青 夏野

[ あおい なつの ] ずいぶんと久しぶりに詩が書きたくなりました。地方で会社員をして…

青 夏野

[ あおい なつの ] ずいぶんと久しぶりに詩が書きたくなりました。地方で会社員をしています。好きな詩人は谷川俊太郎です。下手ですが、写真を撮るのも好きです。

記事一覧

詩 あなたの中に

あなたの中に ひとりの少年が立っている 洗いざらしの服 日に焼けた顔 いつでも駆け出していける ばねのような手足 草を踏み 道をつくり 川を渡り 光を散らす 瞳…

青 夏野
3年前
5

詩 わたしの中に

わたしの中に 幼い少女が立っている ひとりで立ちつくしている 右手に擦り切れた顔の犬のぬいぐるみ 水色の丈の短いワンピース 口は固く閉じられている 伸びた髪は長…

青 夏野
3年前
6

詩 蜂蜜色の光

蜂蜜色の光 薄水色の空 紅珊瑚の実 銅の風

青 夏野
3年前
5

詩 わたしのくちびるから

わたしのくちびるから漏れた気持ちが ただの音になって 風に紛れて消える 背の高いあなたが体を傾けて その音を聞こうとしている 夏に焼けたあなたの腕にそっと触れ …

青 夏野
3年前
4

back number「ハッピーエンド」(2016)

青いまま枯れていく あなたを好きなままで消えてゆく 私をずっと覚えていて なんてね 嘘だよ 元気でいてね ああ 誰にとってのハッピーエンドなのか。 遠距離恋愛の相…

青 夏野
3年前
2

詩 好きになる孤独

好きになる孤独 ふたりの孤独 あなたにわたしの言葉は届いているのか あなたの言葉はどこへ行くのか いまだに濃く青い空を見つめていると 涙が流れる どこにも届かず…

青 夏野
3年前
3

山崎まさよし「One more time,One more chance」(1997)

いつでも捜しているよ どっかに君の姿を 明け方の街 桜木町で こんなとこに来るはずもないのに 歌詞の中に、この実在の地名が出て来るだけで、胸がきゅっと締めつけられ…

青 夏野
3年前
5

詩 どこまでも

どこまでも どこまでも 強く青い空 雲すらない 行方知れずになったものを探しに かけていく 汗が止まらない 足が追いつかない 心が溢れ出す 風は吹いているか

青 夏野
3年前
3

詩 交差する雑踏で

交差する雑踏で 不意に目にした あなたの定番の姿に 思わず立ちすくみ 激しく動揺する こんな場所に いるはずもないのに あの香りがするわけでもないのに

青 夏野
3年前
4

あいみょん「裸の心」(2020)

心が裸であるというのはどういうことか。 シンプルな単語の組み合わせであるのに、誰も思いつかなかった言葉が曲のタイトルとなり、私たちの気持ちをきゅっと引き寄せる。 …

青 夏野
3年前
12

詩 あなたと見ている世界は

あなたと見ている世界は こんなにも美しい きらきらと光る雨粒や 次々と咲き誇る夏の花や 広々と晴れた夜空に走る飛行機雲 すっと泣きたくなるほどに

青 夏野
3年前
5

詩 こんなにも激しく

こんなにも激しく 雨が降っているというのに しんと静かだ ひとりで 暗い場所で 目を開けて 見えない水の流れを 見ている あなたを 抱きしめたいというのに

青 夏野
3年前
4

詩 遠くの背中を追いかけて

遠くの背中を追いかけて 夜の道を走った 涙をぬぐうことなく もつれた足で 駅に着いたが 人混みに あなたは どこにもいなかった どこを探しても いなかった 二度…

青 夏野
3年前
4

詩 好意の小さなかけらを

好意の小さなかけらを ひとつひとつ集めたら 好き につながるのか 見つめる視線のかけらを ひとつひとつ集めたら 好き につながるのか 誰も教えてくれない

青 夏野
3年前
8

詩 ふたりだけの秘密

ふたりだけの秘密 深夜零時をまわると 急に空気が重くなり 草と葉と花の匂いがねっとりと濃くなる あなたの湿った頰に触れると 顔を傾けてわたしの手に委ねてくる 唇…

青 夏野
3年前
7

詩 その笑顔を

その笑顔を 好きになればなるほど 孤独が深くなる 涙が止まらなくなる その言葉を 受け取れば受け取るほど 喜び以上の不安が増す 息苦しくなる 深夜に 音もなく落…

青 夏野
3年前
7
詩 あなたの中に

詩 あなたの中に

あなたの中に

ひとりの少年が立っている

洗いざらしの服

日に焼けた顔

いつでも駆け出していける

ばねのような手足

草を踏み 道をつくり

川を渡り 光を散らす

瞳に時折浮かぶ不安の影は

誰にも気づかれない

きっと結んだ唇

ぶっきらぼうな右手

細い流れを遡って行った先には

いったい何があるのか

走れ

走れ

鼓動の源へ

詩 わたしの中に

詩 わたしの中に

わたしの中に

幼い少女が立っている

ひとりで立ちつくしている

右手に擦り切れた顔の犬のぬいぐるみ

水色の丈の短いワンピース

口は固く閉じられている

伸びた髪は長く櫛を入れられていない

意固地な目は何を見ているのか

暗い路地の向こうには

さらに暗く濡れた道が続いている

寒くはない

寒くはないが

ひどく虚無だ

どこからか花のにおいがするのに

どこにも姿が見つけられない

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詩 蜂蜜色の光

詩 蜂蜜色の光

蜂蜜色の光

薄水色の空

紅珊瑚の実

銅の風

詩 わたしのくちびるから

詩 わたしのくちびるから

わたしのくちびるから漏れた気持ちが

ただの音になって

風に紛れて消える

背の高いあなたが体を傾けて

その音を聞こうとしている

夏に焼けたあなたの腕にそっと触れ

黙って首を振る

あなたの言葉を聞きたい

あなたの目に浮かんだ物語を聞きたい

小雨くらいならかえって気持ちいいから

back number「ハッピーエンド」(2016)

back number「ハッピーエンド」(2016)

青いまま枯れていく
あなたを好きなままで消えてゆく
私をずっと覚えていて
なんてね 嘘だよ 元気でいてね ああ

誰にとってのハッピーエンドなのか。

遠距離恋愛の相手から、他に好きな人ができたと言われた。
久しぶりに会ったというのに、それは別れるため。
好きなのに、「あなた」だけを好きなのに、「私」の気持ちは変わらないのにと心の中で思う。
初めて電話をくれた夜、君のままでいいのにと涙を拭いてくれ

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詩 好きになる孤独

詩 好きになる孤独

好きになる孤独

ふたりの孤独

あなたにわたしの言葉は届いているのか

あなたの言葉はどこへ行くのか

いまだに濃く青い空を見つめていると

涙が流れる

どこにも届かず

すっと消えて行く

それでも

不器用に言葉を探す

繰り返し

山崎まさよし「One more time,One more chance」(1997)

山崎まさよし「One more time,One more chance」(1997)

いつでも捜しているよ どっかに君の姿を
明け方の街 桜木町で
こんなとこに来るはずもないのに

歌詞の中に、この実在の地名が出て来るだけで、胸がきゅっと締めつけられる。
自分の記憶の中の桜木町が瞬時に蘇るからである。
聴き手の私的な記憶を即座に呼び起こすスイッチとして、地名は抜群の効果を持つ。
個人的な記憶が再生されることによって、普遍的な曲の世界が私的な世界へつながる。そして聴き手の曲への共感や

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詩 どこまでも

詩 どこまでも

どこまでも

どこまでも

強く青い空

雲すらない

行方知れずになったものを探しに

かけていく

汗が止まらない

足が追いつかない

心が溢れ出す

風は吹いているか

詩 交差する雑踏で

詩 交差する雑踏で

交差する雑踏で

不意に目にした

あなたの定番の姿に

思わず立ちすくみ

激しく動揺する

こんな場所に

いるはずもないのに

あの香りがするわけでもないのに

あいみょん「裸の心」(2020)

あいみょん「裸の心」(2020)

心が裸であるというのはどういうことか。
シンプルな単語の組み合わせであるのに、誰も思いつかなかった言葉が曲のタイトルとなり、私たちの気持ちをきゅっと引き寄せる。
飾りのない心、素直な心、かなとまずは思う。が、官能小説も読み、日本語の表現の深みを追い求めているあいみょんだから、きっと何重もの意味が込められているだろう。

恋なんてしなきゃよかったと
あの時も あの夜も
思っていたの

過去に何度も恋

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詩 あなたと見ている世界は

詩 あなたと見ている世界は

あなたと見ている世界は

こんなにも美しい

きらきらと光る雨粒や

次々と咲き誇る夏の花や

広々と晴れた夜空に走る飛行機雲

すっと泣きたくなるほどに

詩 こんなにも激しく

詩 こんなにも激しく

こんなにも激しく

雨が降っているというのに

しんと静かだ

ひとりで

暗い場所で

目を開けて

見えない水の流れを

見ている

あなたを

抱きしめたいというのに

詩 遠くの背中を追いかけて

詩 遠くの背中を追いかけて

遠くの背中を追いかけて

夜の道を走った

涙をぬぐうことなく

もつれた足で

駅に着いたが

人混みに

あなたは

どこにもいなかった

どこを探しても

いなかった

二度と会うことはなかった

詩 好意の小さなかけらを

詩 好意の小さなかけらを

好意の小さなかけらを

ひとつひとつ集めたら

好き

につながるのか

見つめる視線のかけらを

ひとつひとつ集めたら

好き

につながるのか

誰も教えてくれない

詩 ふたりだけの秘密

詩 ふたりだけの秘密

ふたりだけの秘密

深夜零時をまわると

急に空気が重くなり

草と葉と花の匂いがねっとりと濃くなる

あなたの湿った頰に触れると

顔を傾けてわたしの手に委ねてくる

唇を指でなぞり

目を閉じて

始めよう 

詩 その笑顔を

詩 その笑顔を

その笑顔を

好きになればなるほど

孤独が深くなる

涙が止まらなくなる

その言葉を

受け取れば受け取るほど

喜び以上の不安が増す

息苦しくなる

深夜に

音もなく落ちる夏椿の白い花