詩 わたしの中に
わたしの中に
幼い少女が立っている
ひとりで立ちつくしている
右手に擦り切れた顔の犬のぬいぐるみ
水色の丈の短いワンピース
口は固く閉じられている
伸びた髪は長く櫛を入れられていない
意固地な目は何を見ているのか
暗い路地の向こうには
さらに暗く濡れた道が続いている
寒くはない
寒くはないが
ひどく虚無だ
どこからか花のにおいがするのに
どこにも姿が見つけられない
あれは
なんという名前だったろうか
どうしても思い出せない
思い出したいはずなのに
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