青 夏野

[ あおい なつの ] ずいぶんと久しぶりに詩が書きたくなりました。地方で会社員をして…

青 夏野

[ あおい なつの ] ずいぶんと久しぶりに詩が書きたくなりました。地方で会社員をしています。好きな詩人は谷川俊太郎です。下手ですが、写真を撮るのも好きです。

最近の記事

詩 あなたの中に

あなたの中に ひとりの少年が立っている 洗いざらしの服 日に焼けた顔 いつでも駆け出していける ばねのような手足 草を踏み 道をつくり 川を渡り 光を散らす 瞳に時折浮かぶ不安の影は 誰にも気づかれない きっと結んだ唇 ぶっきらぼうな右手 細い流れを遡って行った先には いったい何があるのか 走れ 走れ 鼓動の源へ

    • 詩 わたしの中に

      わたしの中に 幼い少女が立っている ひとりで立ちつくしている 右手に擦り切れた顔の犬のぬいぐるみ 水色の丈の短いワンピース 口は固く閉じられている 伸びた髪は長く櫛を入れられていない 意固地な目は何を見ているのか 暗い路地の向こうには さらに暗く濡れた道が続いている 寒くはない 寒くはないが ひどく虚無だ どこからか花のにおいがするのに どこにも姿が見つけられない あれは なんという名前だったろうか どうしても思い出せない 思い出したいはず

      • 詩 蜂蜜色の光

        蜂蜜色の光 薄水色の空 紅珊瑚の実 銅の風

        • 詩 わたしのくちびるから

          わたしのくちびるから漏れた気持ちが ただの音になって 風に紛れて消える 背の高いあなたが体を傾けて その音を聞こうとしている 夏に焼けたあなたの腕にそっと触れ 黙って首を振る あなたの言葉を聞きたい あなたの目に浮かんだ物語を聞きたい 小雨くらいならかえって気持ちいいから

        詩 あなたの中に

          back number「ハッピーエンド」(2016)

          青いまま枯れていく あなたを好きなままで消えてゆく 私をずっと覚えていて なんてね 嘘だよ 元気でいてね ああ 誰にとってのハッピーエンドなのか。 遠距離恋愛の相手から、他に好きな人ができたと言われた。 久しぶりに会ったというのに、それは別れるため。 好きなのに、「あなた」だけを好きなのに、「私」の気持ちは変わらないのにと心の中で思う。 初めて電話をくれた夜、君のままでいいのにと涙を拭いてくれた時、一人にしないよと言ってくれた日、「あなた」の大切な記憶はまだ青く鮮明なまま

          back number「ハッピーエンド」(2016)

          詩 好きになる孤独

          好きになる孤独 ふたりの孤独 あなたにわたしの言葉は届いているのか あなたの言葉はどこへ行くのか いまだに濃く青い空を見つめていると 涙が流れる どこにも届かず すっと消えて行く それでも 不器用に言葉を探す 繰り返し

          詩 好きになる孤独

          山崎まさよし「One more time,One more chance」(1997)

          いつでも捜しているよ どっかに君の姿を 明け方の街 桜木町で こんなとこに来るはずもないのに 歌詞の中に、この実在の地名が出て来るだけで、胸がきゅっと締めつけられる。 自分の記憶の中の桜木町が瞬時に蘇るからである。 聴き手の私的な記憶を即座に呼び起こすスイッチとして、地名は抜群の効果を持つ。 個人的な記憶が再生されることによって、普遍的な曲の世界が私的な世界へつながる。そして聴き手の曲への共感や思い入れが一気に高まる。 時間軸の違う「桜木町」と「私の桜木町」がオーバーラップ

          山崎まさよし「One more time,One more chance」(1997)

          詩 どこまでも

          どこまでも どこまでも 強く青い空 雲すらない 行方知れずになったものを探しに かけていく 汗が止まらない 足が追いつかない 心が溢れ出す 風は吹いているか

          詩 どこまでも

          詩 交差する雑踏で

          交差する雑踏で 不意に目にした あなたの定番の姿に 思わず立ちすくみ 激しく動揺する こんな場所に いるはずもないのに あの香りがするわけでもないのに

          詩 交差する雑踏で

          あいみょん「裸の心」(2020)

          心が裸であるというのはどういうことか。 シンプルな単語の組み合わせであるのに、誰も思いつかなかった言葉が曲のタイトルとなり、私たちの気持ちをきゅっと引き寄せる。 飾りのない心、素直な心、かなとまずは思う。が、官能小説も読み、日本語の表現の深みを追い求めているあいみょんだから、きっと何重もの意味が込められているだろう。 恋なんてしなきゃよかったと あの時も あの夜も 思っていたの 過去に何度も恋の苦さや後悔を味わっているというのに、それでも、今、また誰かを好きになり、不安に

          あいみょん「裸の心」(2020)

          詩 あなたと見ている世界は

          あなたと見ている世界は こんなにも美しい きらきらと光る雨粒や 次々と咲き誇る夏の花や 広々と晴れた夜空に走る飛行機雲 すっと泣きたくなるほどに

          詩 あなたと見ている世界は

          詩 こんなにも激しく

          こんなにも激しく 雨が降っているというのに しんと静かだ ひとりで 暗い場所で 目を開けて 見えない水の流れを 見ている あなたを 抱きしめたいというのに

          詩 こんなにも激しく

          詩 遠くの背中を追いかけて

          遠くの背中を追いかけて 夜の道を走った 涙をぬぐうことなく もつれた足で 駅に着いたが 人混みに あなたは どこにもいなかった どこを探しても いなかった 二度と会うことはなかった

          詩 遠くの背中を追いかけて

          詩 好意の小さなかけらを

          好意の小さなかけらを ひとつひとつ集めたら 好き につながるのか 見つめる視線のかけらを ひとつひとつ集めたら 好き につながるのか 誰も教えてくれない

          詩 好意の小さなかけらを

          詩 ふたりだけの秘密

          ふたりだけの秘密 深夜零時をまわると 急に空気が重くなり 草と葉と花の匂いがねっとりと濃くなる あなたの湿った頰に触れると 顔を傾けてわたしの手に委ねてくる 唇を指でなぞり 目を閉じて 始めよう 

          詩 ふたりだけの秘密

          詩 その笑顔を

          その笑顔を 好きになればなるほど 孤独が深くなる 涙が止まらなくなる その言葉を 受け取れば受け取るほど 喜び以上の不安が増す 息苦しくなる 深夜に 音もなく落ちる夏椿の白い花

          詩 その笑顔を