茉莉花
127Dayに向けて書いた二次小説『海色の花束を君に』をまとめました。 NCT127のFavoriteの公開前に出ていた、『Story of Favorite』を元に書いています。
私と私の推しとの妄想。 仕事に疲弊しきった主人公菫とカフェの店長でアメリカ育ち巡のほのぼのした同棲生活。
短編それぞれ集めました。
音楽から構想を得た小説たち。NCT多めです。
レズビアンだと噂の少女瀬良清香が妙に気になる日崎美晴。あることをきっかけに話すようになり、彼女に隠された事実を知っていく。
アイドルになるために生まれた男。みんながそう持て囃すほどに、俺の人生は輝いていた。 俺が生まれた家はあまり裕福ではなくて、母さんが忙しなくいつも働いていた。母は違う国出身で、周りの人から後ろ指を刺されて生きていた。父さんの記憶はない。俺が産まれてすぐに死んだと姉ちゃんが言っていた。だから、俺と姉ちゃんで、大人になったら母さんに楽をさせてあげようと言っていた。 高校生の時だった。カンコクという国にあるアイドル事務所のグローバルオーディションが俺の住む街で開催されること
後悔のないように、後悔のないように。 どの選択を選んだとしても、後悔はしない。間違ってなどいない。 決めた道を、ただただ進んでいけば良いのだ。 そう思っていたはずなのに、なぜか後ろ髪を引かれる思いがする。自分が下した選択が間違っていて、引き返せと誰かが叫んでいる気がする。 そんなことはない、間違ってなんかいない。僕はいつだって正しい。いつだってきれいに舗装された道を進み、迷わず、そして他人にも迷惑をかけない最善の道を進んできた。 それなのに。どうして。
「みんな」が完璧だと言っていたルックス。 「みんな」が羨んだ存在。 「みんな」が憧れた人生。 その「みんな」が、突然自分を標的にしてきたら。この世の悪を俺が全て背負ったというように、世界中の人間が俺を否定してきたら。自分に置き換えて、一度考えてみてほしい。 少なくとも俺は、「あの日」から自分の生活が、考え方が、180度変わった。毎日日が昇って1日が忙しなくすぎていくというのに、俺の時間は何も変わらない。ただ1秒1秒、無気力な時間だけが流れていった。 起き上
私の恋愛は、大抵が片思いで終わっていった。 本当に好きな人とは、なぜか付き合えなかった。気持ちとしては誰にも負けない自信があったはずなのに、好きな人は私ではない他の女性と結ばれていった。 最初のうちはめげずにいたけれど、だんだん私に定められた運命というものがわかってきて特に恋愛に対して期待をしなくなった。恋人がいる友人を羨ましく思いながらも、自分には縁遠い話になったなぁと一歩引いていた。 そんな自分が、誰かをまた好きになった。知らず知らずのうちにその人のことを考
登場人物 鈴野華(すずのはな) 赤羽颯太(あかばねそうた) 人生は、止まらない。 飽きずに、ずっと、動き続けて。 どれだけ季節が巡ろうとも、命が果てるまで、人生は動き続ける。 駅の前には、たくさんの人が歩いていた。忙しなく、この暑い日差しの下を歩いていく。 この世界には、いろんな人生で溢れている。同じ人生を持つ人なんか、いない。似たような系統のものはあっても、もう全く一緒という人間なんかいない。 一旦仲良くなったり、気が合うような人と出会ったところ
深い深い眠りについていたと思ったのに、目が覚めてしまった。 何かの拍子になのか、よくわからない。夢を見ていたとも思えない。突然自分の意識が目覚めたように、はっと起きたのだ。こういう時金縛りにあっていたりとか、何か見えざるものが見えるとか、そういうことが起こるというけれど、体は普通に動くし部屋は真っ暗なだけだ。壁掛け時計が針を動かす音だけが、部屋に響いている。 枕元のスマホを見ると、夜中の3時だった。まだ眠っていてもいい時間。いや、眠っていたい時間。 ふと寝返り
お互い仕事が終わって家に帰って、ご飯もお風呂も済まして、寝るだけだけど少しだけダラダラしたいこの時間。でも、最近忙しくて疲れが溜まっているのか、私はソファに寝そべってうとうとしていた。 「菫、そんなところで寝てたら風邪ひいちゃうよ」 「うん…でもここが気持ちいいんだよね…」 私はそう丸まりながら言う。そんな私をみて巡さんは、 「はは、猫みたいだ」 「もう今日ここで寝ちゃおうかなぁ」 「ダメだよ、ちゃんとベッドで寝な。ちょっと早いけど寝る支度しようか」 「いや
無責任 気が使えない 何も他人のことを考えていない 素直じゃない 理解力がない 酷くお節介で出しゃばり うざい 人を思いやれない 人としてダメ これらの言葉は全て、かつて私に対して投げかけられたものだ。地面に唾を吐くように言われた言葉。 私なりには、努力をしていた。少しでもいい印象を与えることができるように、毎日一生懸命に生きていた。辛そうな人がいたら声をかけて、寄り添うように自分なりにやってきた。 でも、他人からしてみればそんなものはただの「お節
大学生の頃から付き合っている彼と、同棲をして5年が経つ。 彼ーー彰とは軽音サークルで知り合った。同学年だが違う学部の彼は、ギターをいつもかき鳴らしていた。聞いている曲はヘビメタ系の激しいものが多かったが、とてもおおらかで優しくて、辛いものが苦手だった。ベースを担当していた私は、彰から誘われて外部の演奏に加わったり、ライブハウスに行って他のバンドの鑑賞をしたり。そうしていくうちに惹かれていって、付き合い始め、どちらからともなく同棲の話を持ち出して、一緒に住み始めたのだ。そ
硝子の薔薇やっと更新です。書けてよかった。ずっと書きたかったけど、やっと結末までの道のりが見えてきた
小学生の頃、授業中に手紙を書いていたのがバレて、先生に怒られた。冬休み前、クラスメートから「年賀状書きたいから住所教えて!」と下手くそな字の手紙をもらった。中学生になって、風邪を引いたその日「明日の予定だよ」と、近所に住むクラスメートが、わざわざ私の家に寄って手紙をくれた。散々ぶつかり合って絶対こいつらとはもう話さないと決めたはずなのに、部活の最後の発表の時に「色々あったけど最後は最高の演奏を一緒にしようね」という手紙をもらってほろりと涙が出た。高校生になって、クラスメート
道を歩いていると、生垣の椿が散って道に花を落としていた。その家の主は椿が好きなのだろう、濃いピンクや薄いピンク、白など、本当にたくさんの椿を咲かせていた。しかし、やがてはバラバラと椿は道端に頭を落として、人や車に踏まれてしまう。 知らない間に、私も椿を踏んでしまっていた。白かった椿は私のピンヒールの跡がついて灰色になってしまっている。その椿の周りを見れば、踏まれたりして傷んだ椿がたくさんあった。私は、その周りの椿も踏みつけた。それと同時に、涙が頬を伝っていった。 つ
12月24日、土曜日。今日はクリスマスイブだ。土曜日で休みだし、街はどこか浮ついている。 でも、今日は巡さんは仕事だ。土日は基本的にカフェは忙しいし、そこにクリスマスなんて忙しいに決まっている。 朝、巡さんは準備が色々あるからといつもより早く出て行った。 「ごめんね、菫。せっかくのクリスマスイブなのに」 「ううん。気にしないでいいよ。頑張ってきてね」 「ごめんよ。行ってきます」 そう言って巡さんは私の頬にキスをし、部屋を出ていった。巡さんの爽やかな香水の香
登場人物 梢(こずえ) 鈴(すず) 澪(みお) 運命だ、奇跡の出会いだ。そう思っていたのに、呆気ない別れ方をするって、あると思う。どんなに仲良くて永遠の友情や愛を誓っていたとしても、終わりが来るときは一瞬だ。全部過ぎ去った後に、こんなに呆気ないものなのかという虚しさだけが残る。寂しくて、悲しくて、ぽっかり穴が空いたような、そんな気持ちになる。 もうすぐクリスマスだ。と言っても、クリスマスの予定に入っているのは歯医者に行くことだけだし、一緒に過ごすような相手もいな
あんまりネガティブな小説は書かないのですが、最近の気持ちの整理として。こうならないことを願う、、
巡さんは、写真を撮るのが好きだった。休日にどこか出かけると、高そうな一眼レフをいつも持っていっては、たくさん写真を撮った。花、海、空、動物。たくさんの写真を撮っていた。私の写真も、もちろんあるんだろうけど、見せてもらえなかった。 「何してるの?」 夜、お風呂から出ると、巡さんが何やらパソコンをいじっていた。 「ん?この前行ったとこの写真整理」 先日休みが一緒だったので、2人でフラワーパークへ行ってきた。今はちょうど秋バラの季節なので、バラ園をやっていたのだ。海が