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2021年1月の記事一覧

比較書評 『11分間』,『七つの人形の恋物語』

比較書評 『11分間』,『七つの人形の恋物語』

セックスは正味11分間。
―― その11分間に至るまでの会話と、服を脱いだり着たりシャワーを浴びるといったことを除けば ――。
マリーアはそうして『11分間のために付随する時間』を売っている娼婦である。

愛とは何か。
セックスとは何か。
事の最中にオーガズムを得られない自分は異常なのか。
彼女が赤裸々に綴る日記を織り交ぜながら、進行するストーリー。

巻末のあとがきによると、ソニアという仮名の娼

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リチャード一世が十字軍を遠征していた頃、日本では源平合戦をしていた

リチャード一世が十字軍を遠征していた頃、日本では源平合戦をしていた

歴史は一国を縦軸に見ていくだけではなく、世界規模で横軸に見ていくことで、マルチディスプレイを利用した複数個所のライブ映像を見ているような、エンターテイメント性の高いものとなる。

今回、目をとおした本はこちら。

このような本は小説形式でない限り、目をとおすという表現がしっくりくる。
受験対策としては間違っているかもしれないが、私にとっては好奇心を満たすためのものなので、年表をがんばって覚える気は

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ウィリアム・トレバーという作家とアイルランド

ウィリアム・トレバーという作家とアイルランド

先日読了した小説『密会』 から派生して、アイルランドの歴史に興味を持ち、入手した歴史本に目をとおしてみたところ、思った以上に味わい深い作品だったのだと気づいた。

図説 ケルトの歴史: 文化・美術・神話をよむ という本で少しは予備知識を得ていたが、全体を捉えるには情報不足だった。

アイルランドは、イギリスのガキ大将に搾取されている歴史が垣間見え、政治的、宗教的な理由による生活のあらゆるパラドック

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読書感想文『密会』

読書感想文『密会』

初めて ウィリアム・トレバー の作品を読んだ。
この作家の作品はスルメみたいで、噛めば噛むほど味が出る。
全編2度読みして何かしら浮き出てくるものがあった。
特に、アイルランドとイギリスの時代的背景を知っていると、さらに奥行きが出てくるはず。

収録作品は12作品。
気に入った作品をピックアップして感想を書こうと思う。

01. 死者とともに
02. 伝統
03. ジャスティーナの神父
04. 夜

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