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掌編など

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自作のちいさなちいさなおはなしを、まとめています。
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#創作

【散文詩】蝶【掌編】

【散文詩】蝶【掌編】

貴方がわたしの指に結んでくれたのは、蝶の形をした願いだった。小さな宝石のような模様を抱いて、蝶はわたしの指に棲みついた。流れる甘い血は吸い上げられ、指は鱗粉に塗れてかさついた。蝶はそれでも肥えない。痩せた願いだけが、貴方がいなくなった後も残り続けた。

いつまでここにいるつもりなの。わたしは蝶の薄い翅を摘んで訊いてみる。さぁねぇ、と応えが返る。指は歳をとる。皺の間深くまで鱗粉が入り込んで、皮膚と同

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夏の終わり

夏の終わり

去年の人は鮮やかで、去り際にも強く印象を残したけれど。今年の人は雨と共にじわりと現れて、短い蜜月のあと、すぅっと溶けるようにいなくなってしまった。

来年はどんな人と出会うだろう。
夏、世界を美しく見せてくれる、わたしの恋人。

いつも、その後姿を追いかけてばかり。
#掌編 #小説 #花テロ #詩 #創作 #向日葵

流れる

流れる

暑さの名残の中、久しぶりに訪れた川は、きらきらと日を弾いていた。清い流れは緩く甘く、さらさらとした優しさに満ちているように見えた。

足を差し入れれば、拒絶のような凛とした冷たさ。慌てて踏み込んだ先の小石の尖り。思わぬ深みと速さに弄され、脱ぎ捨てたサンダルは遥か下方へ。

川は夏の終わりの全てをそそぎ、
押し流されてわたしは秋になる。
#創作 #物語 #小説 #掌編 #掌編小説 #短編小説 #詩

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