Why思考にはミクロのWhy思考とマクロのWhy思考の2種類があるという話
戦略コンサルタントのアップルです。
いくつかの記事で「なぜなぜ思考(Why思考)」が重要であるということをお話してきました。戦略コンサルタントには必須の思考ですが、問題解決や企画に携わるすべてのビジネスパーソンにとってWhy思考を意識し実践することはとても重要です。
この記事では、Why思考には異なる2つのタイプがあって、どっちも大事だというお話をします(昨日アップしたダイキンのミッションの記事からのつながりも意識していますので、よろしければそちらもご覧ください)。
ミクロのWhy思考
ミクロのWhy思考というのは私の造語ですが、要は分析的な意味でのWhy思考です。つまり、ある事象(What)の裏側に、どういう原因(Why)が潜んでいるかを分析する頭の使い方です。
ロジック力のレベルについて論じた記事でも言及しましたが、物事のメカニズムを読み解く上で分析的なWhy思考はとても重要です。
優秀な経営者、優秀なコンサルタント、優秀な学者は、ミクロのWhy思考を一定のレベルで備えています。
マクロのWhy思考
これは物事の「上位目的」を探っていく思考です。
昨日、ダイキンのミッションは素晴らしいという記事を書きましたが、これはダイキンという会社がマクロのWhy思考に優れているという言い方もできます。
なぜなら、自分たちの今行っている事業(エアコンや空気清浄機をつくる)を(=What)に対し、「そもそもどういう目的で、どんな意義があって、この事業をやっているんだ?」という問い(=Why)を自らに放ち、目的そのものを創って言語化しているからです。
このように自分がやっていることの目的を見出したり、もしくは目的がないところに目的を作り出すのがマクロのWhy思考です。
最近パーパスという言葉が流行っています。これは企業の存在意義(パーパス)を改めて問い直し、言語化するのが大事だという潮流ですが、企業の存在意義、すなわち「なぜ、社会において、弊社は存在する必要があるのか?」を問うことはまさにマクロのWhy思考の一例と言えるでしょう。
個人レベルでも、
・今の仕事をしている意味は?
・人生の意味は?
といったことを自身に問いかけることが誰しもあると思いますが、これもマクロのWhy思考と言えます。
ミクロのWhy思考とマクロのWhy思考の対比
それぞれのWhy思考の概要と特徴をまとめると次のとおりとなります。
両者に共通するのは、今目の前に与えられている事象に対して「なぜ?」と問いかける点です。この「なぜ?」という問いかけが生まれなければいずれのWhy思考も走りはじめません。
一方で、異なるのは、ミクロのWhy思考は唯一解がある一方、マクロのWhy思考は唯一解がない点です。
ミクロのWhy思考は、物事のメカニズムを読み解くことなので、丹念に分析を重ねていけば唯一の答えにたどり着きます。唯一解があり、そのアプローチは分析的です。
他方でマクロのWhy思考は、Whyを作り出す側面があるため、唯一の答えはないですし、そのアプローチはクリエイティブです。禅問答のように、なぜなぜを繰り返す中で、納得できる上位目的に到達します。答えを見つけるというよりは、「答えを作り出す」イメージに近いでしょう。
また、上図の右端に記載していますが、ミクロのWhy思考とマクロのWhy思考では頭の使い方も変わってきます。
以前「地頭とは何か?」について2本にわたって記事を書きました。
戦略コンサルタントが語る「地頭」の本質①
戦略コンサルタントが語る「地頭」の本質②
地頭には広さ、深さ、高さ、回転、発想の5つの要素があるという話ですが、ミクロなWhy思考には深さが、マクロなWhy思考には高さ、深さ、発想が求められます。
マクロなWhy思考を走らせるためには、深く考える力はもちろんのこと、視座も高くないといけないし、答えを創り出し言語化する発想力も求められるというわけです。
お勧めの本:「メタ思考トレーニング」
私が知る限り、Why思考の重要性について最も丁寧に論じている本として以下があります。
本書では、私の整理でのマクロのWhy思考を「メタ思考」と表現しつつ、その重要性を概念と具体の両面から丁寧に解説しています。ご興味ある方はぜひ読んでみてください!
まとめ
では、今回の内容をまとめましょう。
・Why思考には、事象の要因を分析していく「ミクロのWhy思考」と、事象を上位目的で捉えなおす「マクロのWhy思考」の2種類がある
・ミクロのWhy思考は、物事のメカニズムを読み解くために必要な思考
・マクロのWhy思考は、今直面している事象の目的を見出したり、目的がないところに目的を創り上げるような思考。企業や自分自身のミッションや存在意義を考える局面で使う
・マクロのWhy思考には、地頭の「高さ」と「深さ」と「発想」の総合力が必要。これらの総合力で答えを創り上げる営みである
みなさんがWhy思考を鍛えるきっかけになれば幸いです!
今回はここまでです。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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