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朝日 ね子
2021年7月4日 16:08
子どものころ、姉と外で遊ぶときにはたいてい「ぼっこ」を持ってあるいた。自分の背丈ほどのヨモギの茎を根元から折り、枝葉を取り除けば、長いぼっこの出来上がりである。 ぼっこは時に剣となり、魔法の杖となり、水辺をつつく道具となった。 学生になって方言の域を出て生活したとき、ぼっこが何か伝わらず、他にどう言い表して良いかわからずにしばらく考え、やっとわかった。 ぼっこの標準語は棒で、ぼっこを漢字
2021年5月1日 19:14
靴を履いていたら、外をねこが足早に歩いていくのが見えた。「ねこ！ ねこちゃん！ どこいくの！」 大きな声で呼んではみたが、ガラス越しでは聞こえないようだ。そのうちにオンコの木の向こう側に入ってしまって、見えなくなった。 急いで外に出て、行き先を見届ける。「ねこちゃん！」 呼びながら追いかけると、その先に姉がいた。しゃがみこんで草むしりをしていた。「やっと来たのか！ ずっと呼んでたのに
2020年11月15日 12:16
チビタンコ 大正生まれの祖父は軽トラのことをチビタンとかチビタンコとか言っていた。わたしたちも小さいころはそう呼んでいたが、祖父がいなくなってから、すっかりその言葉を忘れていた。 祖父が運転するチビタンコの荷台に乗って、山に行く。沢を下りてみたり、木立の中に分け入ってみたり、祖父がスコップや鎌を使ってやる作業を眺めたりした。 姉は植物や動物に詳しく、クワの実やコクワの実やマタタビをとって遊ん
