あまね@ SM短編

「あなたの性癖、ぶっ刺したい」 ■Twitter:https://twitter.co…

あまね@ SM短編

「あなたの性癖、ぶっ刺したい」 ■Twitter:https://twitter.com/amanegaanone

マガジン

  • 「その先」

    キャバクラで働くレナのもとに現れたのは、薬指の無いアサクラという男だった。 年齢も、住む世界も違う二人がたどり着いたゴールとは。 全28話

  • 僕のちんこにピアス開けてください

    「僕のちんこにピアス開けてください」 貴女に出会い、気付いた運命。 絶対に離さない。 全11話

  • 何も知らない

    生きる意味を見い出せず、自暴自棄に生きる斗真と出会ったのは、売り専で買ってくれた客のアオイだった。「お酒飲もうよ!」アオイの温かさ、美しさ、儚さを知った斗真は一気に惹かれていく… 何も知らない。僕もアオイさんも何もかも。 今も、これからも、あの時も。 ――― 全七話の短編です。

最近の記事

「Hypoxyphilia」

少し顎を上げる。目線はあなたの瞳。優しい人。 美しい指先が、私の首を掴む。モノのように、確実に。 力が込められ、思わず目を閉じてしまう。 見ていたいのに、無駄にできる瞬間なんてないのに。 こめかみが張り詰める。脳が破裂しそうな圧迫感。 緊急事態は誤報となり、たちまち幸福へと導かれる。 快感が押し寄せ、多幸感は最高潮。 ここまでは知っている。自分ではここまで。 その先に触れたくても、望んではいけない。 あぁもうだめだ、なんて思わない。 愛しいその手が、力強く私を引き上げる。 「

    • 「外野は黙ってろ」

      「あたしね、週に一度だけ家を出て、美味しいものをたくさん食べて、夜はこうして少しお酒を飲むの。それが楽しみなのよ」 彼女は自分の焼酎に小さく口をつけグラスを置くと、少女のような笑顔で話し始めた。 「今日はね、中華行ってきたのよ。そこね森伊蔵が置いてあるの。もう最っ高に美味しかったぁ~やっぱり一級品よね。一杯飲むだけで高いんだけどさ、ちびちび大事に飲んだわよ。あと餃子とね、レバニラと。ラーメンはあんまり良くないね、あそこは森伊蔵と餃子!あとレバニラ!」 彼女はおそらく七~

      • 「代わりのない性玩具」

        私を誘ったあなた。 あの時の姿は、もうない。 回数を重ねる毎にエスカレーションする私たちの行為は、あなたを人ではないモノへと堕とした。 私を抱き寄せた大きな手は、今じゃ私を悦ばせる道具のひとつでしかなくなった。 追いかけるように絡めた舌は、私の体液を一滴残さず味わうために機能する。 熱く見つめたその目は、今じゃ私の何を見てるかわからない。 こうして時々寂しさが私の心をざわつかせる。 もうあの人はいないんだって、痛いほど理解できるから。 私を満足させるための玩具として使

        • 「射精管理」

          貞操具をつけた彼は可愛い。きっとそんな素振り少しも見せずにきっちり仕事をこなしてるのよ。あの真面目な性格だからね。会社の人たちは、彼が股間にそんな卑猥なものをはめてるなんて一ミリも思わないでしょうね。そんな面白味のある人間だなんて、誰も想像できないよ。でもそれでいい。私以外知る必要なんてないもの。 午後八時。帰宅した彼は洗面所へ直行し、うがい手洗いを済ませる。そのまま身につけていた衣服は全て脱ぎ全裸になると、先に飲み始めていた私の前に現れるの。床に両手、額をつけたまま「ただ

        マガジン

        • 「その先」
          28本
        • 僕のちんこにピアス開けてください
          11本
        • 何も知らない
          7本

        記事

          「黙って声聞いてて」

          もう限界だった。 『今電話できる?』 『できますよ』 ――― 「もしもし? どうしたんですか?」 「今から一人でするから、黙って聞いてて」 「え? あまねさん?」 「いいから、すぐ終わる」 携帯を耳に当てたまま、右手を下着の中に滑り込ませる。帰宅しそのままベッドへ直行した私の手は、氷のように冷たかった。 「…あまねさん」 「ん…黙って」 「はい…」 服の上から撫でることもなく、好きでもない乳首で焦らすこともなく。最初からクリトリスに触れた私の性器は、既に十分すぎる

          「黙って声聞いてて」

          「誕生日の贈り物」

          愛しい彼女は、毎年僕の誕生日になると欠かさずプレゼントをくれる。とても、優しい人なんだ。 初めての誕生日は通勤バッグだった。 「あなたのカバンすごく古いから、新しいのにしなさいよ」と言って、古いカバンを捨て、代わりに黒い本革のカバンを送ってくれた。 次の誕生日には、靴を送ってくれた。 「男は足元をちゃんとしないと、今履いてるものはあなたに似合わないよ」と言って、靴箱にある大量の靴は全て処分をしていた。代わりに新品の靴を三足。案外それだけあれば十分で、何一つ不便なく、むしろ

          「誕生日の贈り物」

          「僕の妻」

          寝室に入ると、僕の妻が片尻を出して寝ていた。 二人用のベッドの端、壁側を向き横になる妻の短パンの片方がめくれ上がっていた。薄暗い部屋に浮かび上がる白い柔肌。真ん丸な形を際立たせるTバック。今すぐ僕のこの指で突つきたい衝動に駆られるが、寝ている妻を起こすなんてご法度。彼女の安らかな寝息を乱さぬよう、息を止めベッドに上がり、僕の定位置で横になった。 月明かりがぼんやりと照らす室内。僕のすぐ横で眠る妻の可愛いお尻が視界に入る。ついさっきまで感じていた眠気はすっかり消え去った。この

          「セックスはいいや」

          今日、彼氏だった人とのセックスを拒否した。 もうずっと嫌だった。 お決まりの流れで進む愛撫。ほどなくして“舐めて”の合図。濡れる前に告げられる『あ、イく』。 今夜もいつものように帰りの車内で「今日泊まれる?」と聞かれ、私は「セックスしたくないから帰ります」と答えた。気持ちの悪い静かな口論。おかげさまで別れることになりました。 一人での帰り道。今夜は風が気持ちよかった。 コンビニで缶ビールを買い、飲みながら歩いた。 途中に居酒屋はあるものの、私は早く家に帰りたかった。 「…

          「セックスはいいや」

          「ダイヤのピアス」

          閉店後の店内。ボリュームが絞られたBGM。ボックス席のライトは消され、私とマスターがいるカウンター席だけが明るく照らされた。 ワイシャツの袖を捲くり洗い物を片付けるマスター。あんなに忙しかったのに、ジェルで固められた髪型は少しも崩れず、隙を見せない穏やかな表情からは、少しも疲れを感じさせない。その様子を眺めながら、私は少しばかり不貞腐れていた。 営業中、カウンターの端に一人で来ていた女性客。一見地味なように見えるが、控えめに身につけたアクセサリーは洗練されていて、下ろし立て

          「ダイヤのピアス」

          「夢見るお世話」

          お世話をしたい。お世話をされたい。 人はそれぞれタイプが分かれるけど、私は一体どちらだろうと考える。 世話を焼かれるのは好き。 私のために先回りして用意したことを、喜んであげた時の相手の嬉しそうな反応を見るのが好き。 ベッタベタに褒めてまんざらでも無さそうにしている顔を眺めていると幸せな気持ちになる。 一方で、「あなたは動かないで」「僕が全部やるから」「ずっとそこにいて」と強要されるのは苦手。動くなと言われた途端じっとはしていられないし、そこに居続けてと言われたら地上10メ

          「夢見るお世話」

          「愛ある加虐」

          彼のビンタは痛かった。 スパンキングも首絞めも、ただただ痛かった。 与えられた瞬間、痛みの残り方。 それらの全ては私を連れ去ってはくれず、ただ一人きりその場に取り残された。 あと一発、あと一秒。引く瞬間にわかる。 彼自身が得たいからしているわけではない。 私に与えてあげたいから。 そんな全ての理由が彼の愛であることは、隠していても痛みから理解できる。 例えば私が、献身的に暴力を振るってくれるあなたを裏切って、他の男の言うことを聞いていたらどうでしょう。 自分のものだと思っ

          「愛ある加虐」

          「その日まで」

          「幸せになりなさい」 そう言って、あなたは逝ってしまわれた。 あれは確か私が三十で、あなたは六十を迎える直前だった。あまりにも若く早い死に、私は到底受け入れることなどできなかった。 私にとって、初めてのご主人様だった。右も左もわからぬ私を受け入れて下さり、必要な全てを教えてくださった。 私はその頃別の男性と夫婦関係にあり、子を二人持つ妻であり母であった。家庭に不満はなかった。神様申し訳ありません。ただあの人に惹かれました。 女はいつまで経っても女なのだと痛感しました。母にな

          「その日まで」

          「生かされた変化」

          若い頃、暇さえあればつまんでいたお菓子。 ここのところ口にする機会がほとんど無い。 不味く感じるようになったのかと言われれば、きっとそんなことも無い。 欲しく無くなった。ただそれだけ。 仕事でお酒を飲んでいた頃、プライベートで飲むことはほとんどなかった。 あれはただの道具だった。お金を稼ぐ、一時的にテンションを上げる、ただの道具。 三十を過ぎた頃、食事と一緒にいただくお酒の美味しさを知った。 飲みたいから飲むお酒。料理に合わせて種類を選び楽しむお酒。 美味しいんだね、お酒。

          「生かされた変化」

          「頭を使わない唄」

          「頭を使わない唄」というタイトルだけがつけられたファイルを見つけた。 最終保存日時は昨日の深夜。自分のPCのローカルフォルダに残されたそれは、紛れもなく自分が残したものだろう。それなのに、これっぽっちも身に覚えがない。全くと言っていいほど記憶にないのだ。 昨夜の私といえば、友人たちと酒を飲んでいた。夏の夜。うっすら暗くなり始めた頃に合流し、持ち寄った酒の中から今の夜空に似たラベルのビールを選んだんだ。 雨上がりで息ができないほど蒸し暑い空気。今夜のメインは花火ということで外

          「頭を使わない唄」

          「もっと、来てくださいよ」

          屈服なんて、したことない。 本当に負けた気になったことがない。 引っ叩かれて、絞められて。 我慢できずに顔を歪ませ声をあげるけど。 目が合えば涙で崩れたアイメイクのまま「もっと来いよ」とにっこり微笑む。 泣いても喚いても終わらない加虐に意識が朦朧としてくるが、「でも濡れてんじゃん」の一言で現実へと引き戻される。 乱れた吐息が酷い叫声に変わる頃、私という人間が、次第に一つの塊へと変化していく。 四肢がマネキンのように無機質に、胴体は粘土のように重く、丁寧にケアを重ねた髪の毛

          「もっと、来てくださいよ」

          「そこは私の席なのよ」

          ちょっと、どいてよ。そこ私の席なんだけど。 ほんの少し目を離しただけ。 私の定位置に、我が物顔で居座るやつがいた。 ねぇ、早くどいてくんない? お前の席じゃないのよ、そこ。 私がずっと前からそこにいたの。 わかったら早くどきなさいよ。 そいつは私に目もくれず、“元からここに居ましたけど?”とでも言わんばかりの雰囲気で、かつての居場所だった私のその席を陣取り、一向に退く気配がない。 おい、聞いてんのかよ。 てめぇみたいな古臭いやつがいていい席じゃねぇんだよ。この場所には

          「そこは私の席なのよ」