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北海道のことば

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2020年11月の記事一覧

【エッセイ】こわいを知った日

 子どものころ、母や祖母が「あーこわい」「やーこわい」と言うのを不思議に思っていた。
 こわいには、疲れたとかしんどいとかだるいという意味がある。でも、言葉としては知っていても感覚がよくわからない。疲れたは疲れただし、だるいはだるい。だから、自分ではこわいと言うことはなかった。

 それから月日は流れ、大人になった。
 丈夫がとりえのわたしも、しばらく体調がすぐれない期間があった。
 病院に行くほ

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言葉の備忘録 2

言葉の備忘録 2

チビタンコ
 大正生まれの祖父は軽トラのことをチビタンとかチビタンコとか言っていた。わたしたちも小さいころはそう呼んでいたが、祖父がいなくなってから、すっかりその言葉を忘れていた。
 祖父が運転するチビタンコの荷台に乗って、山に行く。沢を下りてみたり、木立の中に分け入ってみたり、祖父がスコップや鎌を使ってやる作業を眺めたりした。
 姉は植物や動物に詳しく、クワの実やコクワの実やマタタビをとって遊ん

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