広瀬由衣

ドラマ×ミステリー書いてます。 中華風ファンタジーと仲良し兄弟が大好き。 ■受賞歴 …

広瀬由衣

ドラマ×ミステリー書いてます。 中華風ファンタジーと仲良し兄弟が大好き。 ■受賞歴 アルファポリスキャラ文芸大賞奨励賞 ■お問い合わせ 💌aoiyui.iuyioa@gmail.com 💻https://aoiyui.amebaownd.com/

マガジン

  • 金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅

    未練を持って死んだ魂は金魚になる。 石動秋葉は生まれつき、人には視えない空飛ぶ金魚が視えていた。 ある日、自分が金魚になる悪夢を見るようになる。 悪夢を見なくする方法を求める秋葉は、ある日、金魚を視られる人間を探す御縁叶冬に出会う。 二人は金魚の正体を突き止めるため、共に調査へ乗り出す。 金魚に囚われた二人のバディミステリー!

  • 帝都椿物語 椿の君の行く処には(シナリオ版)

    主人公は庶民の国語教師、織山修吾。舞台は大正時代の日本。 修吾の母・八重は源氏物語を愛していた。六条御息所に憧れ、華族のお嬢様ぶっている。 修吾が十一歳のとき、八重が交通事故で死亡する。八重の遺品は、血まみれのワンピースにバッグ、そして、抱きしめられていた源氏物語だった。 なぜ源氏物語を愛し守ったのか、母の想いを知るため源氏物語を研究し始める。 いつしか国語教師になったが、ある日、庶民教師を求める華族椿家創立の《帝都修道学園》に教員として招かれる。 学園で椿家の庶民出の庶子・大志と出会うが、次々に幽霊絡みの事件に巻き込まれる。 椿の闇を紐解くバディミステリー。

  • Lizette~オーダーケーキは食べないで~

    主人公は殺人容疑をかけられた女子大学生の葵。舞台は葵の通っている大学。 夏祭り当日、葵の片思い相手の遠野が、病死した弟の遺体と共に失踪した。 失踪時刻は葵が待ち合わせをしていた前後だったため、都小野兄弟の誘拐殺害容疑がかけられる。 噂は大学内で一気に広がり、多くの人に陰口を叩かれ、親友にも裏切られ孤立した。 葵の心は闇に閉ざされ、引きこもっていたところに一通の招待状が届く。送り主はオーダーケーキ専門店Lizette店長のリゼット。 リゼットは心の闇をオーダーケーキとして具現化し、消し去る不思議なお姫様だった。リゼットは葵を心の闇から救ってくれた。 Lizetteの客が主人公となる短編連続ミステリー。

  • 仙華幻録(シナリオ版)

    舞台は神仙がいる架空の中華風の世界。 主人公は仙人になってしまった人間の少女、愛華。 愛華は人間に戻るため、神仙と人間の間に生まれた青年・凛霄と共に、神仙を司る太上老君を探す旅にでる。 人間に悪さをする神仙を退治しながら旅をするうちに、愛華と凛霄は恋人になる。 だが、神仙と人間の間に生まれた子どもは普通の人間より寿命が長く、人間に戻れば愛華は凛霄と同じ時間を生きられない。 太上老君は人間に戻せるというが、愛華は凛霄と生きるため仙として生きる決意をする。 愛華と凛霄は馬車で移動する「仙花薬局」を開き、人間界で苦しむ人々を救う旅を始めた。 人間と神仙の融和を願う、感動の中華風ファンタジードラマ。

  • 宮廷妖鬼調査省 鳳凰の行く末(シナリオ版)

    舞台は架空の中華風の世界、四瑞国の一つである鳳凰国。鳳凰国には妖鬼が出没し、人々の生活が脅かされている。 主人公は鳳凰国の片田舎で暮らす詩響。音や声を聞くだけで楽譜に起こすことができ、楽譜を行動に照らし合わせて異種族の言語解析をする技能を持つ。 鳳凰国皇太子、夏睿は妖鬼対策のため『妖鬼調査省』を設けた。 夏睿は詩響に妖鬼言語の解読をさせるべく、家族を人質に取り詩響を妖鬼調査省へ引きずり込む。 渋々妖鬼調査官として歩み始める詩響だが、最終的には皇太子妃候補として政権争いに立ち向かう。 田舎娘・詩響のシンデレラストーリー。

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アルファポリス第五回キャラクター文芸大賞奨励賞受賞【壊れたアンドロイドの独り言】

あらすじ 若手イケメンエンジニア漆原朔也を目当てにインターンを始めた美咲。 目論見通り漆原に出会うも性格の悪さに愕然とする。 そんなある日、壊れたアンドロイドを拾い漆原と持ち主探しをすることになった。 しかしこれが美咲の家族に大きな変化をもたらすことになる。 アンドロイドが家族を繋ぐSFミステリー。 illust 匣乃シュリ様(Twitter @hakonoshuri) 「出ていけ! 二度と帰ってくるな!」 「こっちから出てくわよクソジジイ!」  その日、久世美咲(くぜみ

    • 「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 最終話 金魚と生きる生者の物語

       八重子さんの店から金魚の通り道に入り、一歩出たら黒猫喫茶の中にいた。累さんの金魚屋へ通じる飾り扉から出てきたようだ。店内を泳いでいたのか、春陽がぴゅっと飛んで俺の右肩に落ち着く。 「ただいま、春陽。累さん、新しい金魚屋の店舗に行くんじゃないんですか?」 「まあまあ。とりあえずお茶とお菓子でも食べよう。雪人くんは魂の着床が不安定だから横になって。俺がいいって言うまで安静第一。いいね」 「はい。ありがとうございます」  店長は雪人さんをソファへ寝かせると、傍に椅子を持って来て座

      • 「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第三十一話 真野雪人との再会

        「弔って目を覚ましたあとの選択肢は二つ。雪人くんはうちが引き取り、叶冬くんはすべて忘れて日常に戻る。もう一つは、叶冬くんも金魚屋になってしまう選択だ。そうすればすべて覚えていられる。ただし、金魚屋として働いてもらう」 「つーわけだ! さあ、かなちゃんどうする! 金魚屋になり生者としての己を殺すか、己の中のゆきちゃんを殺すか!」  関与を放棄したくせに、八重子さんはドンっと足を踏み鳴らして一歩前に出た。 「殺すかい? それとも殺すかい?」  八重子さんは、流れるような美しい所作

        • 「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第三十話 魂の片割れ、真野雪人との再会

           宮村さんに手を引かれて歩く八重子さんを先頭に、喫茶店の奥にあった扉をくぐった。扉を出た先は薄暗い廊下で、一本道を進むと『立入禁止』の札が掛けられた扉が見えてくる。  宮村さんは立ち入り禁止の扉を開けて中へ入ると、唐突に風呂場が現れた。首を左右に回しきらないと端が見えない広さで、一流旅館の大浴場と言って良いだろう。檜の良い香りがしていて、入浴すればとても気持ちが良いだろう。  宮村さんは靴と靴下を脱ぎ、八重子さんをお姫様抱っこして歩き始めた。見かけによらずすさまじい腕力だ。

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        アルファポリス第五回キャラクター文芸大賞奨励賞受賞【壊れたアンドロイドの独り言】

        • 「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 最終話 金魚と生きる生者の物語

        • 「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第三十一話 真野雪人との再会

        • 「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第三十話 魂の片割れ、真野雪人との再会

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        • 金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅
          32本
        • 帝都椿物語 椿の君の行く処には(シナリオ版)
          3本
        • Lizette~オーダーケーキは食べないで~
          3本
        • 仙華幻録(シナリオ版)
          3本
        • 宮廷妖鬼調査省 鳳凰の行く末(シナリオ版)
          3本

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          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十九話 真野雪人の行方

           語り終えると、店長はふうと息を吐いた。 「これが僕の忘れていたすべてだよ。アキちゃんから金魚の話を聞くたびに、点と点がつながる気がしていたんだ」  寂しげに微笑んだけれど、俺が真っ先に考えてしまったのは紫音ちゃんの年齢だ。同じくらいかと思っていたが、今の話からするに、店長と同じくらいの年齢だろう。まったくどうでもいいことだが、なかなかの衝撃だった。  店長も印象が違う。若い頃は鋭い棘があったとは衝撃だ。記憶喪失で性格が変わったのか、それとも歳を重ねて落ち着いたのか。どちらに

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十九話 真野雪人の行方

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十八話 御縁叶冬の回想・真野雪人との再出発

           車で十分ほど走ると、一軒の日本家屋の前で停車した。卓也さんとゆきは車を降りる、インターフォンを押すと数秒で玄関は開かれる。 「いらっしゃい。待ってたよ、卓也くん、雪人くん。大変だったね」  中から出てきたのは、御縁神社の神主で、紫音ちゃんの父親である聖人さんだった。 「有難う、聖人くん。迷惑をかけてすまない」 「かまわないよ。さあ、上がって。マスコミに見つかると厄介だ」  ゆきはぺこりと一礼すると、聖人さんと卓也さんについて御縁家の玄関をくぐった。居間に案内されると、聖人さ

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十八話 御縁叶冬の回想・真野雪人との再出発

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十七話 御縁叶冬の回想・金魚になった藤堂叶冬

           次の瞬間、ひやりとした空気に身を震わせて目を覚ました。  周りはぐるりと巨大な水槽に囲まれていて、その中では数多の金魚が泳いでいる。差し込む光を跳ね返す様はルビーのようだった。眩さに魅了され手を伸ばす。いや、伸ばそうとしたけれどなにも動かない。 (なんだ? 身体が動かな――あれ? 声も出ない。なんで?)  立ち上がろうとしたけれど脚が動く気配はなく、代わりに動いた物があった。景色がすうっと視界の下に落ちる。まるで建物全体がエスカレーターで階下に移ったように見えたが、そうでは

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十七話 御縁叶冬の回想・金魚になった藤堂叶冬

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十六話 御縁叶冬の回想・藤堂叶冬の死

           俺の生まれた藤堂家は、平均的な一般家庭よりも貧しかった。小学生のころに父が事故で死亡し、収入に乏しかったからだ。母は「私が働くから大丈夫よ」と言っていたが、中学に上がったころ、この人では無理だと判断した。  母は学のない人だった。生家も貧しくて中卒で働き始めたそうだが、学歴がなくとも優秀な人はいる。地頭が悪いのだ。思考能力が低く判断力もない。内向的な性格なので自己主張ができず流されやすい。パソコンが使えず、学ばせても三日坊主で成長しない。仕事に役立つ特技も体力もないので雑用

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十六話 御縁叶冬の回想・藤堂叶冬の死

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十五話 金魚屋の八重子

           店内は大正時代を思わせる、レトロなデザインだった。  入り口をくぐると、まず目に飛び込んできたのはアンティーク風のインテリアだ。柔らかな橙色の照明と、艶やかに輝く木製の家具。テーブルと椅子には、繊細な花の彫刻が施されている。インテリアにこだわりのない俺でも、見事であることはわかり、壊したらいけないので距離を取った。  カウンターには椅子が五つ並んでいた。アンティーク風の家具に馴染むクラシックなデザインのコーヒーミルや、陶器のコーヒーカップが並ぶ棚は美術館のように思える。  

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十五話 金魚屋の八重子

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十四話 金魚屋の宮村夏生

           大学へ入ると、まだ五限六限とあるため生徒は少なからず歩いている。俺は着物を羽織ったままの店長を連れてキャリアセンターへ飛び込んだ。 「宮村さん!」  キャリアセンターの中に生徒はいなかった。授業中だからだろう。  人がいない隙に、いつもの少年がホワイトボードに貼ってある求人票を入れ替えている。累さんが黒猫喫茶をやるように、副業をしているのか。  少年はほんの少しだけ首を傾げた。含み笑いをする表情は、いつもの少年とは雰囲気が違う。挑戦的で棘を感じた。 「……宮村夏生さんですよ

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十四話 金魚屋の宮村夏生

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十三話 働く金魚屋

           累さんの返答待ちをする間、俺は社会勉強に徹することにした。  今日の授業は三限で終わりだ。授業が終わったら真っすぐ黒猫喫茶へ向かう。着いたのは十四時半すぎだった。 「累さん、こんにちは。遅くなってすみません」 「あ、きたきた。おいでませ黒猫喫茶。にゃーん」  累さんは両手を猫の手にして、招き猫のようなポーズをした。まさか客が入店した際の挨拶だろうか。シュークリームやタルトといい、やることなすこと可愛い人だと思う。客はご近所のお年寄りが多いというのも、無邪気さに和むのだろう。

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十三話 働く金魚屋

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十二話 金魚に救われた生者の行方

           当時の状況からしても、金魚が関わるのは鹿目さんが妹さんを亡くしたことだろう。本来なら興味本位で足を突っ込んでいいことではないけれど、鹿目さんは微笑んでくれた。スマートフォンに表示されたままの妹たちの画像を見つめている。 「あのころ僕は妹の死に囚われていた。妹が死んだのは医療ミスでも失敗でもない。手術後の拒否反応のせいだったんです。妹に手術を勧めたのは私。私が桜子を……殺したんです。とても生きる気力はなかった。なのに急に晴れやかな気持ちになったんです」 「きっかけは! なにか

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十二話 金魚に救われた生者の行方

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十一話 金魚屋を知るもう一人の生者

           俺と店長は、鹿目浩輔がいるという北条大学へ来ていた。特筆する物のない校舎で、パラパラと生徒らしき若者が歩いている。開門されていて、警備員が一人立っているがそれだけだ。普通だ。普通じゃないのは、むしろ俺たちだ。 「店長。着物は脱ぎませんか。不審者でつかまります」 「いやだね! これは金魚屋の活動だ。正装する!」 「目立ちすぎですって。学校関係者じゃないってバレたら問題になりますよ」 「堂々としてりゃバレないよ。最悪、僕が新卒採用の提案でもするさぁ。はいGO!」 「早い早い。考

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十一話 金魚屋を知るもう一人の生者

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十話 消えた思い出の輪郭

           土曜日の朝八時すぎ、俺と店長は新幹線『のぞみ』に乗り新大阪を経由して芦屋へ向かった。新大阪駅で神戸線に乗り換え、芦屋駅からタクシーも使って、東京から計四時間ほど移動してようやく到着した。 「北条大学付属病院。ここが僕とゆきの入院した病院だ。アキちゃんは来たことあるかい?」 「ありません。名前も初めて聞きました。実は知ってる病院だった、とかを期待してたんですけどね。なにから調べますか? 金魚屋は確実にいる前提として」 「『忘れられた誰か』がいないか調べてみようよ。もし金魚屋に

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十話 消えた思い出の輪郭

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第十九話 謎の金魚鉢と消えた親友

          「紫音が家事と掃除をやってくれてるんだ。もちろんお小遣いをあげている!」 「いらないって言ってるんだけどね。時給千五百円なの」  紫音ちゃんは笑っていたが、気まずそうにも見えた。  店長は以前「紫音に手を出したら容赦しない」と、なにもしていない俺をけん制していた。可愛がっているのは明らかで、それだけに、空飛ぶ金魚なんて怪しい話に巻き込むのは不思議な感じがする。 「それじゃあ説明しよう! それでは第一問! どうして僕は長髪だと思う?」 「えっ」  紫音ちゃんは座ってすらいないの

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第十九話 謎の金魚鉢と消えた親友

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第十八話 あらたな日常

           金魚屋探しの決意を新たにした翌朝、俺の日常にささやかだけど、大きな変化があった。起きてすぐ右肩辺りを見ると、そこに金魚はもういない。  水瀬渚沙は昇天した。なにか感じたのか自我はなかったのか、俺にはなにもわからない。累さんに聞いてみたけれど、「知らないし興味ないし」と言われて終わった。  金魚屋は金魚と関係を築かない。弔うだけの存在で、生者の俺が十九年連れ添ったことのほうが珍しい。 「水瀬渚沙は来世に期待、か。会ってもわからないよな」  殺されたくはないが、俺を食わなかった

          「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第十八話 あらたな日常