「お客様は神様」と思ってる客ほど神ではない
飲食店でいい接客・対応をしてほしければ、お客様自身の態度を見直してほしいと思う今日この頃。
飲食店でアルバイトをしていると、いろいろなお客様に出会う。
ここ1週間で、「ああ、わたしこういうお客さん大好きだ~~!」って思ったお客様と、「なんでそういう態度するかな~~(いらいら)」って思ったお客様がいらっしゃった。超両極端。正反対。
特に後者は、きっと飲食店で働いたことがなかったり、自分本位で働く人のことなんて考えたこともないんだろうなっていう感じの、「嫌われやすい客」の典型だった。
「嫌われやすい客」と「好かれやすい客」
クレームや文句ばっかりのお客さんが嫌われやすいのは想像しやすいと思う。でも実は彼らが必ずしも悪い客だとは思っていない。
店員が気づいていない部分に目をつけて、気づかせてくれるクレームなら大歓迎。
例えば、「最初に頼んだ出汁巻玉子、全然来ないんだけど」と言われて伝票を確認したら、オーダーは通ってるのにキッチンがすっかり忘れちゃってたとか。そういうのはこっちが悪いから、心の底から「すみません」って言える。仕方ない。
だから、ちょっと気持ちは沈むけど、そんなにイライラしない。はあ、ミスっちゃった、くらい。
そうじゃない、嫌われやすいクレーム・文句とは何か。
わたしが嫌いだなと思うのは、周りの状況を全然見ないで文句を言う人。
めちゃめちゃ混んでて明らかに回ってない状況とかあるわけですよ。あとはお客さんの注文が一気に入ってきて、キッチンが立て込んでるとか。とにかくスタッフが一生懸命せかせか動いているとき。いや、もう誰がどう見たって忙しいじゃん、みたいなときあるでしょ?
そんなときに「料理はまだか」「さっき頼んだ飲み物が全然来ない」と言われてもですね、順番とキャパと所要時間が決まっている以上、なかなかお客さんの思い通りにいかないこともあるんですよ。それをわかってほしい!!!
炊き上がりまでに30分ほどお時間をいただきますって書いてある土鍋ご飯だって、注文受けたその場から30分のときもあるけど、そうじゃないときもたくさんあるんですよ。
お店が混んでてキッチンがバタバタしてたら、あなたが頼んだ土鍋ご飯に着手するのが10分15分遅れちゃうことだってあるんです。だからどんな状況でもその時間通りにくるなんて思わないでほしい。
こっちは一生懸命やってるんです、怠けているわけじゃないんです。
わざと遅らせているわけでもないんです。
お店を見渡してみてください、お客さんはあなただけですか?
それとね、私たちは人だから、忘れちゃうこともあるんです。口頭でいただいた注文を伝え忘れることだってしょっちゅうなんです。(いや、がんばれよ)
それに対して怒られたり呆れられるとしょんぼりします。かなりへこみます。(へこんでないで早くドリンク作れ、がんばれわたし)
だからね、混んでいるときこそ広い心を持っているお客さんが大好きになる。混んでなくてもこういうお客さんは基本的に大好きだけど、いつも以上に好きになる。
「忙しいところ悪いね、」とか「手が空いたらでいいんだけど、」とか、「今日は忙しそうだもんね、ゆっくりでいいよ」って一言くれるだけですんごく嬉しくなるし、救われた気持ちになるんです。ちょろすぎない?って思うかもしれないけど、想像以上にスタッフはちょろいんです。(わたしだけ?)
そう考えると、飲食店のスタッフにとっての神様って、広い心を持った人になるわけなんですが、彼らは自分たちが神様だなんて微塵も思っていないと思う。謙虚すぎて神様とは程遠い存在だと思ってるんじゃないかな、「神様だなんて畏れ多いです…」みたいな。笑
逆に、周りを見ない、小さな器のお客さんは基本的に好まれません。
彼らが「お客様は神様だ」と思っているかはわからないけど、でもなんとなく「客として来てやってるんだから」とちょっと上から目線な気がする。
文句を言う前に、一度働いてみてください。無理なら想像だけでもしてみてください。
どれくらい大変なのか、どれくらい忙しいのかを。
(わたしは、世の中の人たち全員、一生に一度は飲食店で働くことを経験しておくべきだと思ってる)
そうしたら考え方が少なからず変わると思うんです。
店員の苦労がすこしでもわかってもらえたら嬉しい。
あなたの食べたい料理は電子レンジで1分チンしたら出てくるようなものですか?
あなたの飲みたい飲み物は適当な分量で作られたものですか?
うちの店はファミレスじゃないんです。
せっかく外に食べに行くなら、料理人がこだわって作る料理が食べたいじゃないですか。そのへんでは簡単に飲めないおいしいお酒が飲みたいじゃないですか。
店員はお客様に満足してもらうために、頑張ってるんです。
どんなに大変でも精一杯努力してるんです。
それを広い心で優しく受け入れてくれませんか。
広い心でちょっとだけ待ってくれませんか。
お店の人は優しい人が大好きです、すぐサービスしちゃいます。笑
全員が全員神様になれというわけでもないけど、神様的なお客様が増えたら、スタッフはもちろんそのお客様も幸せな気持ちになれると思うんだよなあ。
昨日出会った神様たち
ちなみにだけど、昨日お店に来たおじいちゃんおばあちゃん御一行10名様が、最近でダントツの神様だった。
個室でのコース料理をご注文のお客様。
(うちの店のコースは大皿じゃなくて1人に1皿提供するタイプ)
お料理を持っていく度に「どんどん回してくからここ置いてって~」って言ってくれたり、料理の説明をしようとすると「はい、聞いて聞いて~!!お姉さん説明してくれるから!」と仕切ってくれるマダムがいたり。
しっかり説明を聞いて、「へぇ~」とか「まあ、おいしそう~!」ってリアクションくれたのもすごくうれしくて。「説明上手だね」って言われて少し舞い上がったのは内緒ね(笑)
食べ終わったお皿や飲み終わったグラスを出入り口に近いテーブルに寄せておいてくれたのもかなりポイントが高かった。
ちょっとした気遣いが身に沁みた。
みんな親切で優しくて、おしゃべりが楽しくて、とってもあったかいお客様だった。
ああ、神様ってこういう人たちを言うんだよなあ。
お客様もスタッフも幸せな気持ちになれたら、その日は「幸せな日」としてお互いの記憶に残るのだろう。
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