ファインダーに映る世界ー「迷い」
小学生の頃に祖父からもらい手にしたCanonの一眼レフ。その時は写真家を目指していたわけではないのに今、私はカメラを持ち仕事をしている。
何年も何回も覗いたファインダーからは、いろいろなものが見える。
カメラというものはとても不思議なものだ。
昔から心霊写真などというように、カメラは目に見えないものを捉えることが実際にできる。
人間の目には見えていない光が入り込むこともある。
それは怖いものの話に限らない。
目の前にあるものの造形はもちろんのこと、人の心情や、私の感情もすべて写り込んでくる。
私が撮影する時に気をつけていることは
「自分の感情を消すこと」
私はフォトグラファーとして仕事をするときはあくまでも黒子になりきり、目の前の被写体に集中する。
そうじゃないと、カメラに私が写り込んでしまうからなのだ。
それに気づいたのは独立してから。
今までフォトスタジオで撮っていた「記念写真」とはちがうものも撮影し始めた。
初めて撮るものもたくさんあった。商品撮影、建物写真、観光地など、いろいろだ。
「これはどうすればいいんだろう」と思いながら試行錯誤して撮影をしていたが、
どうすればいいんだろう、と考えながら撮影するとそれが写真に入り込む。
その一瞬の「迷い」をカメラが捉えて、そこから抜け出せないでいると
その日は10枚撮っても100枚撮ってもいい写真を撮ることができない。
納期に余裕があるものならば次の日撮ればいいが、目の前にいる人物どりの時などはそんなわけにいかない。
いわゆるスランプ状態に陥って自分の「迷い」が写真に写りこむのをすぐに解消していかないといけないわけで、
それにはもっともっと深い知識や技術が必要不可欠だった。
また、
自分の精神状態の確立も必要になってくる。
写真を撮るには「自信がない」といい写真は絶対に撮れないんだ。
どんなに素敵な場面やモデルでも、どんなに高性能のカメラを持っていても、それを撮っている自分自身を信用していないと、人に感動を与える写真が撮れることはない。
写りこむ「迷い」を消し去るには「自信」ある自分のアップデートだ。
必ずいい写真を撮るという根性を見せていかないと、これは一生つきまとうことになる。
自分の撮った写真を見つめ直して、何が映っているのか。
何を撮りたかったのか。
自問自答して迷いを自信に切り替えていかないといけない。
山口葵
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