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戦略コンサルタントが語る「地頭」の本質①

戦略コンサルタントのアップルです。

この記事では地頭についてお話しします。
大きなテーマなので前編と後編の2回に分けて記事にします。

はじめに

今回のテーマの地頭という言葉。皆さんも日常的に使ったり、耳にすることがあると思います。

「あいつは本当に地頭がいい」
「あの人は、東大卒なんだけど、地頭はちょっとね、、、」

でもこの地頭という言葉。具体的に何を指しているのか、とてもあいまいではないでしょうか?感覚的に使っている言葉の代表例のひとつと言えます。

戦略コンサルティングの仕事においては地頭が非常に重要です。採用面接では、その人の学歴よりも、地頭が良さそうかどうかを丹念にチェックします。コンサルタントの育つスピードも、地頭の良しあしに大きく左右されます(もちろん、それ以外の要素(行動力やコミュニケーション力など)も影響しますが)。

つまり、戦略コンサルティング業界においては、地頭というふわっとした概念を正確に捉え、採用や育成に活かしていくことがとても重要なのです。

戦略コンサルタントの地頭の捉え方

では我々戦略コンサルタントは、地頭をどのように捉えているのか?

結論を先に言うと、「地頭を因数分解する」ことにより、その人の地頭を多面的に捉えようとします。

地頭という言葉で一括りに捉えようとすると、地頭が良いか悪いかという二元論になりますが、実際には地頭には様々な要素があります。要素に分解して捉えることで、「Aさんは地頭のXXの部分は強いけど、YYの部分は弱い」という表現が可能になります。その人の地頭の特性を正確に捉え、強みの部分をどう生かすか、あるいは弱みの部分をどう底上げするか、という議論が可能になるわけです。

自分の地頭の特性を知ったり、地頭をどう底上げする余地があるかを知ることは、戦略コンサルタントに限らずビジネスパーソン全般にとって意味があることだと思います。

それでは本題に入っていきましょう。

地頭の5つの構成要素

地頭は次の5つに分解されます。

①広さ
②深さ
③高さ
④回転
⑤発想

全体構造を絵にすると次のようなイメージです。
※この構造の意味合いを解説した記事はこちら

地頭の全体構造

その人の地頭の良しあしは、この5つの軸で測られるべきです。この5つの軸でレーダーチャートを書いたとき、その人ごとに異なる形の「地頭レーダーチャート」が出来上がるイメージです。

この5つの地頭構成要素が何を意味しているのか順に解説しましょう。

 ①広さ

「どれだけ物事を広く捉えられるか」という側面での地頭の要素です。平たく言えば、視野の広さといってもよいかもしれません。コンサルの仕事ではMECE(ミーシー。もれなく・ダブりなく)という言葉がよく使われますが、これをちゃんとできるかどうかを裏付ける地頭の要素とも言えます。

ビジネスの世界では、視野が狭くなることはクリティカルです。視野が狭いことは、可能性の幅を狭めることにつながります。また、狭い視野に基づく検討や提案は、突っ込みどころが多いため、関係者を説得し合意を取り付けるのが難しくなります。

そのため、「広さ=どれだけ俯瞰的に広く物事を見れるか」という地頭は、ビジネスにおいて適確な解を導き出し、関係者と合意形成していく上での土台として非常に重要になるのです。


 ②深さ

深く考える力です。これも極めて重要な要素です。特にコンサルティング業界においては、これがあるかないかは、そのコンサルタントが業界で生き残っていけるかどうかの分かれ目になるほど重要です。

深く考える力とは何でしょうか?
それは「自問自答を繰り返す力」です。

思考というのは、時間をかけて徐々に深めていくものです。ですが、漫然と頭を使っているようでは、時間をかけても一向に深まりません。考えに考えを重ねる意識を持ち続けられる人だけが、思考を深めることができます。考えに考えを重ねるということは、すなわち、「自らに問いかけをし続ける」ということです。

「なぜだろう?あ、こういうことか」
「では、これはなぜだろう?あ、こういうことか」

と自問自答し続けることによってはじめて、思考は深まっていくのです。

私の経験上、これができる人とできない人は、(面接で地頭のチェックをくぐりぬけてきたはずの)戦略コンサルタントにおいても明確に二分されます。できる人は最初からできるし、できない人はいくらしつこく指導してもなかなかできるようにはなりません。

ある程度先天的なものなのか、あるいは、幼少期や学生時代の学習環境や専攻分野に左右されて決まるものなのか?そこは私もまだわかっていませんが、社会人になってから鍛えるのが難しい地頭の要素だという感覚はあります。

次回以降

今回の記事はここまでです。

後編では残りの地頭要素(③高さ、④回転、⑤発想)の内容と意味合いを解説します。

こちらの記事を続いてご覧ください!

戦略コンサルタントが語る「地頭」の本質②

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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