(人文書の)編集者は何をしているのか ——1冊の本ができるまで
出版というのはどんくさいもので、1冊の本ができるまでに、どんなに早くても3ヶ月くらいはかかります。学術書であれば10年とか、それ以上の年数が掛かるということも珍しくなく、たとえば昨年末に上梓された安藤宏『太宰治論』(東京大学出版会)は、安藤先生のライフワークである太宰治研究の集大成といえるものですが、あとがきには「当初の刊行予定から二〇年以上も遅れてしまった」と書いてあります。本ができるまでは長い道のりで、関わってくる人も著者と編集者だけでなく、デザイナー、イラストレーター、