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ショートショート

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2020年4月の記事一覧

ロングヘアーストーリー①【恋愛 短編小説】

一月ぶりに美容院へ来た。
いつもの美容院で、やっぱり担当もいつもの人。というか、切ってくれるなら誰でもいい。夏休み中に行っときなさい、と母に言われて来ただけなのだ。
「どれくらい切る?」
「揃えるくらいで」
いつもどおりのオーダーだ。実は以前、20センチほどバッサリ切って学校へ行ったら、先生に怒られたのだ。あなた、髪の毛を短くするときは報告しとかなきゃだめじゃないの、と。それ以来、面倒くさくて伸ば

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この上なく惨めな夜⑤完結

一杯ずつ飲んで、食事を平らげたとき、みんながなんだかとても満たされた顔をしていた。
おいしい料理は偉大だ。
「次どこいく?」
鶴の一声。池田が言うと、満場一致で15時から開いている駅前の居酒屋へ、飲み直しに行くことになった。
絵梨花は毒気を抜かれたようで静かについてきた。一つには、あたしと加本さんが付き合ってないことがわかったからだ。また、デートでなく三人でご飯を食べていただけとの理解ができ、重要

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この上なく惨めな夜④

11時15分。早く着きすぎた。期待していると思われたくない。
「お待たせ。ごめんね。遅刻したかな」
これまた早く着きすぎた加本さんが登場。
「いえ、今来たところなんで」
本当だ。
「じゃあ、入ろっか…」
と、そこへ。
「待ったーーー!」
池田が。
「え?なんであんたがここに…」
「ずるいなあ、なんで誘ってくれないんですか?同じサークル仲間じゃないですか」
「なんでここ、わかったの?」
「だってあの

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この上なく惨めな夜③【ショートショート】

前作はこちら↓

https://note.com/asaki56/n/n107931426001

「いたっ」
靴ずれした。慣れないパンプスを履いてきたからだ。どうせ仕事中は履き替えるのに。踵のとこの皮膚が剥がれてジュクジュクしていた。
いつもだったら無駄遣いしないけれど、座りたかった。やむを得ずカフェへ入ることにした。
すぐにでも足を休めたかったので、近くにある入ったことのないカフェを選んだ。

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続:この上なく惨めな夜【ショートショート】

前編はこちら↓

https://note.com/asaki56/n/n68777d0f0d40

翌日、絵梨花から連絡が来た。「昨日はほんとにごめんねー🙇‍♀行けると思ってたのに、突然仕事が入っちゃってー😔埋め合わせしたいんだけど、明日のランチどうかな?」
断る理由なんてありすぎた。けど、この期に及んで何を言い訳するのだろう。それをあえて聞いてみたい。あたしの中から卑屈な感情が首をもたげた

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この上なく惨めな夜【ショートショート】

あたしはこの上なく惨めな気分だった。
散歩中に犬の糞を踏んで、お気に入りのスニーカーにベッタリとくっついてしまったから。
友達からもらったエスプレッソカップを割ってしまったから。
一足1800円もした靴下に、マニキュアをつけてしまったから。
仕事をクビになってしまったから。
そして、大好きだった彼氏に振られてしまったから。

「紗織?紗織じゃないー?」
仕事帰り。慣れない接客で疲れた体を引きずりな

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真夏のエイリアン【SF ショートショート】

塩素の匂いがした。公園のプールかな。
蝉しぐれが煩い。汗が額から流れる。手の甲で拭った。
なぜこんな強い日差しの日に、ワンピース一枚で外へ出てしまったのか。日傘は刺しているけど、日焼け止めは塗ってきたけど、焼きたくないのに、真っ黒になってしまいそうだ。
暑い。白いワンピースは、白い日傘は、焦げてしまいそうだった。
午後2時。一番日差しの強い時間。本当になぜこんな時間に出てきてしまったのか。

「や

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スーパームーンラブストーリー【ショートショート】

目を覚ますと月夜だった。カーテンを閉め忘れている。圭吾は隣でぐっすり寝ている。白い月明かりが彼の顔を照らしていた。くしゅん。まだ夜は肌寒い。毛布をかけ直して再び眠りについた。

「きゃっ…」
別の部署に届け物に行く途中、出会い頭に誰かとぶつかった。私は弾みで尻餅をついた。
「ごめんね、大丈夫?」
手を差し出され、立ち上がる。
「ええ。すみません、私が前をよく見てなくて、本当にすみません……って、立

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ミコノス

あるボーカリストの曲に憧れて、ミコノス島へやって来た。
エメラルドグリーンの海。青い屋根、真っ白な壁。その間に続く小路。何度通っても迷子になりそうに入り組んでいる。でも大丈夫。島はそんなに大きくないから、すぐに海に出ることができる。海に出たら道を間違ったことが分かるから、引き返せばいい。
波打ち際になぜかいるペリカンを見ながら、海辺の食堂でムサカを食べた。じゃがいもやナスの入ったグラタンのような料

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雨音は子守唄【ショートショート】

「ねえ、私と一緒に死んで」
雨の夜、私は傘もささず歩いていた。
渉と目があった。彼は微笑んだ。
その夜、私達は闇色の海へ飛び込んだ。

私は生き残り、渉は死んだ。その日から私は心を失くした。ううん、彼と出会ったときには、私はもう失くしていたのかもしれない。
皮肉なことに、彼が死んだ日から、私はどんどん彼に恋い焦がれていった。それまでの彼なんて、何一つ知らないのに。
それと同時に、彼が藍色の帳の向こ

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公園通りのバー【ショートショート】

「こんなところにバーがあったかな」
会社帰りの公園通り。なかなか感じのいい店構えだ。入ってみることにした。
「いらっしゃいませ」
細身で少し神経質そうなバーテンダーが声をかけてくる。
カウンターに腰掛けた。
「お好みのものがあれば、お作りいたします」
「そうだな、今日みたいな春の気温に合うやつを一つ頼む」
「かしこまりました」
イメージはすんなり伝わったらしい。まだ寒いんじゃないか?と少し思ったが

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恋愛【ショートショート】

久々にスタジオ入った。暗くて狭くてヒヤッとしてて良い。
電気つけてキーボードの準備してたら、マキオがラリラリになって入ってきた。
「うっすー、カヨコひとり?」
「あんた、目やばいんだけど」
「んーん、ちょっと気持ちいいの飲んできただけだよー、別に悪いことはしてないよー」
合法かもしれないが、この状態でクルマ乗ってきたのはアウトだろ。
「カヨコもやる?すうーっとするよ!気持ちよーく演れるよ」
「あた

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龍の棲む水槽(ショートショート ファンタジー)

近所の中華料理屋へ飲みに行った。
最近TVで、町中華で一杯やる番組を見て、自分もぜひやってみたいと思ったからだ。

酒を飲むから店まで歩いていった。たったの15分ほどの距離だが、途中小雨が降り出した。傘は持っていなかったので、急ぎ足で歩いた。
信号待ちのとき、2階にあるパスタ屋でもいいかなあという誘惑に負けそうになったが、幸か不幸か休みだったので、予定通り中華料理屋へ入る。
週刊誌やら古い少年漫画

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