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高見澤俊彦_小説 『秘める恋、守る愛』 夫、妻、娘、そして親として
2020年に発表された 小説『秘める恋、守る愛』
![](https://assets.st-note.com/img/1680974583316-cy4Ahlxsqm.jpg?width=800)
日向ぼっこをしながら
今年4月に文庫が発売されたこと、
THE ALFEEの楽曲を遡っている中で
高見沢さんの書く歌詞に引き込まれていたこともあり、
一度作品を読んでみたいと 初めて手に取った。
本編 297ページ、書き下ろしコラム6ページ
二日間かけてじっくり読んだ感想を綴っていく。
【 ざっくりあらすじ 】
50代後半の熟年夫婦はすっかり仲が冷めきっていた
夫は若い頃に異国で経験した恋をいまだ忘れられず、
妻は仕事人間の夫と 好みが正反対の娘との関係で生じた寂しさや虚しさを
余所の男とのセックスで満たしていた
そしてドイツに住む娘を帰国させる目的で
気の乗らない7日間の夫婦旅へ
夫(父)、妻(母)、娘…
異国の地でそれぞれの秘める恋と守る愛が赤裸々に交差する___
【 レビュー 】
ほぼ全編を通してほろ苦さが胸に残りつつ
まるでドイツ旅を疑似体験しているかのような錯覚に陥る描写、戦争や建築物の歴史、ドイツビールにソーセージ、
そして一部生々しさを伴う不倫 性描写があったものの 読後感はサッパリとしたお話だった。
父親、母親、娘という家族構成やそれぞれの年齢が近く、
なにより冷え切った熟年夫婦を分析しながら
時に気を使って空気悪くならないようにしたりして
ヤキモキする娘の立場に共感するとは思わなかった。
仕事一筋で家事・育児に追われてきた妻にかまうことなく
でも娘とは波長が合ってそれなりに関係良好な父親、
若い頃は秘書として働きながらそれなりに遊び
今まで付き合ったタイプとは違う真面目な男性と結婚したのが人生のピークで
その後は満たされない結婚生活に飽き飽きして
不倫に走る妻、
バブル期を謳歌した 派手で女性的で
男に頼る人生を送ってきた母親と合わず、
ドイツに住んでからは自身のセクシャリティに素直になれて
日本で生きていた時より充実した日々を送る娘…
丸々全て似ている訳ではないけれど
所々で「えっ…?私の家族 覗き見されてた?」と錯覚するくらい、
3人の微妙な関係性が描かれていて驚いた。
もう一つ驚いたと言えば、セックス描写。
アルフィーの楽曲をもっと聴きたいと思わされたきっかけの『COMPLEX BLUE- 愛だけ哀しすぎて-』では、
ほのかに匂わせるような不倫による性描写と女性視点の心の揺れを感じていたけれど
この小説内の描写は想像していたよりかなり踏み込んだ内容になっていて
画で見せられるよりも活字の方がエロティックに感じた。
ゴツゴツした男性の指のくだりとか、
男と女の行為に対する捉え方の相違など…
さらに読み進めていくにつれて気づいたことは、
妻の不倫描写を生々しく描くことによって
小説内で現在起こっていることというライブ感的な印象を与え、
夫が若い頃にドイツ人女性と忘れられない恋愛をした描写では なるべくピュアに儚く描くことで
歳を重ねた男女の性や恋愛観に対する違いのようなものを伝えたかったのかなと解釈した。
それに劇中、曲名が出てくるセリフが多々あったのがやはりアーティストだなと思ったし
NHK『THE ALFEE 終わらない夢』にて
度々高見沢さんの口から聞いたことのあるアーティストも出てきたので
読書と並行してAmazon Musicでプレイリストを作成し、読書後一気に全曲聴いたのも楽しかった。
↓ご興味があれば…
Amazon Musicで私のプレイリストをチェックしてください: 高見澤俊彦『秘める恋、守る愛』登場歌
【 高見沢さんと年の離れたお兄様 】
本編最後にコラム「出会い」にて語られていた8つ年上の亡くなられたお兄様、
高見沢さんがアーティスト人生を歩むに至ったのはお兄様の影響が多大なのだなと初めて知った。
そしてこの小説を紡ぐ原動力にもなったことも知り、
本編とは別に、素敵なお話だなと感じた。
【 最後に 】
普段小説を読まない
幼い頃から絵本や児童書や小説をプレゼントされたり、
自分で購入して軽く家が図書館状態だったものの
極度の飽き性であるので読むは読むが
あっちの本開いてはこっちの本開いて…の繰り返し。
特に小説に限って最後まできっちり読んだ記憶は
中学生の時に図書室で読んだ『食堂かたつむり』『フローズン・エクスタシー・シェイク(なぜこの官能小説が図書室にあったのか未だ謎)』以来だから約13年ぶりになる。
13年ぶりがまさか高見沢さんの小説になるとは
全く想像してなかったけど、
読んでよかったな、旅って(旅行嫌い)素晴らしいものなんじゃないかと思えたのは大収穫。
あと届いて本を開いた時に気づきましたが、
期間限定で高見沢さんが撮影した素敵な風景写真とサインが印刷されたカードが付いていました。
(高見沢さんのサイン初めて見たけど、とめはねはらいがキレイだなぁ)
2023 4.12 追記___🖊
もう二度と送らないと決めていたファンレター、撤回した3日前|エンタメ総合案内人
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