歩して探してみたところ、ご紹介したい場所をみつけました!
千葉神社にある、『美寿之宮・延寿の井』です。

4.1 千葉神社 美寿之宮

千葉神社は、北辰妙見尊星王様(ほくしんみょうけんそんじょうおう)というご本尊をお祀りしています。
北辰妙見尊星王様は、北辰(ほくしん=北極星と北斗七星)の神様で、通称「妙見様(みょうけんさま)」とも呼ばれ、古くから人々に親しまれてきたようです。
『辰』の字は、天体宇宙をあらわしており、『龍神』を意味し、北辰妙見尊星王様が位置する北方は、陰陽五行説では、木火土金水のうち『水』の方角にあたり、妙見様と『水』とは古くから御縁があると伝えられています。
その水に関わる水御祖大神(みずのみおやのおおかみ)様をお祀りしているのが境内にある『美寿之宮』です。
現在では、延命息災・安産の御利益がある、とされており、多くの方が普段から参拝されているようです。

4.2 千葉神社 延寿の井

千葉神社内、妙見池の水源であり、古来より一願成就の霊泉として知られ、関東各地から「お水取り」に御来社されているようです。

ぜひ一度、千葉神社にご参拝に訪れて、水にゆかりのある場所を訪れてみてはいかがでしょうか。

いかがでしたでしょうか?
『水・みず・ミズ!?』はお楽しみいただけましたでしょうか?

このように、身の回りにあるいろいろなものを東洋医学的にみていくと、鍼灸ほかにも、身近なところに自然治癒力を高めるヒントがたくさんあることに気づかされますね。

それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

画像の出典:https://www.photo-ac.com/

参考文献:『東方栄養新書』
千葉神社の情報:千葉市の紹介を参考に

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